レースに勝つために生まれたクルマ、GRヤリスで“ダートトライアル”競技に挑む! その名もGGRC(ゲーテ・ジェントルマンズ・レーサー・クラブ)。大会入賞を目指した大人のための本気のレース活動、その1stシーズンをリポート。
GRヤリスで駆ける大人の泥んこ遊び!
市販車をレース用に仕立てるのではなく、「モータースポーツ用の車両をあらかじめ生産する」という“逆転の発想”で誕生したGRヤリスを駆って、ダートトライアル(通称ダートラ)競技へと挑戦する。それが「GGRC(ゲーテ・ジェントルマンズ・レーサー・クラブ)」だ。
このGGRCは、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)による特別サポートのもと、ダートラ大会での表彰入りを目指す究極のレースプロジェクト。参戦車両はGRヤリスの競技車RCをベースに、ダートラ仕様へとカスタマイズしたもの。
監督・コーチは、全日本ラリーを9度制した国内随一のラリードライバーである勝田範彦を招聘。さらにGGRCサポートショップとしてGRガレージ宇都宮つくるま工房の面々がマシンの整備やメンテナンスを行う座組みだ。
ゲーテでは2022年1月、この特別車とトレーニングセッションを含めた究極のエクスペリエンスを1000万円という価格で販売。そして2022年末、1年間という濃密な時間を4名のメンバーが精力的に活動を続け、ダートラ競技へのレースチャレンジ、GGRC 1stシーズンが終結した。今回はこれまでの活動と挑戦の軌跡を振り返る。
GGRC1期生がキックオフ! ダートラ競技に4名が挑戦
晴れてダートラチャレンジ企画、GGRC1期生となったメンバー。その最初の出会いは2021年秋、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイの特別会場にて行われたダートラ体験会まで遡(さかのぼ)る。49名という応募者のなかから厳正なる抽選により、当日は15名が参加。のちの契約会でサインしたのが4名の挑戦者たち。いずれも実業家で、ダートラ競技は未経験ながらモータースポーツをしているメンバーが揃った。
そして、GGRCメンバーの活動を後押しするのはモータースポーツの最前線で活躍する豪華な顔ぶれ。2022年6月、東京タワーで行われたGGRCの壮行会に参加したのは、トヨタのWRC(世界ラリー選手権)でチーム代表を務めるヤリ=マティ・ラトバラ氏。ラリーの本場、フィンランドが誇る伝説的ラリードライバーで、WRCを知り尽くした男だ。そんなラトバラ氏はモリゾウことトヨタ自動車の豊田章男社長(当時)と、GGRCの監督でもある勝田範彦氏らと富士24時間レースに出場するために来日。多忙な合間を縫って、納車まもないメンバー4人のために本物のヤリスWRCを引き連れ、駆けつけてくれた。
参戦マシン▶︎GRヤリス RC ダートラ仕様
GGRCサポート体制
サポートスタッフ▶︎TOYOTA GAZOO Racing 凄腕技能養成部
サポートショップ▶︎GRガレージ宇都宮つくるま工房 by トヨタカローラ栃木
監督・コーチ▶︎ラリードライバー 勝田範彦
数々の企業・ブランドがGGRCを応援! 18のスポンサーがサポート
レースに欠かせないスポンサー企業の存在。GRヤリスのマシン、そしてレーシングスーツにはGGRCとパートナーシップ関係にある18ブランドと個人スポンサーが冠されている。いずれもダートラ競技を盛り上げるため、4名のレース活動をあらゆる場面で後押し。そのゆるぎないサポート体制は、納車後の自主練習から2022年12月4日のテクニックステージ タカタ公式戦まで。
ダートラは、タイヤの消耗が最も激しい競技。なかでも、ダンロップによる「ディレッツァ」シリーズのタイヤと、レイズ製ラリーホイールの供給は、練習と公式大会など、あらゆる場面でパフォーマンスを発揮。さらにチーム公式時計として、特別限定TGRロゴ入りのGGRCコラボウォッチがレゼルボワールより提供された。このほか、Eyevol製サングラス、エンパイヤ自動車からはスパルコ製のレーシングギア一式なども供給。極めつきは、一部公式練習日にて行われた東京美容クリニックの特別メディカルサポートだ。
ひとりあたり300万円相当のスポンサーシップフィーが充てられた手厚いバックアップ体制もまたGGRCの大きな特徴といえる。
ダンロップ▶︎競技用ダートタイヤを供給
レゼルボワール▶︎特別仕様のGGRCコラボウォッチ
つくるまサーキット▶︎練習用ホームコースとして活用
東京美容クリニック▶︎専属のメディカルサポート
協賛スポンサー
レーシングマシン&レーシングスーツ▶︎スポンサーロゴをあしらい、チームの一体感を演出
GGRC1期生活動詳細。ダートラに挑んだ180日間
2022年12月、テクニックステージ タカタ(広島)公式大会出場を目標に計5回のセッションが行われたGGRC。公式セッション以外でも、つくるまサーキット那須をベースに、自主練習を頻繁に組むほどメンバーは走りこんだ。その圧倒的な練習量にGRガレージ宇都宮つくるま工房の専任担当の手も休まらないほど、現場では嬉しい悲鳴が漏れていた。
そして、ついには2022年10月、自主参加した丸和カップダートトライアルシリーズ第4戦で、クラス1位、3位、4位と表彰台をほぼ独占。わずか半年も経たないうちにGGRCメンバーは急成長を遂げた。また、最終戦は車両横転により不参加となったメンバーがおり、悔しくも全員表彰台には届かず。入賞ならずとも、ダートラ界にも大きな話題を振り撒いたのだった。
「初めは肝を冷やすほどのおっかなさでしたが、その成長ぶりと経営者ゆえの負けん気と集中力には驚きました。あとは走りこむのみ」とは勝田監督。
“GRヤリスを駆ってレーサーになる!”──その意味において、ダートラを起点としたモータースポーツの楽しみ方は果たされたのであった。
果敢にチャレンジを続け、見事表彰台に上がったGGRCメンバー
1/26|キックオフミーティング
2/10|御岳スノーランド雪上試乗会
5/15|納車式@GRガレージ宇都宮つくるま工房
6/7|サプライズゲスト特別セッション@東京タワー
6/23|エビスサーキット練習会
8/9|丸和サーキット 練習会
9/30|今庄ダートラ練習会
10/27‑28|テクニックステージタカタ1泊2日練習会
12/4|テクニックステージタカタ 公式大会