GOURMET

2019.05.07

岩手の醸造家が手がける絶品発酵料理『とおの屋 要』

フードロスが悩ましい昨今。昔からの知恵"保存食"を新たな解釈で再構築する動きが出始めている。その最先端を行く店をご紹介。

【画像】とおの屋 要

発酵を巧みに生かしたフルコース

どぶろく文化が根づく土地・岩手県遠野で生まれ育った佐々木要太郎氏は、料理人であると同時に醸造家の顔も持つ。

米は土づくりからこだわり、無農薬、無肥料で地元原産品種の米を自家栽培。従来のどぶろくとは一線を画す味わいを生みだし、世界からも注目されている。

自らの名を冠したオーベルジュでつくりだす料理も秀逸。高級食材ではなく、「市場で売り切ることができない」と託された魚介や畜肉の命を、発酵の技術を駆使し、手間と時間をかけて岩手や遠野の食材の価値を高める料理へと昇華させる。

「猟師だった曽祖父が射止めた鹿の干し肉、曽祖母がつくっていた熟鮓、京都で茶懐石の料理人をしていた父の教えをベースに、現代の味に再構築しています」と佐々木氏。発酵が生む香りや旨味を美しいハーモニーにまとめる深い考察と卓越したセンスに底知れぬ才能を感じる。

【画像】とおの屋 要

日本に伝わった米の原種赤米を使った、噛み締めて味わうリゾットを信州地鶏・ぎたろう軍鶏の熟鮓とともに。

【画像】とおの屋 要

豚の発酵ソーセージをカリッと焼いて、砕いたピーナッツ、カリフラワーのソースで。こちらは、自家栽培のタイのハーブ・ホラパーをかじりながらいただく。

【画像】とおの屋 要

熊肉のラープ(炒り煮)。タイでは鶏か豚を使うとこ ろだが、三浦氏は箕輪町で手に入れることができる脂 が美味しい熊を使う。季節の野菜をかじりつつ、ソー スはもろみを練り混んだパンにつけて。※ 料理はすべてコースの一例。

Tonoya Yo
TEL:0198・62・7557
住所:岩手県遠野市材木町2-17
営業時間:18:00~19:00に入店
休み:不定休
席:8席
料理:コース¥7,500、¥14,000(2日前までに要予約)

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=奥山淳志

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