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2019.06.10

ブラック・ウィドウ「恋多きスーパークールな元諜報員」【マーベル女性ヒーロー図鑑】

国籍や人種、宗教、性別を超えて、多種多様なヒーローが活躍するマーベルの世界。特に最近は、女性ヒーローの活躍が目覚ましい。そこで、この連載では映画でも活躍する人気キャラクターから知る人ぞ知るマイナーキャラまで、強くて美しいマーベルの女性ヒーローをマニアックに紹介していきます。第2回は2020年に単独映画の公開が決定したブラック・ウィドウです。

ブラック・ウィドウ

スパイとしてキャリアをスタート

敵か味方かわからない、セクシーな女性に、男は惑わされるものです。日本の漫画では峰不二子が筆頭。マーベルでは、なんといってもブラック・ウィドウです。

黒のボディスーツに身を包み、高度な狙撃技術をもつ。接近戦にも強く、格闘技で屈強な男どもをなぎ倒していきます。そして、愛車はもちろんバイク。映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では、ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーを颯爽と乗りこなす姿に、惚れ惚れとさせられました。峰不二子もそうですが、「美女とハーレー」は最強の組み合わせです。

アベンジャーズの一員としても活躍した。

祖国であるソ連を捨て、フリーランスのエージェントとして活動。アベンジャーズの一員としても活躍した。

ブラック・ウィドウはそんなカッコよさとともに、男を惑わす美女の条件である「ミステリアスな過去」も持ち合わせています。彼女のデビューは、1964年に発行された『Tales of Suspense』#52。そこでの彼女は、ソ連のスパイ。機密を奪うためにスターク・インダストリーに潜り込み、アイアンマンと戦います。ブラック・ウィドウのデビューは、ヒーローではなくヴィラン(悪役)だったのです。

『Tales of Suspense』 #52。

初登場は1964年の『Tales of Suspense』 #52。ソ連を裏切ったクリムゾン・ダイナモの暗殺と、トニー・スタークが発明した兵器を盗むという任務を受けた。

その後のコミックで、彼女の生い立ちが徐々に明らかになっていきます。生まれは1928年頃で、本名はナタリア“ナターシャ”・アリアノワ・ロマノワといいます。故郷はソ連のスターリングラードでしたが、ドイツ軍の侵攻を受けて、ナターシャは孤児になってしまいました。

第二次世界大戦後、ナターシャはソ連の「ブラック・ウィドウ・オプス」計画に組み込まれます。孤児の少女たちに戦闘訓練を行い、スーパースパイに育成するという計画です。ナターシャは「レッドルーム」という施設で訓練を受けるとともに、スーパーソルジャー血清を投与されます。この血清により、彼女の肉体は若さが保たれます。1928年頃の生まれですから、現在のナターシャは90歳前後のはず。でも、いまだに美女であり続けているのは、スーパーソルジャー血清の効力なのです。

肉体改造とともに、ナターシャには虚偽の記憶が与えられました。その記憶とは、彼女がモスクワのベルシボイ芸術学校でバレエを学んでいたというもの。国の力でトップバレリーナになったという記憶によって、ソ連への忠誠心を高めようとしたのです。さらに彼女はソ連の英雄アレクセイ・ショスタコフと結婚しましたが、国によってアレクセイの死が偽装されます。夫の死を信じたナターシャは、ソ連に尽くす諜報員になることを決意しました。そしてナターシャには、コードネーム「ブラック・ウィドウ」が与えられたのです。

ホークアイとともにヒーローの道へ

こうして彼女はソ連の諜報員として活動を開始。アメリカにわたり、アイアンマンやスパイダーマンと戦います。アイアンマンとの戦いの際に手を組んだのがホークアイ。今やアベンジャーズに欠かせないヒーローになったホークアイも、最初はヴィランだったのです。

でも、ホークアイはアイアンマンの偉大さを知り、悪事をやめて、アベンジャーズに加入します。そんなホークアイと恋に落ちていたナターシャは、ソ連の洗脳教育に疑問を抱くようになります。その後、ナターシャはアベンジャーズとの戦いに敗北。ソ連時代の洗脳が完全に解け、祖国を捨てる決意をしました。

マーベルは、善が悪を懲らしめる勧善懲悪の物語ではありません。ヒーローも、善と悪の狭間で思い悩み、時には考え方の相違から映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のように善と善が戦ったりもします。一方、ヴィランの中にも悪の心を改め、ヒーローとしての活動を始めるキャラクターも多く見られます。人間と同じくヒーローの世界も、単純に善と悪で割り切れるものではないのです。

祖国を捨てたナターシャことブラック・ウィドウは、国際諜報組織S.H.I.E.L.D.のフリーランスエージェントに転身。アベンジャーズの一員として戦うほか、デアデビルと活動をともにしたり、ゴーストライダー、ハーキュリーズ、エンジェル、アイスマンとスーパーヒーローチーム「チャンピオンズ」を結成しリーダーを務めたりするなど、世界の平和に尽力します。

『Black Widow』。

2014年にスタートした「All New Marvel NOW!」シリーズの『Black Widow』。

“恋多き女性”としても有名

常に冷静沈着で、知性と強さを併せ持つスーパークールなヒーロー、ブラック・ウィドウ。そんな女性を、男たちが放っておくわけありません。彼女には恋愛話が絶えません。コミックの中では、ウインター・ソルジャー、アレクセイ・ショスタコフ、ホークアイ、デアデビル、ハーキュリーズと恋愛関係。映画ではハルクと目と目で通じ合ういい関係になっていましたし、キャプテン・アメリカとのキスシーンもありました。

映画『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』に出てくるキスシーンは、敵の目を欺くためという設定でした。でも、その後の車の中のシーンで、ブラック・ウィドウはキャプテン・アメリカに「この前のキスって、60年ぶりのキス?」と問いかけます。蠱惑的な笑みを浮かべながら。恋心がなければ、普通、こんな質問しないですよね。

『Black Widow Vol.1: S.H.I.E.L.D."s Most Wanted』。

2016年刊行の人気作『Black Widow Vol.1: S.H.I.E.L.D."s Most Wanted』。彼女が育てられたレッドルームが今も存続すると聞き、ナターシャはロシアへ向かう。

先日、ブラック・ウィドウ単独映画の制作が発表されました。公開は2020年の予定。「ついに、この時が」と感涙にむせぶファンも多いはず。主演はもちろん、これまでのマーベル映画でブラック・ウィドウとして出演を重ねてきたスカーレット・ヨハンソン。マーベルに欠かせない女性スーパーヒーローの活躍が堪能できると思うと、今から待ち遠しいばかりです。

 

ブラック・ウィドウ
本名/ナタリア“ナターシャ”・アリアノワ・ロマノワ
出身/ソビエト社会主義共和国連邦スターリングラード
身長/170cm
体重/59kg
瞳/ブルー
髪/赤茶色
能力/オリンピック選手並みの運動能力、若さの維持

※マーベル公式サイトはこちら

TEXT=川岸 徹

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