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仕事が楽しければ
人生も愉しい

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2016.12.19

建築家 安藤忠雄 お互いの仕事に敬意を払う イタリアに学ぶ①

「来年、東京の国立新美術館で展覧会を開き、『光の教会』の原寸大模型をつくります。それもコンクリートで。館長の青木 保さんにも驚かれましたが、私はとにかく見に来た人に感動してもらいたいと思っています。やはり人生、驚きや感動がないと楽しくありません。そして、今の日本には驚きが足りません」と語る建築家の安藤忠雄氏。安藤氏がイタリア人の働き方から学んだこととは。

安藤イタリア

人生を楽しむイタリア人

「これまで、イタリアで仕事をする機会に恵まれましたが、イタリア人は日本人と違って、日々の生活を楽しみながら生きています」

ミラノにあるジョルジオ アルマーニの本社と劇場、ベネトンの若者に向けたアートスクール、ヴェネツィアの歴史的建造物を再生させた現代美術館など、1990年頃からイタリアで建築を手がけるようになった安藤忠雄さん。現在もイタリアでいくつものプロジェクトが進行中だという。

「イタリアの現場では、仕事が終わったらその場でみんなでワインを飲んで家に帰っていきます。片や日本はまっすぐ家に帰る。どちらが面白い人生を歩んでいると言えるでしょうか? イタリア人は生まれた時から生活は楽しむものだと思っているのです。イタリアの経済は正直、破綻寸前と言ってもいいですが、ファッション、フード、インテリアなど、生活文化にまつわる企業は今も元気いっぱいです。イタリア人は生活を豊かに楽しむためにはお金を惜しみません。ですから国も会社も個人も、みんなお金を貯めず、すぐに使ってしまいます。一方、日本人は先行きに対する不安からお金を貯め込みます。企業は内部留保、個人は貯蓄に走ってお金を使いません。長い人生を考えた時に、はたしてどちらがよいでしょうか。考えてみるのも面白いと思います」

よくイタリア人と一緒に仕事をするのは難しい、スケジュールも守られない、という話を聞くが、安藤さんの現場では、これまで何も問題がないという。

「イタリア人の美に対するこだわり、そして誇りにはすごいものがあります。小さい頃からコロッセオやパンテオンを見て、ミケランジェロが近くにある生活を送ってきた人たちだからでしょう。現場の職人たちもそうです。だから、私は彼らの仕事、誇りに対して敬意を払います。イタリア語は話せませんが、一番重要な心の部分では通じ合っている。だから、できあがりやスケジュールに関しても、大きな問題が起こることはありません。そして彼らは、できあがった建築に強い愛着を持っています。自分たちのつくっているものが美しいもの、そして生活のために役に立つと信じている。アルマーニの建物も、完成してから15年経っていますが、今もきちんと手が入っていて、ピカピカですよ」

安藤イタリア

Tadao Ando
1941年大阪府生まれ。独学で建築を学び、69年に安藤忠雄建築研究所を設立。世界的建築家に。現在、進行中のプロジェクトは50を超える。プリツカー賞、文化勲章をはじめ受賞歴多数。

Photograph=林 景沢

*本記事の内容は16年11月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

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