2009年から’15年の6年半、のべ500日以上をかけて、47都道府県を旅した中田英寿さん。そこで出会った数々の酒蔵には、ある共通点があった。それは、「良質な蔵元であればあるほど、良質な食を知り尽くしている」ということ。中田さんが出会った全国津々浦々の特別なる蔵人にしか知りえない、最高に旨い"地元の名店"を「ゲーテイスト2019特別版」として紹介する。
『日本酒 bar 旅籠』 仙台市/バー
推薦人
「一ノ蔵」/一ノ蔵 鈴木 整さん(代表取締役社長)
杜の都・仙台の美しい並木通り、定禅寺通を見下ろす場所にある日本酒バー。「宮城はもちろん、東北を中心に唎酒師のオーナーがセレクトした日本酒が常時60種類ほど並びます。地元だけにそのそろえはプレミアム。それぞれの蔵元が足繁く通う、とっておきのバーです。窓一面がガラス張りで開放感があり、年末の定禅寺通りのイルミネーションはここから眺めるのがマイベスト。東北の日本酒を盛り上げていこうというスタッフたちの熱意も心地いいんですよね。仙台駅からのアクセスもいいので、出張の際の2軒目にぜひ立ち寄ってみてください」
日本酒 bar 旅籠
宮城県仙台市青葉区一番町4-10-11 FRK3F
TEL:022-797-4490
https://www.sake-japan-hatago.jp/
一ノ蔵
宮城県内の酒蔵4社、浅見商店、勝来酒造、櫻井酒造店、松本酒造店がひとつになり、昭和48年に生まれたのが「一ノ蔵」。40人もの蔵人が働く「一ノ蔵本社蔵」に加え、宮城県栗原市には第二蔵となる「金龍蔵」も。五感を駆使した手づくりの酒造りを24時間体制で行い、南部杜氏伝統の技と心を継承する。「よりよい酒づくりはもちろん『一ノ蔵を楽しむ会』を全国で開催するなど、日本酒文化の継承と発信も我が蔵の使命と考えています」
銘柄:一ノ蔵、すず音、ひめぜん
創業:昭和48年
住所:宮城県大崎市松山千石字大欅14
TEL:0229-55-3322
https://ichinokura.co.jp/
『蔵王料理 のうらく伸』 蔵王町/日本料理
推薦人
「蔵王」/蔵王酒造 渡邊 毅一郎さん(常務取締役)
「畑に箸を持って食べに行く」とコンセプトに掲げる、蔵王食材を供する予約必須の日本料理店。「駅から車を走らせること15分、田畑の中にポツンとこのお店が見えてきます。『蔵王』も数多くそろっていて、料理とお酒を合わせる会を開催してもらうことも。その打ち合わせでは、『少し待ってて』と主人が自分の畑から野菜を収穫してくることもあって、すごく楽しい。ちなみに主人のお兄さんは米農家で、縁あってうちの酒米を作ってもらうことになりました。その酒米の酒粕を田んぼで肥料に使ってもらうなど、いい循環ができています。ビブグルマンにも認定された、大地の恵みを存分に堪能できる蔵王の名店です」
蔵王料理 のうらく伸
住所:宮城県刈田郡蔵王町宮字二屋敷129-1
TEL:0224-26-6101
蔵王酒造
蔵王連峰の伏流水と冬の蔵王颪の寒風という自然の恵みを活かし、酒造りを行う。「現在杜氏が32歳、副杜氏が33歳、そして僕が31歳。若きメンバーで蔵王らしさとは何かを追求しながら酒を醸しています。私たちが好きなのが、一杯目より二杯目がうまいという飲み飽きしない酒。ファーストインプレッションは強くなくても、持ち寄ったときに気がつけば一番最初になくなっている。そんなお酒を目指しています」
銘柄:蔵王
創業:明治6年
住所:宮城県白石市東小路120-1
TEL:︎0224-25-3355
https://www.zaoshuzo.com/index.html
『氏ノ木』 仙台市/居酒屋
推薦人
「山和」/山和酒造店 伊藤大祐さん(代表取締役社長)
