CAR

2023.04.25

GRヤリスを駆ってダートラ参戦プロジェクトGGRCの1stシーズンをリポート

レースに勝つために生まれたクルマ、GRヤリスで“ダートトライアル”競技に挑む! その名もGGRC(ゲーテ・ジェントルマンズ・レーサー・クラブ)。大会入賞を目指した大人のための本気のレース活動、その1stシーズンをリポート。

ダートラ仕様にカスタマイズしたGRヤリスの競技車RC

GRヤリスで駆ける大人の泥んこ遊び!

市販車をレース用に仕立てるのではなく、「モータースポーツ用の車両をあらかじめ生産する」という“逆転の発想”で誕生したGRヤリスを駆って、ダートトライアル(通称ダートラ)競技へと挑戦する。それが「GGRC(ゲーテ・ジェントルマンズ・レーサー・クラブ)」だ。

このGGRCは、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)による特別サポートのもと、ダートラ大会での表彰入りを目指す究極のレースプロジェクト。参戦車両はGRヤリスの競技車RCをベースに、ダートラ仕様へとカスタマイズしたもの。

監督・コーチは、全日本ラリーを9度制した国内随一のラリードライバーである勝田範彦を招聘。さらにGGRCサポートショップとしてGRガレージ宇都宮つくるま工房の面々がマシンの整備やメンテナンスを行う座組みだ。

ゲーテでは2022年1月、この特別車とトレーニングセッションを含めた究極のエクスペリエンスを1000万円という価格で販売。そして2022年末、1年間という濃密な時間を4名のメンバーが精力的に活動を続け、ダートラ競技へのレースチャレンジ、GGRC 1stシーズンが終結した。今回はこれまでの活動と挑戦の軌跡を振り返る。

 
日本の独自競技“ダートラ”とは?
ダートラの説明

ダートトライアルの略で、日本生まれのモータースポーツ。ダート路面、泥濘地、砂利等のサーキットで2本の走行タイムを単独走行で競う。舗装路面に設定されたコースをタイムアタックする、いわゆるジムカーナのダート版だ。

GGRC1期生がキックオフ! ダートラ競技に4名が挑戦

晴れてダートラチャレンジ企画、GGRC1期生となったメンバー。その最初の出会いは2021年秋、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイの特別会場にて行われたダートラ体験会まで遡(さかのぼ)る。49名という応募者のなかから厳正なる抽選により、当日は15名が参加。のちの契約会でサインしたのが4名の挑戦者たち。いずれも実業家で、ダートラ競技は未経験ながらモータースポーツをしているメンバーが揃った。

そして、GGRCメンバーの活動を後押しするのはモータースポーツの最前線で活躍する豪華な顔ぶれ。2022年6月、東京タワーで行われたGGRCの壮行会に参加したのは、トヨタのWRC(世界ラリー選手権)でチーム代表を務めるヤリ=マティ・ラトバラ氏。ラリーの本場、フィンランドが誇る伝説的ラリードライバーで、WRCを知り尽くした男だ。そんなラトバラ氏はモリゾウことトヨタ自動車の豊田章男社長(当時)と、GGRCの監督でもある勝田範彦氏らと富士24時間レースに出場するために来日。多忙な合間を縫って、納車まもないメンバー4人のために本物のヤリスWRCを引き連れ、駆けつけてくれた。

4名の挑戦者

写真左から、
K.OGATA
1962年生まれ。外資系資産運用会社の元代表取締役会長。2017年に退職したのち、個人投資家に。モータースポーツ歴5年、ヤリスのカップカーも所有している。
M.SUZUKI
1965年生まれ。複数の会社を経営する実業家。国際C級ライセンス所有、海外ラリーを観戦するほどの愛好家で、愛車遍歴も圧倒的台数を誇る。趣味であるボクシングの興行も行う。
JYARI-MATTI L.
ヤリ=マティ・ラトバラ。1985年生まれ。2002年WRCデビューを果たし、2008年最年少優勝記録を更新。2017年よりTOYOTA GAZOO Racing WRTに移籍。現在はトヨタのWRCチームを率いるチーム代表に。
K.HAYASHI
1971年生まれ。福島県で歯科医師として健一会を運営。富士24時間耐久レースなどに参戦。ダートラは未経験ながら本企画で連勝を重ねるほど頭角を現す。
T.SANO
1969年生まれ。全国11都道府県で写真スタジオ・写真館「CARATT」を34店舗運営する実業家。モータースポーツライセンスも取得している大のクルマ好き。

