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2023.07.06

キム・ジョーンズとコラボ! ヘネシーが“完璧”なコニャックを生み出す理由【メゾン探訪】

コニャック市場において、世界で圧倒的なシェアを誇るヘネシーがファッション界の鬼才とコラボレーション。それはなぜ行われたのか。ヘネシーが思い描く未来とは。その深遠なる世界をもっと味わうべく、フランス西部・コニャックの地を訪ねた――。

「ヘネシーX.O」

1870年に誕生した「ヘネシーX.O」は、メゾンのアイコンともいうべき存在。長期にわたって熟成したオー・ド・ヴィー約100種がブレンドされ、豊潤な香りと長く続く余韻を味わえる。

コニャック、時に思いを馳せて……

まるでドレスのように、優美なドレープがボトルをやさしく包みこむ――。

「『ヘネシーX.O』のボトルの形は象徴的です。私はアーカイブからインスピレーションを得て、それを布地で包むというアイデアを思いつきました。そして、ヘネシーの威厳を表現すべくドレープをつくり、風になびく馬のたてがみのようなボトルケースをデザインしたのです」

フランスのコニャックメゾン、ヘネシーはファッションデザイナーのキム・ジョーンズとのコラボレーションを発表。去る2023年3月16日、ロンドン南西部のバタシー・アーツ・センターで開催された記念イベントで、そのファッション界の革命児は、日本からの取材にこう答えた。

キム・ジョーンズと彼がデザインした「ヘネシーX.O」のボトルとスニーカー

数々のコラボレーションを手がけるキム・ジョーンズによる「ヘネシーX.O」のデザインボトルとスニーカー。左: 2023年6月2日より発売の「Hennessy X.O by Kim Jones リミテッドエディション」¥34,430 中:世界限定200本の「Hennessy X.O byKim Jones マスターピース」価格未定 右:「HNY low by Kim Jones」※日本未展開

「ヘネシーX.O」は1870年に世界で初めてX.O(eXtra Old)の名が与えられたコニャックだ。約100種類のオー・ド・ヴィー(=生命の水/原酒)をブレンドしてつくられており、その個性的なボトルデザインはつとに有名。

過去には建築家のフランク・ゲーリーや、プロダクトデザイナーのマーク・ニューソン、映画監督のリドリー・スコットらと協業し、限定ボトルやキャンペーンを制作してきた。いずれもヘネシーの歴史やクラフツマンシップから着想を得たもので、今回のコラボレーションにおいても、キム・ジョーンズは世界のトップクリエイターらが過去にしたように、ヘネシーの故郷、フランス西部のコニャック地方を訪れたという。

「その圧倒的なアーカイブに、そしてマスターブレンダーの存在に興味を持ちました。創業以来、フィリュー家の一族だけが長きにわたって香りを嗅ぎ分ける鼻と舌を受け継ぎ、洗練された技術を継承していることはアメージングです」

キム・ジョーンズ氏

ロンドンで開催されたローンチイベントに数々のセレブリティと一緒に参加したキム・ジョーンズ。「ヘネシーの歴史と伝統に魅了されました。私はオーセンティックで本物であると感じるものとコラボレーションをしたいのです」

品質へのこだわりとグローバルな視野

毎日、午前11時。ヘネシー本社のとある一室に、テイスティングコミッティのメンバー(現在は8名で構成)がフィリュー家出身のマスターブレンダーのもとに集まる。彼らはここでオー・ド・ヴィーを試飲、選別するのだ。それはヘネシーの品質、サヴォアフェール(匠の技)を受け継ぐ儀式でもある。

ヘネシーが大切にしているのは正確性と完璧さ。ゆえにテイスティングが始まるのは11時きっかり、ひとりではなく複数人でテイスティングは行われる。

肖像画が飾られたテイスティング部屋

コニャックにある本社のブレンダーがテイスティングを行う部屋。棚には各年代のオー・ド・ヴィー(原酒)が並び、壁には6代目マスターブレンダー、レイモンド・フィリューの肖像画が飾られる。

8代目マスターブレンダー、ルノー・フィリュー・ド・ジロンドは、自身の仕事に対してこう語る。

「我々、ブレンダーは“garant de la qualité”(品質の保証人)でなければいけません。そのために完璧な仕事を心がけています。完璧であることは、感動をもたらしてくれ、人生に喜びを与えてくれるものですから」

数千種あるともいわれるオー・ド・ヴィーをブレンドし、まったく同じ品質のコニャックの味を維持し続ける。ブレンダーは過去に思いを馳せ、先人たちを敬いながら未来を想像し、伝統をつないでいくのである。

8代目マスターブレンダーのルノー・フィリュー氏

2018年に8代目マスターブレンダーに就任したルノー・フィリュー。膨大なオー・ド・ヴィーを秘伝の配合でブレンドするチームを率いる。「マスターブレンダーは品質の保証人でなければいけません。そのために完璧であることを追求します」

