2月1日から公開が始まった映画『雪の華』。その主演を務めたのが、三代目J SOUL BROTHERSの登坂広臣さんだ。ひとりのアーティスト、そして役者として。仕事への飽くなき情熱を、ワインを嗜みながら語ってくれた。
「自分に飽きがきたらおしまいだと思う」
三代目J SOUL BROTHERSのボーカリスト登坂広臣が、映画『雪の華』で俳優業に挑戦した。この映画には、彼が扮する悠輔が、中条演じる美雪と、フィンランドのレストランで、赤ワインで乾杯するシーンがある。
「ワインにまったく詳しくないふたりが、背伸びをしている可愛らしいシーンです。でも、僕は女性をしっかりとエスコートしたいので、料理やワインの知識は大事だなと思います。ただ、凝り性な自分は、ワインの世界に一度足を踏み入れたらハマってしまいそうで、ちょっと警戒もしているんです(笑)」
どんなお酒でも楽しめるため、一緒に食事をする相手の好みに合わせることが多いという。
「ワインに詳しい方とともにする食事は、『知りたい』という気持ちが強い自分にとって、とても楽しい時間です」
好奇心と探求心が旺盛な登坂だが、2017年に三代目J SOUL BROTHERSが、ドーム公演数の史上最多記録を樹立した直後は、燃え尽き症候群のような状態になったという。
「すごい記録を肌で実感して、『この先、何をすればいいんだろう?』と、心にぽっかりと穴が空いて、虚しくなりました」
翌年、登坂はソロアーティストとしての活動をメインに、『雪の華』の撮影に挑戦した。実は、3年前に映画のオファーを受けた時、登坂は出演を頑なに断ったのだという。
「自分の本業を考えると、安易に『やります』とは言えませんでした。でも、お世話になったプロデューサーの方がご病気で、『自分が生きているうちに登坂でこれを映画化したい』と言い続けてくださったので、その気持ちに応えたいと思ったんです」
脚本を読めば読むほど、彼は悠輔と自分の共通点に気づいた。不器用さ、真っ直ぐさ、言葉の力を信じているところ、そしてモノづくりへの情熱も。
「他人とは思えなかったです。悠輔はガラス工芸家を目指しているので、僕も何回か練習させていただいて。僕が音楽をつくる時のように、悠輔も自問自答を繰り返しながら作品をつくっているんだろうなと共感できました」
現場では小手先の芝居ではなく、悠輔として存在し、がむしゃらにぶつかっていった。
「お芝居に対する余裕がまったくないし、何が正解かもわからないので、そうするしかなくて。一生懸命やりきったことが、アーティストとしての自分に、プラスになればいいなと思います」
登坂はアーティストとしてのあり方に対し、彼の発言を借りるなら、常に”自問自答"を繰り返し、探求を続けている。
「最近は、仕事もそうですけど、芸能界で生きる自分自身に飽きがきたらおしまいだなと、強く思うようになりました。自分の可能性に対して興味がある限り、いろいろなことにチャレンジして、その先にあるものを追い求めると思うんです。今回の映画も絶対にやりたくなければ断れたのに、チャレンジするほうを選んだら、自分自身の探求心に火がついて、前向きになれました。エンタテインメントの世界は正解もゴールもなくて、先が見えないから面白い。今年、グループに戻ってステージに立った時に、今までとは違うものを生みだせるかもしれない。自分はそこに期待しています」
Hiroomi Tosaka
1987年東京都生まれ。2010年、三代目 J SOUL BROTHERSのボーカルとしてデビュー。’17年より、HIROOMI TOSAKAとしてソロプロジェクトを始動させ、’18年には初の全国アリーナツアーを開催した。
『雪の華』
2003年に大ヒットした中島美嘉の同名曲をモチーフにした大人のラブストーリー。余命1年を宣告された美雪(中条あやみ)と、ガラス工芸家を目指す悠輔(登坂広臣)の契約から始まった恋が、東京とフィンランドを舞台に加速。2月1日よりロードショー。
監督:橋本光二郎
出演:登坂広臣、中条あやみほか
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
Interior Styling=窪川勝哉