PERSON

2021.07.16

食事制限いっさいなし! 週6日の生放送番組に耐えうる宮根誠司のトレーニング理論

宮根誠司氏

「トレーニングは腑に落ちることが大事」

生放送のキャスターほど過酷な仕事はないのではないだろうか。時事問題から芸能情報まで、時々の話題を解説するとともに持論も述べる。時間内に進行するために使う神経は、どれほどのものなのだろう。

そんなハードな仕事を30年もの間務めてきた宮根誠司。2004年に朝日放送を退社してフリーになってからは、東京・大阪間を移動しながら、現在、週6日の生放送番組に出演する。だが、相当アクティブに仕事をする宮根の心身はそこまで強靭ではない。自身でも「自分の身体は大丈夫なのか?」と深刻に感じた時期があったという。

「3年前の年末に、東京での特番も重なって移動が増えた。その時に初めて、ヘロヘロというか、自分の身体の状態に不安を覚えたんです。それで訪ねたのがこの鍼灸院でした」

ケーブルマシン(プーリー)を使って胸回りを鍛える。自律神経の乱れ等から生じる浅い呼吸の改善にも。

単なるトレーニングジムではない。元は力士という奥村紀計(のりかず)氏が開く「アームズ鍼灸院」は、東洋医学を元にした診療を行い、身体のゆがみやハリなどを診る。その後、必要ならば鍼灸治療もするし、弱い部分を強化するための筋トレ指導も行う。パーソナルトレーニングが基本だ。

宮根も、その日の身体のコンディションを診てもらい、必要なトレーニングを指導してもらうという。

「最初に診てもらった時に、かなりいろいろな部分が弱っていることがわかったので、それからは週に一度、1時間のトレーニングをお願いしています」

スクワット

バーベルを担いで行うスクワットは、お尻回りの筋肉を鍛えるもの。

かつては、ボディメイクに力を入れ、腹筋を割ることを目標にしたこともあった。けれど今は、それよりも身体をニュートラルにしたいと思っている。生放送を毎日やっていると、緊張で身体がこわばり、筋肉が硬くなっていると感じていた。

「トレーニングするうちに、筋トレの意味やどこを鍛えれば今の自分によいかが、ストンと腑に落ちました。僕がやっているのは、ある意味筋トレではなく強烈なストレッチなんですよね」

まずは、ウォーミングアップのために身体を動かし、その後は大きな筋肉、つまり広背筋や肩の筋肉、太腿の筋肉などをマシンやバーベルなどを使って動かし鍛えていく。

人の筋肉は細分化されている。どの筋肉を強化しているのかを理解しながらトレーニングするため、肉体だけでなく、脳もフル回転。

90キロのバーベルを上げながらのデッドリフトやTバーローイング、サイドレイズといった部位に合わせた筋トレを次々にこなす。開始から10分もすると玉のような汗が吹きだしてきた。

「最初はキツいと思いましたが、今はこれがないと、かえって不安になります。食事制限もまったくないから、苦労なく続けられるんです」

白米を中心に、糖質をたくさんとりながら、そのエネルギーで筋トレをするのが、ここのスタイル。痩せることなく、いつしか上半身に筋肉がつき、逆三角形の体型になっていた。

肩(三角筋)を鍛える

肩(三角筋)を鍛えることで、ゴルフスイングなど、腕を使う動きがスムーズに。

「背中や肩を鍛えると、腕や腰に負担をかけず重いものを棚から下ろせる。太腿を鍛えると、つまずくこともない。いわば、リハビリなんですよね(笑)。実はゴルフの上達にもつながっています。僕のレッスンプロを奥村さんに紹介したことで、ふたりの間で僕の身体の情報を共有し、ゴルフ上達のための筋肉のつけ方を、トレーニングに加えていただけるようになりました」

とはいえカメラの前に立つ仕事。前提として、颯爽と見えるようにという想いがある。

「もちろん褒められれば嬉しいですよ。でもそれより今は健康のためです。少しでも長く仕事をするためにも、トレーニングは続けたいですね。身体に自信が持てると、仕事にも自信が持てますから」

 

SEIJI MIYANE

SEIJI MIYANE
1963年島根県生まれ。’87年大阪 朝日放送入社。『おはよう朝日です』等の司会を務め、2004年フリーに。現在は『情報ライブ ミヤネ屋』『Mr.サンデー』などのキャスターを務める。趣味はゴルフ。

TEXT=中井シノブ

PHOTOGRAPH=鞍留清隆

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