「Hennessy 8」

ルノー・フィリューの8代目就任を記念してつくられた特別品「Hennessy 8」。

ちなみにコニャックとはブランデーの一種で、フランス・コニャック地方で生産されたものを指す。ブドウからつくられたワインを蒸留したものがブランデーで、コニャック地方で初めてブランデーが誕生したのは16世紀中頃といわれている。

その生産方法は、まずコニャック地方で採れたユニ・ブラン種を中心としたブドウから搾りとった果汁を発酵。できあがった白ワインを蒸留し、加熱により発生した香り高いアルコール分を含む蒸気を集め、冷却して液体に戻す。

こうしてワインの芳香と風味が凝縮された蒸留酒が完成する。しかもコニャックはこの蒸留を2回行う。今度は蒸留酒を上質なオーク材製樽に入れて熟成させる。これにより無色透明の蒸留酒は琥珀色に変化し、独特な香りを纏(まと)う。

そして、熟成年度の異なるオー・ド・ヴィーをブレンド。この工程において大きな役割を担うのがマスターブレンダーなのだ。異なるオー・ド・ヴィーを組み合わせて長きにわたって同じ品質に仕上げる――そのブレンドの技はマジックであり、アートといっていい。

ヘネシー蒸留所

銅製のポットスチルが並ぶ蒸留所。ヘネシーでは2回にわたって蒸留を行う。

貯蔵庫

65ある貯蔵庫には35万バレル以上の樽が並ぶ。非常に古い原酒は樽からダムジャンと呼ばれる壜(びん)[写真奥]に移して保管される。

そんなコニャックの代名詞ともいえる存在がヘネシーだ。メゾンの年間生産本数は5000万本を超え、世界市場でシェア40%を占めるといわれている。創業は1765年。アイルランド将校、リチャード・ヘネシーが蒸留所を設立し、未来を見据えてコニャックビジネスに参画。250年を超える歴史のなかで、確かな栄光を築いてきた。

ヘネシーが世界で圧倒的なシェアを誇る理由はふたつ。ひとつ目はそのクオリティだ。コニャックづくりにおいてはかたくなに伝統を重んじ、多彩なオー・ド・ヴィーをブレンドする。メゾンの魂ともいえる秘伝の作業は、代々にわたってフィリュー家が担うというパートナーシップが確立されている。

ふたつ目はそのグローバルな視野にある。ヘネシー家は創業初期から常にフロンティアスピリットを持ち続け、18世紀末にアメリカに進出。その後もロシア、中国へと海を渡り、1866年には日本にも上陸したという記録が残っている。こだわり抜いた美酒は世界で支持され、現在では5大陸140ヵ国で愛されている。

また、その熟成期間によって格付けをしたのもヘネシーが最初だ。1870年に世界で初めて“eXtra Old”の名が与えられた「ヘネシーX.O」をはじめ、V.S(Very Special)、V.S.O.P(Very Superior Old Pale)といった等級を名前にするのは、今や一般的となっている。

そのほかにも、樽での輸出からガラス瓶にボトリングしての輸出への変更や、200年の時を経たオー・ド・ヴィーのブレンドによる傑作「リシャール ヘネシー」を誕生させるなど、コニャックの歴史を塗り替えてきたヘネシーは、まさにコニャックの歴史そのものなのである。

ヘネシーを味わう。それは過去と未来を思うこと

コニャックの地にはメゾンの本社、いくつもの蒸留所や貯蔵庫のほかに、「シャトー・ドゥ・バニョレ」と呼ばれるヘネシー家のファミリーハウスがある。ここはヘネシーが特別なゲストを招く迎賓館。3代目オーギュスト・ヘネシーが妻のために手に入れたコロニアル様式の建物だ。

館内にはヘネシーの歴史を感じさせる品々が飾られ、栄光に浸ることができる場所となっている。館の前にはコニャック樽をここから世界に運んだシャラント川が流れ、おそらく歴代の当主は、この館から川を眺めては世界を想像し、未来を見通していたに違いない。

「シャトー・ドゥ・バニョレ」

コニャックにある「シャトー・ドゥ・バニョレ」。創設者、リチャード・ヘネシーの肖像画も飾られる。

そもそもコニャックづくりとは何十年もの間、樽の中で静かに眠るオー・ド・ヴィーが絶えることのないように調整しながら出荷量を増やすなど、将来へ準備をする仕事。止まることなく、そして満足することなく、未来に向けて進んでいく。トップクリエイターとの革新的なコラボレーションも、現状に留まらないための未来への布石だ。

つまり、ヘネシーを味わうということは、時に思いを馳せることなのだ。ヘネシー家やフィリュー家をはじめ、コニャックづくりに携わる人々が過去に敬意を払い、未来を思い描いたように――。

琥珀色のヘネシーを口にし、豊潤な香りと余韻に浸る。それは自身の歩みを思う時間だ。豊かな人生とは何か――比類なき美酒はそれを教えてくれる。

「Never Stop, Never Settle.」――ヘネシーのスローガン

問い合わせ
MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9731

TEXT=ゲーテ編集部

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