参戦マシン▶︎GRヤリス RC ダートラ仕様

並ぶGRヤリス

最高出力272psを誇る1.6ℓ直列3気筒ターボの競技車両「RC」をベースにダートラ仕様へとカスタマイズ。動力性能はそのままに、足回りには15inchダンロップ製ダートラ専用タイヤ&RAYS製ホイール、マッドフラップやGRアンダーガードセットを装備。GRロールバー、6点式シートベルト&バケットシート、さらにGR機械式デフなど、およそ300万円ものカスタムを行った。

GGRCサポート体制

サポートスタッフ▶︎TOYOTA GAZOO Racing 凄腕技能養成部

サポートスタッフ

GRヤリスの車両開発を行う、凄腕技能養成部メンバーの錚々たる面々が活動をサポート。“もっといいクルマづくり”のために、練習会での走行内容や各種フィードバックなどはGRヤリスの改良・開発にも役立てられる。

サポートショップ▶︎GRガレージ宇都宮つくるま工房 by トヨタカローラ栃木

サポートショップ

全国のGRガレージのなかでも最大規模を誇る「GR Garage 宇都宮つくるま工房」がGGRCのベース基地となる。専任のGRガレージコンサルタントと連携し、車両のカスタマイズやメンテナンス、車両保管サービスも担当。

監督・コーチ▶︎ラリードライバー 勝田範彦

監督・コーチ

1968年生まれ。ラリーショップLUCKの代表。9度の総合優勝を誇る伝説的ラリードライバー。TGRよりWRC参戦中の勝田貴元は範彦の長男で、父もラリー屋。長年所属したスバルを離れ、一昨年からTGRチームに移籍した。

数々の企業・ブランドがGGRCを応援! 18のスポンサーがサポート

レースに欠かせないスポンサー企業の存在。GRヤリスのマシン、そしてレーシングスーツにはGGRCとパートナーシップ関係にある18ブランドと個人スポンサーが冠されている。いずれもダートラ競技を盛り上げるため、4名のレース活動をあらゆる場面で後押し。そのゆるぎないサポート体制は、納車後の自主練習から2022年12月4日のテクニックステージ タカタ公式戦まで。

ダートラは、タイヤの消耗が最も激しい競技。なかでも、ダンロップによる「ディレッツァ」シリーズのタイヤと、レイズ製ラリーホイールの供給は、練習と公式大会など、あらゆる場面でパフォーマンスを発揮。さらにチーム公式時計として、特別限定TGRロゴ入りのGGRCコラボウォッチがレゼルボワールより提供された。このほか、Eyevol製サングラス、エンパイヤ自動車からはスパルコ製のレーシングギア一式なども供給。極めつきは、一部公式練習日にて行われた東京美容クリニックの特別メディカルサポートだ。

ひとりあたり300万円相当のスポンサーシップフィーが充てられた手厚いバックアップ体制もまたGGRCの大きな特徴といえる。

ダンロップ▶︎競技用ダートタイヤを供給

ダンロップのタイヤ

変化する路面状況に合わせて、タイヤ選択が求められるダートラ競技。硬質ダートから軟質ダートまで幅広く展開するダンロップの「ディレッツァ」シリーズを供給。

レゼルボワール▶︎特別仕様のGGRCコラボウォッチ

レゼルボワールのコラボウォッチ

TOYOTA GAZOO Racingのロゴを冠したGGRC公式時計。計器を連想させるレトログラード機能やジャンピングアワーを特長とするレゼルボワールの「GTツアー」をベースに特別制作された。

