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ENTERTAINMENT

2023.02.10

『君の名は。』超えも!? 韓国男性が劇場版スラムダンクに熱狂する理由

日本で大ヒット中の劇場版アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』。人気名作漫画『SLAM DUNK』を原作とするアニメーション映画だが、2023年1月から韓国でも公開され、30~40代を中心に人気を集めている。エンタメに関しては世界レベルを誇る韓国で日本のエンタメがウケた理由とは? 連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは……

劇場版アニメ「THE FIRST SLAM DUNK」

200万人突破! 『スラムダンク』『セカコイ』など日本映画が韓国で大ブーム

名作漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』の新作劇場版アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』が、2022年12月3日の公開から67日間で国内興行収入が100億円、観客動員数687万人を突破したことがわかった。その勢いは国内だけにとどまらず、2023年1月4日から公開されている韓国でも観客動員数200万人を突破した。

過去に韓国で観客動員数200万人を超えた日本のアニメ映画は2017年の『君の名は。』(379万人)と、2021年の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(215万人)の2作のみだった。そこに『THE FIRST SLAM DUNK』が3作目として加わった。

しかも、ハリウッドの超大作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』やヒョンビン主演の『交渉』(原題)などを抜いて、1月27日からはボックスオフィス(映画ランキング)1位をキープし続け、ロングヒットの兆しも見せている。

ロングヒットといえば、なにわ男子・道枝駿佑と福本莉子が共演した映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(以下、『セカコイ』)も大ヒット中だ。

韓国で2022年11月30日に封切られた同作は、口コミでじわじわと人気を集め、公開64日目で観客動員数102万人を突破。韓国公開の実写日本映画としては21年ぶりの100万人突破という大記録とともに、実写日本映画歴代興行ランキング1位の『Love Letter』(115万人)に次ぐ2位に躍り出た(2月2日時点)。

エンタメに関しては世界レベルを誇る韓国で『THE FIRST SLAM DUNK』と『セカコイ』がここまでウケた理由は何か。

韓国の最大手ポータル「NAVER」が集計した『THE FIRST SLAM DUNK』の観客の性別分析を見ると、男性が70%、女性が30%という。年代別では30代が47%、40代が27%、20代が19%の順で多かった。つまり、映画の人気を支えているのは30〜40代の男性たちだといえる。

その30〜40代が中学・高校生だった1990年代後半は、ちょうど韓国が日本大衆文化を解放し、漫画をはじめとした日本のエンタメが大ブーム。なかでも特に人気だったのが、『SLAM DUNK』だった。

1992年~1996年にコミック版が発売され、1998年6月から1999年3月までテレビアニメが放映されたその当時、筆者の隣人だった中高生の兄弟もシューズボックスの上に『SLAM DUNK』のコミック全巻を自慢げに飾っていたことを今でも覚えている。言わずもがなバスケットボールにもハマっていた。

現在30〜40代になった彼らにとって劇場版アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』は、漫画『SLAM DUNK』に夢中だった学生時代の思い出を呼び起こし、胸を熱くするきっかけとなったようだ。韓国の映画館の主な観客層は20代以上の女性といわれているが、『THE FIRST SLAM DUNK』を観るために30〜40代の男性たちが重い腰を上げて映画館に足を運んだのである。彼らがリピート鑑賞までしながらノスタルジーに浸る姿を見て、好奇心をくすぐられた20代、女性観客まで『THE FIRST SLAM DUNK』ブームに乗っている状況だ。

一方で『セカコイ』の場合、観客の男女比がぴったりと半々で、主な観客層は20代(32%)。満足度においては10代が8.98点と最も高い。韓国内の配給会社ディアキャッスルのカン・サンウク代表は『セカコイ』の人気をこう分析した。

「実は記憶喪失を題材にしたロマンス映画は多く、有名どころでは『50回目のファースト・キス』『エターナル・サンシャイン』(2004年作)などがあります。ところが、10〜20代の若い世代にとって『セカコイ』は見たことのない新しいストーリーだったのでしょう。もちろん、男性主人公役の道枝駿佑さんの人気も大きく貢献したと思います」(『聯合ニュース』より)

10〜20代なら共感せざるを得ない学校生活や文化が描かれていることや、なにわ男子・道枝駿佑の優れたビジュアルが若い世代に刺さったわけだ。

映画『ベイビー・ブローカー』やDisney+オリジナルシリーズ『コネクト』など、昨年から目立つ日韓合作プロジェクトの動きに加え、日本のコンテンツが大旋風。2019年には「NO JAPAN」という日本製品不買運動が大きく盛り上がっていた韓国だが、今ではそれもはるか遠い昔のように感じる。

外国人の日本入国規制が緩和された2022年10月から韓国人の間で日本旅行がブームになっていたが、『THE FIRST SLAM DUNK』と『セカコイ』が“日本ブーム”を後押ししている。今の雰囲気を見る限り、2023年は日韓のエンタメ交流が一層深まりそうだが、はたして。

 
■連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは……
ドラマ『愛の不時着』、映画『パラサイト』、音楽ではBTSの世界的活躍など、韓国エンタメの評価は高い。かつて「韓流」といえば女性層への影響力が強い印象だったが、今やビジネスパーソンもこの動向を見逃してはならない。本連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」では、仕事でもプライベートでも使える韓国エンタメ情報を紹介する。

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TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

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