割烹のような雰囲気の大人の居酒屋で、丁寧に仕事がされたコストパフォーマンスの高い料理がいただける。「名物は『究極のアジフライ』です。火の通りはミディアムレア。まずはサクッと、さらにフワッとしたふた通りの食感が楽しめます。手づくりのタルタルソースがまた絶品で、味の変化をつけながら食べるのが楽しい。もちろん『山和』との相性は最高です。春の『せり鍋』も絶品だし、個人的にはカワハギの刺身など、旬の鮮魚もよくオーダーします。肩肘張らずに、でも落ち着いた空間で、しっかりおいしい食事と酒がいただきたい。そんなときに足を運ぶ頼れるお店です」
氏ノ木
住所:宮城県仙台市青葉区一番町1-6-19 壱番館ビル1F
TEL:022-397-7224
山和酒造店
宮城県の北西部、山形県に隣接する加美町に蔵を構える。現在は量より質を重視した酒造りに舵を切り、米洗いから搾りまで極力手作業に戻し、『山和』に関しては純米酒だけの酒造りに挑んでいる。「一杯目のインパクトではなく、二杯目、三杯目に更に楽しんでもらえるような食中酒を目指しています。酒だけでも食事だけでもない、両方を存分に楽しめるのが理想。流行り廃りとは違う、ブレない酒をこれからも醸していきます」
銘柄:山和
創業:明治29年
住所:宮城県加美郡加美町南町109-1
TEL:0229-63-3017
『歓の季』 仙台市/創作和食
推薦人
「伯楽星」/新澤醸造店 新澤巖夫さん
「トップに和風ジュレ、下に生ウニとウニプリンが入っている『うにプリン』が名物のお店です。この一品を目当てに遠方から来られるお客さんも多く、いつも予約でいっぱいなんですよ。旬の素材を使っているのでその時々でメニューは変わりますが、8品で4000円のコースがあり、みなさんそのリーズナブルさに驚かれます。ぜひ一度、『うにプリン』を食べてみていただきたいですね」
推薦人
「勝山酒造」/勝山酒造 伊澤平藏さん
「お料理と合うお酒をご主人が選んでくれるのですが、そのセレクトにいつも感動があるんです。和食屋さんなのに、ワインを出してくださることもあるんですよ。日本酒も、お料理と一番合うように熟成されていたり。蔵元である私たちにも、学びと発見があるんです」
住所:宮城県仙台市青葉区国分町3-2-10
TEL:022-215-0363
新澤醸造店
「究極の食中酒」という意志のもと、宮城県の風土に根差した酒造りをしている新澤酒造。「東日本大震災により、創業時から守られていた蔵が全壊してしまうという被害を受けましたが、同年11月に山形県との県境に位置する川崎町に移転をし、逆境にも屈することなく酒造りを再開しました。新しい街でつくった『伯楽星』は、以前にも増して、よりきれいな酒になったと言われています」
銘柄:伯楽星ほか
創業:明治6年
住所:宮城県大崎市三本木北町63
TEL:0229-52-3002
https://miyagisake.jp/kuramoto/niisawa/
勝山酒造
仙台を代表する銘酒醸造元。「宮城県で現存する唯一の伊達家御用蔵です。勝山のフラッグシップ純米大吟醸『暁』は遠心分離機を使って高純度のエッセンスを抽出し、ふくよかで透明感のある酒質の実現に成功しました。『勝山』はよく冷やし、ワイングラスでいただくのがオススメです」
銘柄:勝山
創業:元禄年間
代表者:伊澤平藏
住所:宮城県仙台市泉区福岡字二又25-1
TEL:022-348-2611
https://www.katsu-yama.com/
中田さんが開発している日本酒アプリ「Sakenomy」では、さらなる情報を公開! さらなるレストランに加え、宿やお取り寄せ情報も掲載しているので、宮城を旅するときのお供に!!