
オデッセイ号の船体には海況によって左右に伸縮するソーラーパネルを装備する。双胴にすることで表面積を広げ、パネルへの着水も抑える。ここから取りこむ太陽光に加え、海水を水素に分解し、燃料電池として貯蔵するシステムを装備。さらに推進力に寄与するのが40㎡の大型カイトで、自動操舵で風を受け、4~8ノットで牽引帆走が可能だ。
晴海埠頭に突如姿を現したソーラーパネルの巨大船
レース・フォー・ウォーター・オデッセイについて知ったのは、2018年のバーゼルワールドだった。海洋プラスティック汚染について広く警鐘するため、5年をかけてオデッセイ号で世界を大航海する。
ブレゲはこのプロジェクトに賛同し、その年フルモデルチェンジしたブレゲ「マリーン」コレクションの新たな船出を祝し、活動への参加を宣言したのだ。

世界36ヵ国目となる日本、晴海埠頭に寄港。航海期間は約5年、これまで世界の約35の寄港地を巡った。フランスを出港し、大西洋から太平洋を越えて、オーストラリアやインドネシアを経て北上。現在、日本に寄航する。写真は船上デッキ。操舵室からの視界が十分でない時は、乗組員がこの吹きさらしでワッチ(見張り)に立つことも少なくないそうだ。
あれから2年が経ち、オデッセイ号は東京湾に静かに停泊していた。実際に目の当たりにすると、そのスケールに圧倒される。カタマラン(双胴船)の船体はまるでUFOのようだ。デッキに上っても周囲をソーラーパネルに囲まれ、そこが船上であることを感じさせない。
太陽と風、水を動力に、操船に関わる乗組員はわずか5名というのも驚かされる。だがそれだけソフトエネルギーが偉大であることの証明でもある。

オフィスのような雰囲気で、中央に備えた舵が唯一、そこが操舵室であることを示す。100tを超す巨軀(きょく)にもかかわらず、視界は極めて狭く、前面のモニターが頼り。
船内にはセミナールームが設けられ、世界の寄港地で環境保全に向けたプレゼンテーションやレクチャーを行う。それも航海の大きな目的だ。
環境保護に対し正論をかざすのはたやすい。だがそれは実体験を通してこそ価値があり、説得力がある。それも冒険という好奇心と発見の喜びがあるからこそ語られる内容は、より共感を呼び、深く沁(し)みる。社会が閉塞する今、この航海はさらに輝きを増し、未来を拓く勇気を与えてくれるだろう。

ブレゲファン垂涎! クルーのみが着用できるコレクションウォッチ
クルーのためだけに作られた限定モデル"レース・フォー・ウォーター" スペシャル・エディション。マリンクロノメーターの伝統を継承し、大海原を思わせる美しいブルー文字盤に、オデッセイ号の俯瞰図(ふかんず)を描いた。自動巻き、Tiケース、非売品。