連載「滝藤賢一の映画独り語り座」。今回は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を取り上げる。
ヒーローがてんこもりでもうお腹いっぱい!
3月号の連載開始以来、知ったかぶりで大人の映画を語ってきましたが、いい格好するのに疲れた滝藤です(笑)。
というわけで今さらながらの告白です。好きな映画? はい、『アルマゲドン』、大好きです。映画館でブルース・ウィリスのラストの笑顔を見て周りを気にせず号泣しました。物心ついて最初に「おもしれー」って観たのが『ダイ・ハード』ですからね。『インデペンデンス・デイ』も『メン・イン・ブラック』も好き。実は地球を救うヒーロー映画、大好物です。
悲壮感漂う孤高のヒーローもいいけど、凄(すご)腕の外科医が、たわいもない日常会話をしながら、眩暈(めまい)がするような細かいオペを淡々とこなす、そういうのと通じるプロフェッショナルなところがカッコいい。直近だとまさにこの『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ですよ。マーベルのコミックヒーローが大集結して、どうでもいいことを言い合いながら、地球滅亡の危機の最前線で飄々(ひょうひょう)と戦っている。武器も全身メカでギンギンに飾っているアイアンマンのトニー・スタークは別にして、ハルクの素手、マイティ・ソーのハンマー、ホーク・アイの弓矢、キャプテン・アメリカの盾とか、今時信じられないくらいアナログな道具で戦っているのに、めちゃくちゃ面白いっていうのがなんとも不思議ですよね(笑)。
ふざけているようで、やる時はやるヒーローの風情は、やっぱり脚本に支えられているのだと思います。それぞれのキャラクターの描写が引き立っているし、極限状態のなか、ユーモアをふんだんに盛り込むアメリカ映画ならではの脚本センス。そして、ド派手なシーンでも、決して大袈裟な芝居をさせない上品な演出。一つの画面にこれだけのスターキャストが勢揃いしているだけでも大興奮ですよ。
と、またまた大人ぶって語ってしまいましたが、本当のところを言えば、本作の魅力はスカーレット・ヨハンソンの分厚い唇と色気に尽きます(笑)。僕としては休日の朝一番にガツンと観て、そのままの高いモチベーションで一日を過ごすことをお薦めしたいですね。
■連載「滝藤賢一の映画独り語り座」とは……
役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者の、そして、映画のプロたちの魂が詰まっている! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!