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ART

2021.01.25

現代アートの街、天王洲でできる世界レベルのアート体験

時代の変化に伴い、アートにまつわる仕事は実に多様化している。業界に一石を投じるベンチャー企業や話題の新興ギャラリー、管理倉庫の舞台裏まで、アートの仕事の最前線に迫った。

マキギャラリー

「L.A.」展の入り口で目にするのは、虹色の作品、ジェニファー・グイディの『Your Colors are Eternal(Schiffermuller)』と、アンソニー・ピアソンのスチール彫刻、『Transmission』。(グイディの作品:Courtesy by Gagosian ピアソンの作品:Courtesy by David Kordansky Gallery)

ギャラリーの枠を超えた交流の場

今年9月、天王洲に「MAKI」をオープンした牧正大氏。

約1000㎡という広大なスペースに、アートディレクターとして選んだ作品を紹介・販売する「MAKI Gallery」と、自身のコレクションを公開する「MAKI Collection」を設けた。

Point of Contact #3,2020

タムラサトルの電気を用いたインスタレーション、『Point of Contact #3,2020』。

「僕はギャラリー経営者であると同時にコレクターでもあります。自分が惚れこんだアーティストを多くの人に見てもらい、アートの素晴らしさを知ってほしい。そう想い続け、ようやく実現にこぎつけました」

昔からアートに興味があった牧氏。20代後半の時に初めてアートを購入し、今では新たな作品を求め世界各地を飛び回る。

「わずかな資金を元手に作品を購入し、それをネットで販売したのが最初です。でも、気に入った作品だから売りたくない(笑)。ギャラリー運営のため、しぶしぶ手放すという繰り返しで」

Kuu/空

「MAKI Gallery」ではNYを拠点に活動するミヤ・アンドウの「Kuu/空」展を開催。

商品ではなく、コレクションとしてアートを購入し、数年間所有しているうちに価格が高騰。少しずつ作品を収集し、気づいたら現在のような状況に。値上がりを期待していたわけではないものの、アートの資産性を、牧氏は自ら体験したわけだ。

現在は「L.A.」をテーマにした企画展を開催中だが、牧氏いわく、ロサンゼルスはアーティスト、コレクター、ギャラリー、美術館が垣根なく交流し、アートを盛り上げている場所。アーティストの想いを直接聞く機会があり、ギャラリーとコレクターの間で価格を含めた情報交換が活発になされている。それが市場の透明性につながり、“普通の人々”がアートを所有する後押しになっているのだと。

ジョナス・ウッドのスタジオにあるトイレ

ジョナス・ウッドのスタジオにあるトイレを再構成した。

「対して日本には、そうした情報交換の場がほとんどありません。だから、『アートはハードルが高い』、『よくわからないから買うのが怖い』となり、コレクションマインドが広がらない。となると、アーティストも育ちません。“日本一のアートバカ”を自負している僕としては、それがすごくもどかしい。『MAKI』を通してアーティストを身近に感じてもらい、アートを所有する喜びを広めたいんです」

その言葉どおり、コレクションスペースでは、展示する位置やライティングまでアーティストと徹底的に話し合って決める。

「アーティストにとって作品は人生そのもの。だから、生半可なことはできない。アーティストを理解し、彼らの想いを共有してくれる人にだけ販売します」

TIME February 13 1995(Lascaux),2019

ミラーベースのマンゴ・トムソン作、『TIME February 13 1995(Lascaux),2019』。鏡に映ることで、『TIME』誌の表紙を飾っているような気分になれる、なんともチャーミングな作品だ。

牧氏が目指すのは、ギャラリーや美術館という枠を超えた、利害にとらわれないギャラリー。それぞれの立場から議論や提案ができ、常に作品が中心にある空間をつくれば、日本のアート界を活性化できると考えている。

「100万円の現金は100万円でしかないけれど、アートに換えれば、将来何倍、何十倍になる可能性もあります。海外では、アートは資産形成のひとつで、資産の20%はアートというデータもあるくらいなんですよ。楽しくて、幸せな気持ちになれるうえに、資産にもなる。やっぱりアートは素晴らしい!」

 

MAKI Collection/MAKI Gallery
住所:東京都品川区東品川1-33-10
TEL:03-6810-4850
営業時間:11:00~18:00(金曜は12:30~20:00)
休業日:日曜・月曜

 

Policy of MAKI

1.すべてのアートプレイヤーの情報交換の場をつくる

2.アート市場を透明化し、開かれたギャラリー運営をする

3.訪れてくれた人々のコレクターマインドを刺激

 

牧氏

「MAKI Collection」には、ルイ・ヴィトンとのコラボも話題になったジョナス・ウッドの『テニスコート・ドローイング』が並ぶ常設スペースが。24点すべて、’25年にロサンゼルス・カウンティ美術館に寄贈予定。

Masahiro Maki
1975年東京都生まれ。アパレルや画廊勤務を経て、2003年Sakurado Fine Arts(現MAKI Gallery)を設立。現在は表参道、天王洲、パリに展開。現代アートのコレクターで、数百点を所有。

 

※「マキギャラリー」の詳細はこちら

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=滝川一真

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