太陽の光に捧げた眩しいポップス
ニュージーランド出身のシンガー・ソングライター、ロードが4年ぶりとなる新作アルバム『ソーラー・パワー』をリリースした。
17歳の時にリリースしたデビュー作『ピュア・ヒロイン』が全米・全英1位を記録し、世界的にブレイク。続く『メロドラマ』もグラミー賞にノミネートされるなど高い評価を集めてきた彼女。満を持して放たれた3作目のアルバムは、タイトルどおりの眩しい陽光を感じさせるような開放的で穏やかなムードに満ちている。
「自然への賛美」をテーマにしたという全12曲は、ジョニ・ミッチェルなど’60〜’70年代のフォークやポップソングにも通じるアコースティックな手触りのサウンドを軸にしたもの。
プロデュースを手がけたのは、テイラー・スウィフトやラナ・デル・レイなど数々の話題作を生みだした"現代最高峰のヒットメーカー"ジャック・アントノフ。歌の響きを重視しシンプルな生演奏を主体にしたオーガニックなスタイルはパンデミック以降の世界的なトレンドでもある。
セミの声から始まる1曲、「オセアニック・フィーリング」や、高揚感溢れるグルービーな表題曲など、夏の幸福感を詰めこんだアルバム。季節を超えて長く愛されそうな予感がする。
Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オンを経て独立。音楽やサブカル分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『渋谷音楽図鑑』がある。