つくるまサーキット▶︎練習用ホームコースとして活用

つくるまサーキット

栃木県那須塩原市にある「GRガレージ宇都宮つくるま工房 つくるまサーキット那須」をGGRCのホームコースとして貸切りに。メンバーの技量上達に活用した。

東京美容クリニック▶︎専属のメディカルサポート

東京美容クリニックのメディカルサポート

レーシングドライバーとしても活動する梅田剛院長らクリニックのメンバーがメディカルドクターとして同行。検尿や脱水症状防止のため、点滴も行った。

協賛スポンサー

スポンサー企業一覧

ダートラ競技に必要な装備や工具、車両保険サービスなど、多彩なジャンルの中から厳選した計18の企業・ブランドがGGRCと強いパートナーシップを締結。総計1200万円相当のスポンサーシップが充てられている。

レーシングマシン&レーシングスーツ▶︎スポンサーロゴをあしらい、チームの一体感を演出

レーシングマシンとレーシングスーツ

カーリバリーはレーシングマシンのデザインを得意とする会社、𣳾地がデザイン、施工までを一貫して担当。メンバーの好みに合わせたカラーリングに、GGRC公式スポンサーロゴ、さらには個人ロゴを冠した特別仕立てで、ラッピングの素材にもこだわったスペシャルなデザインに統一。一方、レーシングスーツはホワイトを基調に各種スポンサーロゴを配したシンプル仕様に。

GGRC1期生活動詳細。ダートラに挑んだ180日間

2022年12月、テクニックステージ タカタ(広島)公式大会出場を目標に計5回のセッションが行われたGGRC。公式セッション以外でも、つくるまサーキット那須をベースに、自主練習を頻繁に組むほどメンバーは走りこんだ。その圧倒的な練習量にGRガレージ宇都宮つくるま工房の専任担当の手も休まらないほど、現場では嬉しい悲鳴が漏れていた。

4名の挑戦者と走るGRヤリス

そして、ついには2022年10月、自主参加した丸和カップダートトライアルシリーズ第4戦で、クラス1位、3位、4位と表彰台をほぼ独占。わずか半年も経たないうちにGGRCメンバーは急成長を遂げた。また、最終戦は車両横転により不参加となったメンバーがおり、悔しくも全員表彰台には届かず。入賞ならずとも、ダートラ界にも大きな話題を振り撒いたのだった。

GRヤリスとレーシングスーツを着た4名の挑戦者

「初めは肝を冷やすほどのおっかなさでしたが、その成長ぶりと経営者ゆえの負けん気と集中力には驚きました。あとは走りこむのみ」とは勝田監督。

“GRヤリスを駆ってレーサーになる!”──その意味において、ダートラを起点としたモータースポーツの楽しみ方は果たされたのであった。

果敢に攻めるダートラ競技

果敢に攻めるダートラ競技。ドライバーにはギリギリまで攻める資質と、ゴールまで車両のポテンシャルと自身の高い集中力を維持できるメンタルが求められる。

表彰台に立つ挑戦者

2022年10月に行われた丸和カップダートトライアルシリーズ第4戦では、クラス優勝を遂げ、1位、3位、4位と表彰台をほぼ独占したGGRCメンバー。

GRヤリスの車体

計5回の公式セッションには勝田範彦監督だけでなく、TGRの凄腕技術養成所の精鋭らが駆けつける。全日本ラリーで培ったサポート体制は、急な作業も迅速対応。

果敢にチャレンジを続け、見事表彰台に上がったGGRCメンバー

泥にまみれたGRヤリス

2022年1月のキックオフを皮切りに、2月には雪上試乗会を実施。部品の供給不足などによる影響で、当初予定していたGRヤリスの納車が大幅に遅れ、本格的なレース活動は2022年5月からの開始となった。そして待望の納車式には1泊2日の栃木〜福島ならしツーリングへと出発するなど、親睦を深めていったメンバー。わずか半年で目を見張るほどの技術を習熟させた。今シーズンの活躍にも期待大!

 
GGRC活動スケジュール 2022-2023
1/26|キックオフミーティング
2/10|御岳スノーランド雪上試乗会
5/15|納車式@GRガレージ宇都宮つくるま工房
6/7|サプライズゲスト特別セッション@東京タワー
6/23|エビスサーキット練習会
8/9|丸和サーキット 練習会
9/30|今庄ダートラ練習会
10/27‑28|テクニックステージタカタ1泊2日練習会
12/4|テクニックステージタカタ 公式大会

GGRC1期生活動写真2

TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=柏木龍馬|SUPER FILM

COOPERATION=GRガレージ宇都宮 つくるま工房

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