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2022.04.08

「勉強しなさい」は響かない。子供の成長を促す”Do Your Job”とは?──連載「イノベーターの子育て論」Vol.7

日本のビジネス界やエンタメ界を牽引するイノベータ―たちの“子育て論”に迫る本連載。第7回目は、アメアスポーツジャパンの代表取締役社長、ショーン・ヒリアー氏をフューチャー。日本人の妻との間に生まれた20歳の長女と19歳の長男とは、今でもいっしょに旅行をし、スポーツに興じるなど、自他ともに認める仲良し親子だ。ハッピーな家族を築いたヒリアー流子育てを聞く。【連載 イノベーターの子育て論はこちら

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兄をライバルに、スポーツ三昧だった幼少期

サロモン、ウイルソン、スント、アトミック、アークテリクス、アルマダという世界的な人気を誇る6つのスポーツ&アウトドアブランドを展開するアメアスポーツジャパン。2022年3月にはアークテリクスが初めての郊外店として、ファミリー層も多い二子玉川に直営店をオープンさせるなど、このコロナ禍でも順調に業績を伸ばしている。その代表取締役社長を務めるショーン・ヒリアー氏が生まれ育ったのは、アメリカ・シアトル。幼少期からスポーツ三昧の日々を過ごしていたという。

「両親は共働きで忙しかったので、遊び相手はもっぱら兄や友達でした。兄も体を動かすことが好きだったので、学校から帰ると、いつもいっしょにプレーしていましたね。いろいろなスポーツをしましたが、兄に負けたくないと頑張ったおかげで、高みに行くことができました。スポーツでの成功を後押ししてくれた兄には、心から感謝しています。
両親は、休暇になるとヨセミテ国立公園やイエローストーン国立公園などに連れて行ってくれました。私が、アウトドアやスポーツが好きなのは、家族の影響が大きいと思います」

そう楽しげに家族との思い出を語るヒリアー氏。両親が多忙で、平日一緒に過ごす時間が少なかったとはいえ、孤独や寂しさを感じることはなかったようだ。それは、「自分が必要とする時は、両親はいつもそばにいてくれたから」だという。

「子どもの頃、私は学習障害を抱えていて、『読む』という行為が苦手でした。両親はそれにいち早く気づき、それに特化した学校に通わせてくれたんですよ。早い時期に、適切な指導を受けられ、また良い先生方に出会えたおかげで、その問題を克服することができました。私は、とてもラッキーだったと思います。いっしょにいる時間は少なかったかもしれませんが、両親の愛情を疑ったことはないし、それは今も変わりません」

人生は、良い時もあれば悪い時もある。どんなに仲が良く、幸せな家族でも、常に順風満帆ということはありえない。壁にぶち当たった時こそ、家族の絆が試されるのだろう。

「実は、長女が小学校1年生の時、学校で友人関係のトラブルに巻き込まれたことがありました。妻は、学校や保護者と根気よく、ていねいにコミュニケーションをとり、娘ともじっくり話し合ってくれたおかげで、状況は改善できましたが……。私は、言葉の問題もあって、対外的な行動を起こすことはしませんでした。けれど、落ち込んでいる娘に寄り添い、『パパは君のことを愛しているよ。いつでも君の味方だよ』と、ひたすら伝え続けました。どんな時も、親は子どもの一番の味方でいる。それは、私が子育てで大切にしていることのひとつです。そして、苦しい時、辛い時ほど、家族が手を取り合い、協力することが大切。それこそが、家族なのだと思います」

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ヒリアー氏と家族。長女も長男も大学生となり、一緒に過ごす時間が少なくなったぶん、自宅から駅までクルマで送る際の何気ない会話の時間も大切にしているそう。

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2022年3月18日に二子玉川ライズにオープンしたばかりの「アークテリクス」直営店。店舗面積は首都圏最大となる。

両親がいつも口にしていたのは「Do your job」

スポーツ三昧だったヒリアー氏に対して、両親が「勉強しなさい」と言うことはなかった。その代わり常に口にしていたのが、「Do your job」という言葉。「自分に与えられた役割を果たす」ということだ。

「たとえば、野球チームに所属しているなら、ひとりひとりが自分のポジションに真摯に取り組まなければ、チームにマイナスを与えることになってしまいます。もちろん、“job”が勉強ならば、一生懸命勉強すべきだし、スポーツならば全力でスポーツに取り組めばいい。と同時に、成功とは、自ら獲得するものだということも、常に言われてきました。周囲とコミュニケーションをとって、一生懸命取り組めば、必ず成功を勝ち取れると。それは、仕事をするようになってから、さらに実感しています」

コミュニケーション。これは、ヒリアー氏がアメアスポーツジャパンを率いるにあたって、重視していることのひとつだ。社長に就任して1年弱、本部のスタッフの話に耳を傾け、意見を吸い上げるのはもちろんのこと、全国のショップを自ら訪ね、店舗スタッフに話を聞いて回っている。

「お客様のことを一番知っているのは、直接接している店舗スタッフです。お客様が何を望み、何を期待し、何に問題を感じているのか。それを知り、お客様に還元し、アメアスポーツのコミュニティーをサポートしていくことが、当社の役割ですし、その先に、さらなる発展があるのだと思っています」

両親からの教えは、自身の子育てにも大きな影響を与えているというヒリアー氏。後編では、アメリカと日本という異なるバックグラウンドを持つ妻との子育ての楽しさと難しさについて語ってもらおう。

Sean Hillier
1970年アメリカ生まれ。ソフトグッズとアウトドア業界でのキャリアを重ね、デッカーズ、ペントランド、アメアスポーツ、VFコーポレーション、クラークスなどで20年以上に渡ってキャリアを築く。クラークス在籍時は日本と韓国のGM兼代表取締役を務めた。2021年8月より現職。

※後編はこちら

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イノベーターの子育て論

ニューノーマル時代をむかえ、価値観の大転換が起きている今。時代の流れをよみ、革新的なビジネスを生み出してきたイノベーターたちは、次世代の才能を育てることについてどう考えているのか!? 日本のビジネス界やエンタメ界を牽引する者たちの"子育て論"に迫る。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=田中駿伍

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