毎度お騒がせしております。キングコング西野です。今回の記事は、毎朝voicyという音声メディアで配信している「#西野さんの朝礼」でお話したことから、編集して紹介させていただきます。(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ)
今日は『「資産になる活動」について考える』というテーマでお話したいと思います。
【連載「革命のファンファーレ2~現代の労働と報酬」】
第26回 あなたの活動の中で、どれが「資産になる活動」ですか?
僕の活動で「資産」になっているものと、なっていないもの
「資産になるように活動した方がいいよ〜」みたいな話をちょっと掘り下げます。
イメージしやすくする為に、僕の活動を例にお話しします。
まず、ここは踏まえておいていただきたいのですが、僕はCHIMNEY TOWNという会社で働いておりまして、役員報酬なんですね。
まぁ「お給料」と考えてもらっていいと思います。
すっごい驚かれるのですが、固定給なんです。
「とはいえ、たくさん貰ってるんでしょ? 」と思われるかもしれませんが、そんなことはなくて、おそらく皆さんが想像されている20分の1ぐらいだと思います。
これは別に、「清貧」を気取っているわけではなくて、面白いことや、世の中の為に、お金を使った方が(僕が)幸せなので、そうしています。
なので、世間一般的には個人の稼ぎだと思われているVoicyとかYouTubeとかオンラインサロンとか講演会とかの売り上げを、僕は1円も受け取っていません。
今言ったのだけでも年間でウン億円になると思いますが、これらは全て会社に入れて、そこからお給料を貰っています。
このことを踏まえて、聞いてください。
仕事にはいろいろな種類があって、たとえば僕は“ほぼ毎日“コンサルをやっています。
大きな企業さんから、個人事業主(クリエイター)さんまで問わず。
一件につき20万円です。
で、ここ数か月のコンサルの売り上げは、新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』の制作に全額ブチ込みました。
歌舞伎のセット費や照明費、あるいは役者さんのギャランティーにまわしています。
そうすることで、作品に厚みが出るわけですね。
チケット代の売り上げだけだと、あんな派手な照明は作れないんです。
じゃあ、この『コンサル』という仕事は「資産になっているか?」というと、ちょっと怪しいところです。
「『歌舞伎を作った』という実績や信用こそが資産」とも言えるかもしれませんが、どっちかと言うと、コンサルで20万円を稼いで、そのお金が歌舞伎の製作費で消えていて、そして、公演が終わってしまうと、それ以降の売り上げはありません。
「お金を生み出してくれる活動」にはなっていないんです。
※本当にごめんなさい…新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』の千秋楽が中止になりました。
公演中止の決定が出た直後に松竹さんや、偉い人達とかけ合って、『キンコン西野が公演中止になった舞台セットに立って、「プペル~天明の護美人間~」のストーリーを全部喋る会』というオンラインイベントを急遽、開催しました。こちらは、Facebookグループにてアーカイブ視聴が可能です。
こちらから。
メディア出演や、講演会という仕事もそうですね。
自分の時間を支払って、その対価として「お金」をいただけますが、出演後、「自分が時間を投下した講演会が働いてくれる」ということは無い。
一方で、去年11月に公演をおこなったファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は違います。
この企画は、製作費を全額自社で負担して、運用する権利を持っているのですが、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のオンライン配信のチケットは今日も売り続けていて、今でも毎週100枚ぐらいがコンスタントに売れているんですね。
お求めの方は『えんとつ町のプペル オンライン』で検索してみてください。
こちらのオンライン配信チケットの売り上げというのは、印税みたいな形で、キャストさんや、権利主に、未来永劫分配し続けるようにしておりまして、公演が終わった今も、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は働いてくれています。
これが「資産」ですね。
ちなみに、この計画をスタッフに話した時にゾッとされましたが…僕の今後の絵本の巻末にファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のオンライン配信の購入ページのQRコードを載せて、お客さんがずっと入り続けるようにします。
もう一点。
僕は、注文を受けて、書籍にサインを入れて、ポストにブチ込むことでお馴染みの『キンコン西野のサイン本屋さん』というオンラインショップを運営しているのですが、調べてみると、去年の『キンコン西野のサイン本屋さん』の売り上げが2700万円ぐらいでした。
ポイントは「宣伝コストを“ほぼ”割いていない」という点です。
こうして、記事などで時々話題にするぐらい。
「西野 サイン本」で検索した人が、勝手に見つけてくださるようです。
これは、「過去作が働いてくれている」という状況なので、これも「資産」と呼べそうです。
「日銭」なのか「資産」なのかを整理しよう
今、実例をバババッと挙げましたが、資産になっていない活動と、資産になっている活動があったことがお分かりいただけたと思います。
これを、自分に落とし込む時には「名前」をつけた方が考えがクリアになるのかなぁと思います。
日銭を稼ぐ活動を「日銭活動」と呼び、
資産を作る活動を「資産活動」と呼んじゃう。
こうして名前をつけることで、今、向き合っている活動を「日銭活動」と「資産活動」で分けて考えられるようになる。
で、ここからもう一歩、踏み込んだ話になるのですが、忘れちゃいけないのが「資産にも寿命がある」ということです。
YouTubeがイメージしやすいと思うのですが、「過去の動画は稼いでくれる」と言いつつも、今、「アンジャッシュ渡部さんの不倫」について語った動画なんて、誰も観ないじゃないですか?
時事ネタを取り扱った動画というのは、資産の寿命が極めて短い。
エンタメだと「古くならないもの」が強いです。
僕の場合だと「ミュージカル」や「絵本」です。
みたいな感じで、何かしらの活動をする時は、「日銭活動」なのか「資産活動」なのか、そして、「資産活動」だとしても、「その資産寿命はどれぐらいなのか?」という感じで、整理する癖をつけておくといいと思います。
西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。
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