2022年、創業150周年を迎えるデンマーク発インテリア「フリッツ・ハンセン(FRITZ HANSEN)」が、現在、日本の離島をジャックしているという。その名も「フリッツ・ハンセン島」。2019年にリノベーションした古民家で開催された「フリッツ・ハンセン庵」の第二弾となる本企画。様々な仕掛けが施された壮大なプロジェクトの内容を紹介する。
瀬戸内の離島の魅力とフリッツ・ハンセンの壮大なコラボレーション
舞台は香川県の離島、本島(ほんじま)。香川県丸亀市からフェリーで約30分の本島は、豊かな自然に恵まれ、漁師町や江戸時代の街並み保護区などがあり、瀬戸大橋を雄大に眺めることができる美しい島。だが、現在では高齢化が進み、スーパーやコンビニはなく、小学校の全校生徒数も10人に満たない状況にある。
本プロジェクトでフリッツ・ハンセンがタッグを組むのは、第一弾のパートナーでもあった、香川県丸亀市を拠点とするインテリアショップ、CONNECT。代表の高木智仁氏は地域が活性化するための活動にも取り組んでおり、その活動の一環としてこの本島でも将来の新たな産業になり、雇用を生み出すための活動を以前より行ってきた。今回の「フリッツ・ハンセン島」においても、本島で平常営業する施設と組み、そのすべてをフリッツ・ハンセンの世界観で設え、島を訪れる人と同様に、島に住む人々も楽しめる企画に仕上がっている。
注目のスポットのひとつが、今回第二弾の展開となる「フリッツ・ハンセン庵」。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている笠島というエリアにある江戸時代の古民家を、フリッツ・ハンセンのコレクションで演出。日本の建築とデンマークの名作家具たちの融合が楽しめる展示だ。庵の中が、ニコライ・バーグマンによるフラワーアレンジメントと、本島に自生している植物のインスタレーションにより演出されているという点も見逃せないポイントである。
本島は日本の建築を支えてきた石切り場でもあった島で、石の島として日本遺産認定されており、この土地の歴史や魅力を表現するため、その石が同展示にはたくさん使われている。
次に紹介したいのが「本島スタンド」。長く営まれていた島で唯一の定食屋が高齢を理由に閉店してしまった跡地をCONNECTの高木智仁氏が引き継いで、島の情報発信の場として営業を再開している施設だ。店内ではフリッツ・ハンセンの家具、テラスではアウトドアコレクション、スカゲラックの家具とその世界観を存分に味わえる。
他にも、古民家をリノベーションした、島内唯一の一棟貸しゲストハウス「Villa kasashima en.」や、ブリュワリー。ビーチや道端、バス停などにフリッツ・ハンセンの椅子と本島の石や丸太を組み合わせたチェアを点在させ、腰掛けて休憩できるような展示も展開。まさに島が丸ごとフリッツ・ハンセンの世界となっている。なお、各ロケーションでは、サカナクションの山口一郎率いるNFの青山翔太郎が、本島に伝わる民謡をベースに制作した楽曲も楽しめる。
本プロジェクトは、11月6日(日)まで開催中。この秋の国内旅の行き先としてぜひ検討してみてほしい。