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ENTERTAINMENT

2016.09.15

『グッバイ、サマー』滝藤賢一の映画独り語り座20

連載「滝藤賢一の映画独り語り座」。今回は『グッバイ、サマー』を取り上げる。

goodbyesummer

ひさかたぶりに思い出す甘酸っぱい夏

今年も駆け足で夏が去りそうな滝藤です。鍛え上げた身体を見せびらかすべく海に行きたいのですが、休みがなく。家族でキャンプに行きたいのですが、休みがなく。......本当にありがたいことです!

さてさて、夏休みって最高に楽しいんだぜ!と思い出させてくれるのが、この『グッバイ、サマー』。『エターナル・サンシャイン』など不器用な男の恋愛映画を撮ってきたミシェル・ゴンドリーの自伝的な映画です。彼が14歳の時、かなえられなかった悪友との夢を、映画を作ることによって実現させたそう。なんてニクいことをするんだ!

主人公は廃材を工夫して作った小屋つきのクルマで、バカンス先の女の子に会いに行くという無謀な冒険に出てしまいます。法的に許可が下りていないのに公道を走ったり、クルマを家に見立て、警察の目をごまかしたり、やっていることはむちゃくちゃだけど、こんなことができる年齢は限られていますよね。自分の子供には、これくらいの想像力を持ってほしいです。まぁ本当にこれをやったら普通に補導されると思いますが......。

しかし、14歳の男子が女の子のことしか考えないのは万国共通なんだなぁ。私もありましたよ。上京した夏、同居人が八王子の女の子に恋をして、荻窪から歩いて会いに行くという意味不明な冒険に出たことが。9時間37分かかって着いた八王子は想像以上に大きい街で、彼女がどこに住んでいるかもわからず途方に暮れ、駅前に座り込んで終わりました......。本作をご覧になれば、読者の皆さんも青春の失敗談が走馬灯のように駆け巡るのではないでしょうか?

この作品、主人公ふたりのキャラクターが魅力的なんです。先生ですら女の子に間違えるほど線の細い少年で、普通になりたい半面、普通を蔑視しているダニエル。家は貧しいけど、与えられた環境で発明に夢中になっているテオ。大切な友達がひとりいれば、素敵な時間が過ごせるんだと感じさせてくれる。現代版『スタンド・バイ・ミー』と言える作品かもしれません。

goodbyesummer

『グッバイ、サマー』
2015年/フランス
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、オドレイ・トトゥ ほか
配給:トランスフォーマー
9月10日よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開
(C)Partizan Films - Studiocanal 2015

滝藤賢一/Kenichi Takitoh
俳優。1976年愛知県生まれ。ドラマ『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(テレビ朝日系)に出演中。待機作に映画『SCOOP!』、ドラマ『コールドケース~真実の扉~』(WOWOW)など。

過去連載記事

■連載「滝藤賢一の映画独り語り座」とは……
役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者の、そして、映画のプロたちの魂が詰まっている! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!

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COMPOSITION=金原由佳

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