ジェームズ・ボンドが身につけるアイテムは、ほぼすべてオーダーメイド。俊敏な身のこなしと華麗な佇まいは、寸分違わぬ“自分仕様”の為せる技なのだ。そんなタフな男が行き着く先、一級品のオーダーメイドの世界を紹介する。
足と一体になり、芸術品のように美しい
デザインを一から起こし、オーナーの足に合わせた木型を製作する、“フルオーダー”と呼ばれる最高峰のオーダーシューズ。
そこで時折耳にするのが、「フィット感はいいが美しくない」という感想だ。人間の足のフォルムは人それぞれであり、美しい人もそうでない人もいる。左右も不均一だ。ゆえにそのまま木型にして靴を作ると、不格好になることが多々あるのだ。
だが、ジョンロブ パリのフルオーダーシューズ「ビスポーク」で誂える靴は、この上ないフィット感と芸術品のような美しさを兼ね備えると称えられる。そこにはオーダーシューズを発祥とする稀有なブランドとして、150年以上も培ってきたノウハウが集約されているのだ。
通常は年3回パリより来日するマスターブーツフィッター、または本国でトレーニングを受けた日本のシューフィッターが承るジョンロブのビスポーク。その採寸は非常に詳細であり、立った状態と座った状態のフォルムの違いや土踏まずの深さまで、徹底的に三次元計測を行う。
その後にデザインと素材を決めてパリにデータが送られ、約4ヵ月後にトライオンと呼ばれる仮縫いサンプルが到着。試着できるが、そのあとが圧巻である。
サンプルにナイフで切れ目を入れ、通常では見えない履いた状態のフィッティングを観察するのだ。このようにして得たデータはフィッティングドキュメントにまとめられて再び本国の工房に返送されるが、その際は単に計測した数値を機械的に伝えるのではなく、靴としての美しさを細部まで考え、美的な調整を綿密に織りこんでいくという。
それはシューフィッターとしての技術だけではなく、そこに伴う高い美的感性がなければできないこと。そしてブランドとして掲げる美の基準が確立していてこそ表現できることに違いない。
こうして約8ヵ月後に届けられる無二のオーダーシューズは、足と一体になるような未体験のフィット感をもたらし、オブジェのような三次元の曲線美を足元に描きだすのだ。
問い合わせ
ジョンロブジャパン TEL:03-6267-6010