水、植物、花などハワイの自然の恵みを存分に味わえるのはお酒だ。ハワイの地に敬意を払い、伝統的な製法を用いた、この地ならではのラム酒、蜂蜜酒、日本酒の3種を紹介する。※GOETHE2022年9月号掲載記事を再編。
1.飲むとクセになる、ハワイの美酒「コハナ・ラム」を知ってる?
伝統製法でつくられるラム
ホノルルからクルマで約1時間のオアフ島西部・クニアに位置するのがコハナ・ラム蒸留所「コハナ ディスティラーズ」だ。1959年に建てられたドーム型の広々とした歴史的建造物が、蒸留所兼テイスティングルーム。近隣では、伝統的なサトウキビ34種を栽培し、現在9種類をラム酒に使用している。
ここで購入できるのは、全世界でも2%といわれる伝統的なアグリコール製法でつくったラム酒。蒸留に糖蜜を使わず、サトウキビを搾ったジュースをそのまま発酵・蒸留するため、サトウキビ本来の味わいを楽しめる贅沢なものだ。ツアーに参加すると、その場でサトウキビジュースと4種類のラム酒が試飲できるが、これが絶品。
2.100%ハワイ産の蜂蜜を使った、オアフ島の新定番酒「ミード」とは?
オアフ島では唯一の蜂蜜酒
ハワイのお土産といえば、クマのボトルに入った蜂蜜を思いだす人も多いだろう。この蜂蜜を原料としてつくられるワイン「ミード」は、古代ピラミッドの時代からつくられていたといわれ、長い歴史のあるお酒。
そのミードをマノアハニーオーナーの埋橋さん夫婦が、パンデミックの間に、試行錯誤しながら完成させた。原料は水と蜂蜜とハワイのフルーツ。アルコール度数は7.6%から13%で、蜂蜜の酒といっても甘さが際立つということはなく、フルーティなシャンパンのようなテイストだ。
3.喉ごしがいい! 唯一のハワイ産日本酒「アイランダー 純米吟醸」
約30年ぶりに復活した酒蔵「アイランダー」が手がける
ハワイでの日本酒づくりが途絶え三十数年。2020年3月にカカアコに日本酒のメーカー、アイランダー・サケ・ブルワリーを創業したのが高橋千秋さんだ。ハワイに酒蔵が復活した瞬間だった。
「ハワイって本当に癒やされる場所。だからここで飲むなら、ハワイの軟水と美味しいお米を使って、のど越しがよくてフレッシュな日本酒を目指しています」
高橋さんは日本で研究者として働き、杜氏(とうじ)となった異色の経歴を持つ。3年前にハワイに渡り、困難を乗り越えながら今にいたる。