ビジネスや政治などさまざまな職種や業界で女性の活躍が目覚ましい現代。しかし、いくら能力や経歴があっても、女性のキャリアアップは“ガラスの天井”と呼ばれるほど、ジェンダーギャップが大きな障害になっている。そんな今を生きるビジネスパーソンが読んでおきたい一冊が、アコーディア・ゴルフ取締役会長 田代祐子著「SHINE! 女性たちよ、キラキラ輝こう」だ。
女性として自分を主語に人生の選択をする
「SHINE! 女性たちよ、キラキラ輝こう」の著者である田代祐子氏の経歴は、すこし変わっている。19歳で日本で出会ったアメリカ人と結婚し、渡米。20代後半からアメリカの大学に入学し、卒業後は国際会計事務所に入り、41歳でパートナーになるまで上り詰めた。45歳で日本に帰国し、GEやフェニックスリゾートなどで勤務したのち、東日本大震災後、岩手県一関市に移住し、ボランティアとして5年弱、被災した小規模事業者の再生をサポート。現在はアコーディア・ゴルフ取締役会長や、日本マクドナルドホールディングスの社外監査役、ヤマハ発動機の社外取締役など務めている。
田代氏は著書のなかで、今回の書籍についてこう記す。
「67年の人生のなかで、私は絶えず『自分が何をしたいか、どのように生きたいか』を考え続けてきました。アメリカと日本、どちらの国でも多くの女性たちの夢や悩みを聞く機会がありましたが、そこで感じたのは『女性にとって働くとは、どういうことなんだろう?』ということでした。
現在アメリカでは、この20年で女性が働く環境が大きく変わっています。一方の日本はダイバーシティに関しては、世界の他の国々からもはるかに遅れていて、女性がキャリアを積むのはまだまだ難しいと感じることが多いです。でも、日本の女性たちだって、周りが変わるのを待つのではなく、自分自身の価値観を変えていくことで、もっともっと輝くことができる、と私は信じています」
そういった想いを込めて、女性の仕事や生き方について、田代氏なりの考え方を記したのが今作「SHINE!」。
この本のハイライトのひとつは、著書冒頭にある日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長、サラ・エル・カサノバ氏との対談だ。カナダでマクドナルドに入社してから、ロシア、ウクライナ、トルコ、マレーシアなどで勤務。2004年から日本で働いているが、このような書籍で自身の思考を表現することはほどんどなかったため、貴重な対談となっている。
田代氏は言う。
「多くの国で働いてきたサラさんは、日本に来て、多くの有能な女性が働いているにもかかわらず、ダイバーシティに関しては国全体の意識が非常に遅れていることに、とても驚いたそうです。ですから、マクドナルド社内で女性活躍のためのさまざまな制度や仕組みを作るのはもちろん、個人的なアドバイスを積極的に行うなどして、多くの女性が輝けるようにサポートをされています」
「女性の力を、もっと活かしたい」「女性のキャリアについて学びたい」という男性ビジネスパーソンにとっても、気づきの多い書籍になっている。
Yuko Tashiro
1954年鹿児島県生まれ。19歳で米国人と結婚し渡米。専業主婦として子育てをしながら米国の大学で会計学を学び、32歳で世界4大会計事務所の一つKPMGに入所。公認会計士として活躍。2000年帰国。GEでアジア購買戦略の担当などを経て、2011年の東日本大震災後、東北に移住。NPO法人未来開発研究所を立ち上げ5年間被災地支援に携わる。現在、株式会社アコーディア・ゴルフ取締役会長、ネクスト・ゴルフ・マネジメント株式会社取締役会長、日本マクドナルドホールディングス株式会社社外監査役、ヤマハ発動機社外取締役などを務める。