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ART

2021.01.28

メディアアートの革命児、ライゾマティクスの未来の仕事

時代の変化に伴い、アートにまつわる仕事は実に多様化している。業界に一石を投じるベンチャー企業や話題の新興ギャラリー、管理倉庫の舞台裏まで、アートの仕事の最前線に迫った。

ライゾマティクス

アクションを起こすことで、アートを世の中に存在させる

メディアアートやエンタテインメント、広告、建築デザイン・都市開発やマネジメントも手がける……。最先端テクノロジーを操るスペシャリストをジャンル横断的に擁し、アイデアの発想から実空間への展開まで、一貫して行うのがライゾマティクスという集団だ。

2006年から活動を続けてきたが、’21年1月末より組織を改編。社名を「アブストラクトエンジン」へ変更し、作品制作や実験的プロジェクトを手がける「ライゾマティクス」、都市・地域開発や行政とのクリエイションをする「パノラマティクス」、領域横断的にデザイン活動する「フロウプラトウ」という3つの組織に整理するという。パノラマティクスを率いる齋藤精一氏は言う。

「僕たちがモノをつくり続けることに変わりはありません。アートが社会のなかでどんな役割を果たし得るかを追求し続けます。行政とタッグを組んで進める大規模なプロジェクトだったり、ジャンルを越境した創作だったり、よりスケールの大きいアクションを起こしていくことになります」

齋藤氏が為してきた実例は山ほどあるが、例えば’20年秋、自ら先頭に立って実現したのは「MIND TRAIL奥大和 心のなかの美術館」だ。奈良県の山深い土地全体を舞台にアートを点在させ、それらを周囲の環境とともに味わい楽しもうという「歩く芸術祭」。自治体とがっちり組んでこれをつくり上げた。

森の中へ

2020年10~11月、奈良県の奥大和地域で開催された芸術祭「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」のプロデューサーを務めた。従来の芸術祭は来訪者が、アート作品という「点」と出合うに留まっていた。これを地域という「面」と触れ合えるかたちに転換しようと目論み、来訪者が歩いて巡る芸術祭を立案(写真は木村充伯による『森の中へ』 Photo:都甲ユウタ)。「自然と人間の関係性など、具体的な何かを摑み取れる場となるよう心がけました」

このようにアートを社会へ実装していくのが、齋藤氏の活動の肝となる。

「思考と企画書だけで閉じてしまうことなく、発想したら手を動かして具体的なモノをつくり、人の目に触れるかたちにまで持っていく。アクションを起こすことで、アートを世の中に存在させる、それが僕たちのやっていることと言えます。本来アートとは社会を映す鏡であり、何らかのアクションを誘発するものであるはずですから」

齋藤氏とパノラマティクスは、’21年のドバイ万博、またその先に控える’25年の大阪・関西万博にも関わる。

「ただ異文化に触れて楽しむだけでなく、訪れた人がその体験からアクションを起こし、自分の生活に実装できるようなものを示したい。かつて1960年代には、岡本太郎の反戦運動『殺すな』など、美術や文学と実際の行動が強く結びつく時期がありました。翻って現在は、またアクションを起こすことが大切な時代になってきたんじゃないでしょうか。コロナ禍で世界中の人たちが家に籠もり、その間に深い思想に誘われた。いったん深く潜ったものが一挙に浮かび上がるタイミングはどこかでやって来るはず。その受け皿として、万博を格好の舞台にしたいと思っています」

ドバイ国際博覧会日本館

2021年10月から始まるドバイ万博に続き、’25年の大阪・関西万博ではコンセプト実現を支援するクリエイターとして携わる。「万博を単なる派手なエンタテインメントを楽しむ場所に終わらせるつもりはありません。これからの社会の方向性を実際のモノで示し、それに触れた人がすぐさまアクションを起こすような循環を生みだす。そんな機会にしたい。’25年にいたる重要なプロセスとして、ドバイ万博での取り組みも鋭意進行中です」(写真:2020年ドバイ国際博覧会日本館 ※2020年11月27日撮影)。

 

Policy of ライゾマティクス

1.アートを通し、アクションを誘発する

2.前例をつくり、行政の壁をも越える

3.なぜ? を突き詰め、真実の根源を追求する

 

Seiichi Saito
1975年神奈川県生まれ。フリーランスのクリエイターとして活動後、2006年ライゾマティクスを設立。’20年ドバイ万博クリエイティヴ・アドバイザー。’25年大阪・関西万博People’s Living Lab促進会議有識者。

※「ライゾマティクス」の詳細はこちら

TEXT=山内宏泰

PHOTOGRAPH=柏田テツヲ(KiKi inc.)

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