ゴルフギアは進化がめざましく、同時にゴルフファッションの多様化がここに来て一気に進んでいる。ギアやレッスンプロに精通するゴルフライター出島正登氏と、ゴルフのファッション&ビジネスに注目しているゲーテ前編集長の二本柳陵介が新作を解剖。第1回目の今回は、アディダスゴルフの「TOUR360 22 BOA」をご紹介!
新時代のゴルフシューズ誕生「TOUR360 22」
数々の名作スニーカーを輩出し続け、今なお革新的な事業を進めているアディダス。もはや説明不要の名ブランドが2005年より販売を続けるのがゴルフシューズ「TOUR360 シリーズ」である。その最新モデルである「TOUR360 22」の特徴は、なんといってもアウトソールにあるだろう。スパイクとスパイクレスの長所を両立させた「スパイクモアアウトソール」は、ただの美味い部分の寄せ集めではない。ゴルフ場の様々なシーンに合わせて性能が変化するアウトソールは、渋野日向子、ザンダー・シャウフェレ、ダスティン・ジョンソンらトッププレーヤーの心を掴んでいる。まさにゴルフを愛する者のために生まれた極上の一足が「TOUR360 22」だ。
やさしさに包まれたなら
二本柳 アディダスは、昔から靴に丸みを入れ込むのが上手だと思っています。マイクロペーサーというスニーカーが一番気に入っているんですが、ポコッとした雰囲気がこの靴にもデザインされています。独特の愛らしさがある。カントリーなんかもその流れを汲んでいるのかも。
出島 丸みを帯びていてかわいいですよね。丸みのあるゴルフシューズってボテッとなりがちなんですが、この「TOUR360 22」はなによりバランスが良い。
二本柳 そうそうバランスが良い。
出島 機能の面でも足全体をやさしく包み込む形状ですし。大事なポイントですね。
二本柳 僕が不器用で面倒くさがりというのも多分あるんですけど、紐って調整しないといけないから凄く気を使う。お昼のときにちょっと脱ぎたかったりしますし(笑)。装着感と、着脱の楽さにおいて、このBOAモデルは最高ですね。
出島 緩めたときの開放感って気持ちいいですもんね(笑)。それが簡単にできるのがBOAのいいところです。同じようなシステムのものが、他メーカーからも出ているけど、足を包み込むフィット感はアディダスならではという感じ。変な締めつけが無く、全体がグッと締まるから、上手いなあと思いますね。
二本柳 紐のシューズになるとなんだか上級者っぽい雰囲気がありますよね。それはそれで良いんですが。
出島 個人的には紐も好きですけど、包み込む感で言うと、BOAの方が出ますよね。ギュッとしめたときは気持ちも引き締まる感じがします。
二本柳 包まれたいんだよ。やさしさに包まれたい。ユーミンか(笑)。
紐かBOAかでコーディネートも変わる
二本柳 ここ数年、アディダスゴルフのスパイクレスは非常に人気。これのすごいのは日常でも使えちゃう点。走れちゃうくらいに軽さもあるし、クッションも少し感じる。打ちっぱなし行って、帰りにスーパー寄るみたいなことも出来る。アイスが溶けちゃうから、スーパーのあとは早く帰りたいですし。 ただ、今回のスパイクモアという新しい提案は日常使いでは無理ですね(笑)。
出島 (笑)。今回は特にソールのカラーリングが印象的ですよね。
二本柳 なかなか無い配色。バランスが良い。いま、足の底のカラーリングでは、No.1かもしれない。やっぱりスイングした後に、靴の裏がちょっと見えるじゃない? 華やかで良いなと思う。あと、同じTOUR360シリーズでも、紐かBOAかでコーディネートも変わってくるよね。紐だとシックに攻めれるし、BOAだと若々しいのも、ストリートっぽい恰好も似合う。
出島 確かにコーディネートに合わせて選ぶのも良いですね。
二本柳 これは個人的感想だけど、紐バージョンは長ズボンに、BOAモデルはショートパンツに合うな、と思っています。
出島 プロも含めてスパイクレスが流行っている流れで、あえてハイブリットな「スパイクモア」っていうのを入れてくるのが意外でしたね。これだけ目立つデザインだから、それだけ自信があるってことでしょうね。
二本柳 最近は色んなプロも履いていて、渋野さんも、ザンダーも、ダスティンも履いてるし。なんか正確無比な人向けって感じなのかね? そんなことないかな。
出島 これだけのプロが履いているというのは、それだけで説得力がありますね。まだ僕は実際に履いてプレーをしていないですけど、二本柳さんはどうでしたか。歩きやすさとか。
二本柳 やっぱりここ最近は、結構スパイクレスを推してきているメーカーが多いから、ここ2〜3年それに慣れちゃった感じがあって。BOAを最初履いたときにはちょっと重さは感じました。
出島 僕も最近はスパイクレスばっかりです。
二本柳 でもやっぱりゴルフという競技の特性からすると、足と地面との設置感の安心感が違います。地面をバランスよく噛んでいる感じが強い。
出島 やっぱりアマチュアは、スパイクがあった方がいいと思いますよ。傾斜から打つことが多いし、ラフからも滑りますからね。
二本柳 そうそう、左足下がりとか、つま先上がりとか。僕は頭が悪いのかアプローチでなぜかピン自体を狙ってしまうんです。そうすると結構オーバー気味で、傾斜からのアプローチになりがちで(泣)。
出島 スパイクレスももちろん進化して滑らなくなってるとは思いますけど、なんだかんだ「地面への食いつき」があった方が安心感がありますよね。地面を噛んでると、強く蹴れるんですよね。蹴れると、結果的に速く振れるから飛距離が出る。あと、滑らないという安心感があるだけで、バランスよく振り切れる気持ちになれる。スイングイメージが良くなるんですよね。
二本柳 スニーカータイプでプレーしたとき、滑ってツルっと回っちゃってたからね(笑)。
出島 それは力みすぎです(笑)。
Masato Ideshima(左)
研修生を経てゴルフ出版社に勤務。現在はフリーライターとして、ゴルフメディアを中心に活動。国内男子のAbemaツアーのライターも担当。ゴルフ歴30年。ベストスコア70。研修生時代に工房をしていたこともあり、自身のクラブは自分で調整。年齢と共に効率良く飛ばせて、スコアが出せるギアを探し続けている。
Ryosuke Nihonyanagi(右)
ゲーテ前編集長。長谷部誠『心を整える。』などベストセラー多数担当。長年、アコーディアの会員誌を製作。ゴルフ歴は6年。ギアは見た目派。ウエアは白が好み。スイングを綺麗にするのが目標。ベストスコアは81。