師匠か、恩師か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。第35回は、担当医と患者。
千葉西総合病院院長 三角和雄が語る、鎌田 洋
7年ほど前に患者さんとして来られたんですが、たまたま私についてくれている看護師が、鎌田さんの本を読んでいたんです。それで、面白いからと本を貸してもらっていて。治療が終わって問題がなくなったら、「もっとこの病院をホスピタリティマインドに溢れた病院にしたい」と申し出を受けました。それで新人向けに接遇研修をしてもらうことにしたんです。
病院は患者さんを治すところでもあり接客サービス業でもある。ところが、医療サービスの教科書はないんです。看護学校でも医学部でも同じ。その能力がある人に教わるしかない。実際、教育が始まって病院は変わりました。クレームが減り、友人もサービスレベルの高さに感動したと言ってくれて。さすがだと思いました。
どんどん本を出されていてバイタリティ溢れる人ですが、けっこうせっかちで、似たもの同士のところがある。じっとしていられないんですね(笑)。鎌田さん、サービス教育を引き続き、どうぞよろしくお願いします。
今はプライベートでも、先生がディスニーブランドのホテルで開くパーティに呼んでもらって、毎年、家族を連れて行かせてもらっています。ミッキーマウスやミニーマウスがやってきてくれて、子どもたちは大喜びです。生バンドが来たり、コメディアンが来たり、歌手が来たりと毎年、いろんな人たちもやってきて、私も楽しみにしています。やっぱりこうして異業種の世界が見られるのはいいですね。
まだまだ現役で仕事を続けますから、ずっと患者さんとして診させてほしいと思っています。それこそ、命枯れるまでやりますよ。
ヴィジョナリー・ジャパン代表取締役 鎌田 洋が語る、三角和雄
別の病院で心臓カテーテル手術を命じられて、医療コンサルタントに紹介されたのが三角先生でした。即入院、と言われたのですがなんと先生の机の上に私の著書が3 冊ほど置いてあった。これはもう、いい先生だと思って(笑)。
治療が無事に終わり、命の恩人ですから、自分に何かできることは、と思っていました。それで病院についてSNS検索をしたら気になることがあり、接遇研修を提案したんです。そうしたら、その場で事務長はじめ、偉い人を次々に呼び、研修を即決。実は私も同じなんですが、三角先生はとてもせっかちなんです(笑)。
印象に残っているのは、とても純粋な人だということですね。有名な先生がこんなことを、という相談でも、私に気軽に電話でしてくださったりする。そういうかわいらしいところがあるんです。私のパーティにもおいでいただいていますが、今度はご家族一緒に先生も大好きな東京ディズニーランドに行きましょう。私が、とっておきの場所にご案内します。
今年から、中堅職員向けの研修も始まります。SNSでは、評価の高いコメントがどんどん出てくるようになりました。ホスピタリティマインドが変わってきているのだと思います。
やっぱりすぐには変われないんです。地道な努力が必要になるんですね。記念講演のようなものを一回やっても、変われない。繰り返していかないといけない。組織を変えるというのは、習慣を変えることだから、時間がかかるんです。
そういうこともよく理解くださっています。それこそ私が治療を受けているうちは、どんどんいろんな提案をしていきますよ。
Kazuo Misumi(左)
千葉西総合病院院長・心臓センター長。医学博士。1957年生まれ。東京医科歯科大学特命教授。’85年に渡米しニューヨーク医科大学など5 つの大学を経てハワイ大学臨床助教授。2004年より現職。
Yo Kamata(右)
ヴィジョナリー・ジャパン代表取締役。1950年生まれ。ハウスメーカー、オリエンタルランド勤務などを経て’99年より現職。『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』ほか著書多数。