役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!
親の心子知らず、子の心親知らず。だからこそ、お互いが歩み寄らなければ。
20年以上前に『KIDS』という映画が公開されたのを覚えていらっしゃるでしょうか。ニューヨークのスケートボーダーたちの無軌道な生活を追った話でしたが、当時の私は彼らの日常生活に憧れ、夢中になりました。
この女の子で結成された『スケート・キッチン』も実際のボーダーたちが自分たちの実体験を演じています。当然ですが、みんなスケートが上手い。野郎たちと場所の取り合いの喧嘩もしょっちゅう起きますが、一歩も引かない彼女たちの姿勢に、たくましく育った娘を見るようで思わず涙しました(笑)。
徹底した取材から生まれた脚本なので、セリフのひとつひとつにリアリティがある。そして、彼女たちの芝居が新鮮で生き生きしている。車道を自由にライドする姿にも目を奪われます。
しかし、悲しいことに滝藤、もう親目線でしか見ることができません。怪我ばかりするのに毎日毎日仲間とスケボーに明け暮れる娘にスケートボード禁止を言い渡すお母さん。わかる! 女の子だもの。できることなら、ショッピングに行くとか怪我しない方向でお願いしたいものです。もう18歳なんだから干渉するなと言われても、親はいつまでたっても心配ですよ。はあ、勉強になります!
『スケート・キッチン』
ニューヨーク郊外に住む17歳の少女が、親の反対を押し切り、女の子だけのスケートクルーに参加。そこで環境や人種の違う友情をはぐくみ、恋を知る青春群像劇。
2018/アメリカ
監督:クリスタル・モーゼル
出演:レイチェル・ヴィンベルクほか
配給:パルコ
5月10日より渋谷シネクイントほか全国公開