上司から「期待している」「伸びしろがある」と言われる。でも、昇給も役割の変化もない――。そんな状況が続けば、「自分は本当に評価されているのか?」と不安になるのも無理はない。上司からの「期待」を、具体的な評価につなげるにはどうすればいいのか。5,000社以上が導入する組織マネジメント理論「識学」を提唱する安藤広大氏が解説する。【その他の記事はコチラ】

「期待している」と言われても、具体的な評価につながらない理由
【相談】“期待している”と言われ続けるだけで報われないです(20代後半・研究職)
上司からはいつも「期待している」「伸びしろがある」と言われます。でも、具体的な昇給や役割の変化はありません。評価されていないわけではないと思いたいのですが、報われている実感もありません。
“期待している”ということは、評価につながらないものなのでしょうか? そしてこのままずっと“期待枠”のまま働く状態は、どう捉えたらいいのでしょうか。
上司の「期待している」という言葉は、時にプレーヤーを奮い立たせる。自分の能力を認められたと感じるからだ。ただ、その言葉を信じて結果を出しても、具体的な評価につながらなければ、「もしかしたら口だけの称賛なのでは」と疑問を抱くのも当然だろう。
「上司の“期待している”という言葉は、あなたの能力を認めていることは間違いないと思います。自信は持ったほうが良いでしょう。
ただ、上司にとって“評価すること”は自分の権限です。既得権益化するために、評価を抽象的にしがちなのも事実です。これまでみてきた会社でも、無意識なのか意識的なのかは人によって異なりますが、評価を抽象的にしておいたほうが安全だと考える上司も多いです。
評価を明確にすれば、上司としては、その結果に必ず応えなくてはいけなくなりますよね。だから曖昧にしてしまうんです」
ゆえに識学による組織運営の改革では、評価基準の明確化は基本中の基本となっているのだ。
「評価されない理由」ではなく「評価を得るために何をすべきか」を聞く
「だから部下の立場で言えば、自分の安全性を確保するためには、評価を明確にしてもらうことが必要です。チャンスを与えてもらってありがたいけれど、報われていないという感覚があるのであれば、『報われるためにはどうしたらいいのか』ということを、ちゃんと開示してもらうべきだと思います」
自分の疑問を解決するためには、「評価されないのはなぜか」ではなく、「評価を得るためにはどうすべきか」と問うことが必要なのだ。
「もちろん、100%開示されないかもしれません。それでも、曖昧な状況のままでは、いつまでたっても同じことの繰り返しです。できるだけ目標を数値として明確にしてもらう。自分が求められていることを具体化してもらうわけです。
そうすれば、単なる『期待』という言葉が、数値目標になった瞬間に、『できるか、できないか』という具体的な会話になる。もし今すぐできない数値であっても、『まださすがに厳しい』と伝えることもできますよね。上司の期待値と自分の結果のギャップも埋めることができるはずです」
「期待」を具体的な目標に変えれば、評価とのズレは減らせる
上司からの期待は、能力を認められ、信頼されている証でもある。ただし、上司と部下の双方がその期待値を曖昧なままにしていては、いつまでたってもすれ違ったままだ。
「期待している」と言われたときこそ、何を達成すれば評価につながるのかを具体的に確認する。プレーヤー自らが動くことで、漠然とした「期待」を、確かな評価につなげていきたい。
安藤広大/Kodai Ando
識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。

