新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論1回。
お金のバランスは貯金2、生活費6、投資2
私が運営しているABCashは、お金のトレーニングスタジオ。ファイナンシャルコンサルタントがテクノロジーを活用して、資産形成について3ヵ月間、パーソナルトレーニングを行います 。都内に6スタジオあり、受講生はミレニアル世代の女性を中心にさまざまな方が通っています。ちなみに今年の2月からはローラさんにブランドアンバサダーに就任してもらいました。
コロナの影響はもちろんですが、老後資金2000万円ニュースや人生100年時代の流れもあり、お金の知識は教養として必要な時代になってきています。 加えて2022年から、高校生の教科書に金融教育が入ることが決定しました。 お金のことも英会話やプログラミングなどと同じように必要なスキルとして学ぶ時代に入りつつあるのです。
まず、前提として大事なのは、お金はそれ自体が目的になるものではなく、人生を豊かにするための道具であるという考え方。これはコロナ前、コロナ後であっても変わりません。増やすこと自体が目的になるのではなく、あくまで実現したいことのための手段と考えるべきです。
最近受講生から「新型コロナウイルスの影響で株価も下がっていると聞きます。今、株を買うかどうかはどのように判断すればいいですか?」と聞かれることも多くなってきました。確かに今はコロナの影響で、世界が大きく変わる時代の節目。なかなか進まないと言われてきたリモートワークが浸透し、難しいとされてきたオンライン診療もスタート、契約書サインのクラウド化が進んだりと、我々の今までの当たり前が大きくアップデートされようとしています。時代の流れにあった、新しいサービスが次々と誕生しているのです。
それは、我々の常識が変わるタイミング。投資の考え方も見直す必要があります。まずは長期的視野で、これからの世の中で今まで以上に必要とされることになる「コト」や「モノ」を想像してみましょう。それが成長領域と呼ばれる分野であり、投資すべき対象分野 です。
また、お金という軸で大事なのは、バランスを崩さないということ。理想のバランスは、収入に対して「貯金2割、生活費6割、投資2割」です。
投資というと、株式投資や不動産投資などのメジャーな資産運用を思い浮かべる人が多いと思いますが、ここで定義する投資とは、自己投資も含めた投資のことです。スキルアップのために英語を学習をしたり、将来のキャリアのために資格をとったりする学習費用もこの投資に入ってきます。
不安になるととにかく貯金、となりがちなのですが、ここで自己投資も含めた投資を止めないようにしてください。未来の自分にきっと返ってくるからです。また、お金のバランスも崩さないことが大事。株が買い時と友人に聞いたので、株を買ったことがないけれど生活費の大半や貯金も全部投資しよう、とは決してなってはいけません。
リターンもある代わりにリスクも伴う株式投資や不動産投資は、まず中立的かつ網羅的な知識を身につけた上で、自分に適性な投資額(収入の2割)の範囲内で行うべきものです。まずは自己判断できるレベルの知識を身につけること。それが、長い人生における自分の武器にきっとなってくれるはずです。
Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。