美しいスポーツクーペに一家言あるBMW。旗艦機である8シリーズ クーペと共通項の多い流麗なフォルムを4シリーズ クーペにも纏(まと)って昨年登場。2013年に体系整理された2ドアクーペ“4シリーズ”の2世代目にあたり、クーペやカブリオレなどを擁するBMW偶数シリーズの中核を担っている。新たに与えられた挑発的キドニーグリルがデザイン上の最大の特徴。連載【NAVIGOETHE】Vol.55
賛否を喰らうキドニーグリル
BMWが特徴的なキドニーグリルを初めて採用したのは1933年のこと。初めてのオリジナル設計モデル“303”で、巨大な縦長の楕円形ラジエターグリルをふたつ並べたフロントマスクはその時点で既にBMWの大きな個性となっていた。ちなみに楕円形グリルがふたつ並ぶ様が似ていることから「キドニー(=腎臓)グリル」と呼ばれるようになったのだ。
以来、BMWには必ずキドニーグリルが装備され、その形は縦長から横長になるなど変遷を繰り返し現在にいたる。戦前のグリルが巨大で二分されていたのはエンジンの効果的な冷却に適していたからであり、徐々に小さくなったのは空力と効率を考えてのことだった。つまり、そのデザインは性能や機能に裏づけられていた。だからこそブランドのアイコンとして認められたのだ。
BMWのミッドレンジ2ドアクーペ、4シリーズが昨年フルモデルチェンジを遂げると、そのキドニーグリルが縦長となったことで大いに話題となった。クルマ好きの間では賛否両論が入り乱れ、それだけで宣伝効果もあったに違いない。
4シリーズといえば以前は3シリーズクーペと呼ばれていたことからもわかるように、BMWの伝統ある重要なモデルのひとつだ。その最新型に敢えて縦長のキドニーグリルを採用した背景には、クーペをよりクーペらしくダイナミックな存在感を与えたいという開発陣の熱い想いがあった。先代において4シリーズという新たな名前を与えていたこともまた、3シリーズの単なる2ドア版ではなく独立したクーペモデルに育てていきたいというプランがあったから。
最新の4シリーズこそ名実ともに3シリーズからの“独立”を果たしたモデルであることはいみじくもそのクーペスタイルがよく物語っている。兄貴分の8シリーズと見紛うばかりのダイナミックなフォルムとなり、3シリーズとの共通イメージはまるでなくなった。そして、このグラマラスなスタイルには縦長のグリルがよくマッチする。
フラット&ソリッドライドなM4にも注目
既にMハイパフォーマンスモデルのM4も発表されているが、このM440i xDriveでもその性能は十二分だ。それもそのはず、M440iもまたBMW M社が開発したMパフォーマンスモデルでエンジンや足回りに専用チューンが施された。
その乗り心地はフラット&ソリッドライドの典型である。アシがよく動き、路面の状況をよく伝えるが、かといってドライバーの視線を乱さない。フロアやステアリング系も概してたくましく、シートもよくできているから、腕や下半身に不快な振動を伝えない。だから疲れない。筆者などはテストと称して1週間で気づけば2000キロも乗ってしまった!
ワインディングロードでは意のままのスポーツドライブが楽しめる。スポーツカーほどシビアではなく、並のGTほどぬるくはない。たまの休日、エグゼクティブの疲れた頭と心を解放する最適なパートナーとなること間違いなしだろう。
BMW
M440i xDrive クーペ
ボディサイズ:全長 4775×全幅1850×全高1395mm
ホイールベース:2850mm 車両重量:1740kg
エンジン:直列6気筒ターボ 排気量:2997cc
最高出力:387ps/5800rpm
最大トルク:500Nm/1800-5000rpm
駆動方式:AWD 変速機: 8速 AT
乗車定員: 4名 車両価格:¥10,250,000~
問い合わせ
BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437