GOURMET

2023.04.18

スティーブ・ジョブズと共にAppleを盛り上げた元重役が、日本食に特化したワインを手がけた理由

2023年4月、カリフォルニアからユニークな出自のワインブランドが日本上陸を果たした。その名も「Xander Soren Wines」という。

「Xander Soren Wines」

日本⻝とのペアリングを想定し、10年間にわたり開発

「Xander Soren Wines」は、世界初となる、⽇本食を引き立たせるために造られたカリフォルニアワインだ。

日本食の様々な食材と組み合わせることができる汎用性の高さと、寿司や出汁にも合わせられるほどの繊細さを併せ持つことから、使用するブドウはピノ・ノワールのみという徹底ぶりである。

「Xander Soren Wines」は、旧世界のエレガントなワイン醸造スタイルを採用し、アルコールやオークの風味を極力抑えることで、日本食の繊細な味わいに寄り添うスタイルを追求。パワフルでフルーティなイメージが強いカリフォルニアワインだが、「Xander Soren Wines」のそれは、透明感とエレガンスを感じさせるものだ。

「Xander Soren Wines」を手がけるザンダー・ソーレン氏は、21年間、Apple社の幹部として、初期の iTunesとiPod、世界で最もポピュラーな音楽制作ソフトウェアGarageBandといった歴史に残る製品の開発に携わった人物。まさにスティーブ・ジョブズが新製品で社会にイノベーションを起こした、本人曰く「魔法のような時間」をAppleで過ごしたという。

2022 年後半に Appleを退職し、今、その情熱を注いでいるのがワインプロデュース業。ではなぜ日本食とのペアリングに特化したワインなのか?と言えば、それは、ソーレン氏が大の⽇本贔屓であるからに他ならない。

「Xander Soren Wines」

⽇本のワインメーカー、アキコ・フリーマンが所有する畑のブドウを使用した「2019 Yuki Vineyard」、サンタ・リタ・ヒルズで最も古いブドウ畑をブレンドしたプレミアムなブラックラベル「2020 LUDEON」などをラインナップ。

幼少期から日本のカルチャーに夢中になり、2002年に初来日した以降、南は福岡から北は秋田まで少なくとも40回は訪れているというソーレン氏。カジュアルな居酒屋料理から割烹料理、ざるそば、漬物など様々な⽇本の料理を味わい、日本食の地域性も理解するほど造詣を深めるなかで、⽇本では和食に日本酒だけでなく、フランスワイン(特にブルゴーニュの白赤、そしてシャンパーニュ)を合わせることもあると知ったのが、アイディアの発端だったという。

カリフォルニアの象徴的なブドウ畑のブドウを使って、日本の文化と料理に敬意を表せるワインを造る。ソーレン氏にとってそれは、とても自然な流れだったに違いない。

2012年にごく少量のテスト生産から始め、「カイゼン(改善)」の哲学の下で、⽇本のシェフやソムリエ、ワイン愛好家からのフィードバックを集め、静かにワイン造りを行ってきたソーレン氏。そして2023年4月、10年以上の歳月をかけて、ようやく、初ヴィンテージとなる2019年ヴィンテージのリリースに至ったのである。

去る4月3日にパークハイアット東京でお披露目をし、その後、4月中旬よりレストランやホテルへのワイン販売を開始。5銘柄がラインナップされるが、そのどれもが100ケースにも満たない少数生産となる。11月には「楽しくてカジュアル」な新しいワインもリリース予定というから、その続報を待ちたい。

問い合わせ
Xander Soren Wines https://xandersorenwines.com/

TEXT=ゲーテ編集部

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