ビジネスの最前線で闘うリーダーやスペシャルな人の傍らには、仕事に活力を与え、心身を癒やす、大切な愛用品の存在がある。それらは、単なる嗜好品にとどまらず、新たなアイデアの源となり、自らを次のステージへと引き上げてくれる、最強の相棒=Buddyでもあるのだ。今回紹介するのは、シーラホールディングス取締役会長兼CEO 杉本宏之氏の相棒・マイニングマシン。特集「最強の相棒」
テクノロジーを活かせるかは生き残りの分かれ道
「ハーレーを買った時よりも、船を買った時よりも、これを手に入れた時のほうが興奮しましたよ」
シーラホールディングスの杉本宏之会長が、熱狂しているもの、それがこのマイニングマシン。昨年末に個人と会社で約6000万円を投資し、AIシステムの開発を行う企業「デベル」の李天琦(リテンキ)代表とつくり上げた。
「彼らがマイニングマシンを作ってみたいという話をしていまして。素晴らしい技術を持つ集団ですから、僕も面白そうだと、まずは、個人として彼らとつくったんです。繊細なマシンですから、粉塵が溜まらないようどうエアフローを設計するか、どうせなら配線もカッコいいものが、など横から意見を言わせてもらって(笑)。興奮しながらつくりました」
マイニングマシンとは、暗号通貨の取引認証のためのブロックチェーンの計算を24時間365日行うマシンだ。その計算の報酬として、新規発行された暗号通貨を得ることができる。大量の情報を扱い、暗号通貨を〝マイニング〞=〝採掘〞するのだ。
「こんなに面白いものはないと思いましたね。間違いなく高性能なものができたので、せっかくなら他の人にも使ってもらいたいと思うようになったんです」
12月に個人としてこのマシンを完成させてから、1ヵ月でシーラグループの事業としてこのマイニングマシン販売を開始。販売開始から5分で用意した100台のマシンがすべて完売するほどに、多くの人たちから注目を集めている。1台約350万円、さらに小さく安価な1台235万円のモデルもあるという。「2年前から、不動産とテクノロジーの融合『プロップテック』を掲げて改革を進めてきました。今後テクノロジーの進化は止まることはありません。デベロッパー含めてそれをどう活かしていくかを考えることが、企業として生き残れるかどうかの分水嶺になります。そのための優秀な人材も集まってくれ、いい化学反応が起き始めています。リーダーとしてもテクノロジーを理解し、会社を変えていかないといけないと思っています」
新しい挑戦をしなくなったら、それは老けたということ
杉本氏は2年前からプログラミングをゼロから学び、今やエンジニアたちと技術の話で激論を交わすまでに。さらに昨年から始めた不動産クラウドファンディングのプラットフォームサービスは、わずか7ヵ月で利用者10万人を突破。新しいことに挑戦し続けるその力の源とは。
「新しいことに挑戦できなくなったら、それは老けたということ。新しいこと、新しい人との出会い、面白いと思えることを素直に楽しめる、それが事業家として当然に持っていないといけない心構えだと思います。マイニングマシン事業も、クラウドファンディングサービスも社内では反対がありました。ただ、実績を出していくことで、今や社内全体が注力してくれるように。その結果どんどん夢が膨らんで、新しいことをしてみたくなる。まぁ、自分でもポジティブな性格だなと思いますけどね(笑)」
少年のように目を輝かせる杉本氏。このマシンもその止まることを知らない好奇心と挑戦心を、象徴するひとつなのだ。