EXILE AKIRA氏が自身の「黒歴史」までも綴った自伝を発売。その記念イベントで語られた、自伝にも書けなかった真実とは――。
誰も知らなかった壮絶な過去
プロサッカー選手になるという夢の挫折、借金生活、路上で寝る日々……。パフォーマーとして、俳優として今、華々しい活躍を見せるEXILE AKIRA氏がこれまで語ってこなかった壮絶な過去を綴った自伝『THE FOOL 愚者の魂』が完成。その記念トークショーが9月2日、都内某所で開催された。
「今年で37歳、まだ自伝を出すのは早い年齢かもしれない。でも今やっと人生の折り返し地点。泥臭い、本当は封印してしまいたい過去もさらけ出すことで誰かの背中を押せればと自伝の刊行にふみきりました」そう挨拶したのち、若かりし頃の貧乏エピソードにも花を咲かせるAKIRA氏。
「とにかくお金がなくて、賞味期限切れの食パンをお店からもらって来て、朝食に固いミミの部分を食べて、夕食に真ん中の柔らかいところをとっておく。この柔らかいところを『トロ』と呼んで楽しみにしていたんですよ(笑)」
一方で、客が見ていなかろうと、どんなステージでもボロボロの格好では上がらない、という信念も持っていたと笑う。
「衣装代は常に借金をしていました。アルバイトをたくさんしましたが、それでも毎月利子しか返せなくて。ちゃんとお返しできたのはEXILEに入ってからでした」
「うまく行く可能性が高いほうをチョイスする人間が『賢者』なら、自分のような人間は『愚者』」と語るように、常にリスクの高いほうばかりを選択してきたというAKIRA氏。
「要領よく立ち回って成功しても、失敗を知らなければきっと歳をとってから苦労する。失敗しながら進んで、歳をとってから楽をしたいんです。今では自分の汚点も失敗もプライドに変わっています」イベントを進行したラジオDJのジョー横溝氏の「とはいえ、もし人生をやり直せるとしたらいつからがいい?」という質問には「もう、戻りたくない」と苦笑い。一方で家族についても感謝を語り、会場からは暖かい拍手も。
「若い頃から、なるべく両親に頼らず、自立しようとムキになってしまった自分がいた。でも先日この本を見た父から『そのまま愚者でいてください』とメールをもらいました」
さらに、本書にはあまり詳しく書かれていなかった子供の頃の初恋のエピソードも会場に来た観客のためにほんの少しだけ披露。
「相手のお父様が、僕と仲がいいことをご存知で、ある日校門の前で僕を待っていたんです。でもリーゼントヘアのちょっと怖い方だったので、ビビりましたね(笑)」サッカーでの推薦入学を断り、単身上京。荒廃した生活を経て、USA氏、MAKIDAI氏、そしてHIRO氏らとの運命的出会いを果たし、EXILEで活躍する日々までを本書は収録。ファンならずとも一人の男の壮絶なサクセスストーリーを楽しめる1冊だ。
EXILEは2年半の活動休止期間を経て、ツアー「EXILE LIVE TOUR 2018-2019 “STAR OF WISH”」も始まる。また本書のアートワークを展示した展覧会「THE FOOL PHOTO ART GALLERY」も9月14日から17日の4日間限定で、大阪・松下IMPホールにて開催決定。EXILEの新章を目撃する前に、EXILEという鎧を脱いだAKIRA氏の素顔を目に焼きつけておきたい。
『THE FOOL 愚者の魂』
EXILE AKIRA 著
毎日新聞出版 ¥1,500
EXILE AKIRA
1981年神奈川県生まれ。RATHER UNIQUEで活動を開始し、2006年にEXILEに加入。EXILE THE SECONDなどでもパフォーマーとして活躍。ドラマ『GTO』、マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙 -サイレンス-』などにも出演し、俳優としても活動する。