開けても閉めても美しい2+2レイアウトのオープントップモデル。レクサスLCをベースに折りたたみ式のソフトトップ機構を採用し、ボディを高剛性化。レクサスのフラッグシップクーペLCと遜色ない優雅な走りを満喫できる一方、磨き上げられたスポーツドライブも得意とする懐の深さ。心臓部には自然吸気V8エンジンのみ設定という潔さで、存在感のある鍛造アルミホイールと相まって、レクサスきっての洒脱な存在だ。連載【NAVIGOETHE】Vol.56
愛でる存在のクルマ、官能V8エンジンに“脱帽”
仕事に追われる日常の、ONとOFFのスイッチを切り替えるツールとしてクルマを活用するビジネスパーソンは多いはず。事務的な移動もやすらぎの時間に変え、海に向かって走らせるのは無条件にテンションが上る。なかには走らずとも磨いたり眺めたりして癒やされるという嗜み方もあるだろう。
社長でありマスタードライバーの豊田章男は「愛でる」存在としてのクルマ、すなわち愛車と呼んでもらえるものであることを大事にしたいと語るが、今回はそんなクルマの最たるもの、レクサスLCをナイトドライブへと連れ出した。
LCは見るからに流麗なフォルムのスポーツカーという印象だが、そこまで求道的に速さを突き詰めたクルマではない。車格や重量もそれなりにあるぶん、内装は豪奢に設えられていて、常用することはないであろう後席も備わる。「行け」と言われればサーキットランもこなすが、それはあくまで余興。
そういう身体能力や美しいプロポーションを、誇張せず秘めたるものとして、その出し惜しみの余裕を感じさせることがラグジュアリーの奥義ではないかと、LCのコンセプトはそういうところにある。庶民感覚でいうところの、金持ち喧嘩せず的な存在感といえようか。こういうクルマづくりは旧貴族や王室などを多く擁する欧州ブランドの十八番で、例えばLCの競合車にあたるBMWの8シリーズはその典型ともいえるわけだが、LCはそういうニュアンスをきちんと汲んで市場で一定の評価を得られている、稀有な日本のクルマだといえるのだ。
そのLCに追加されたのがコンバーチブル。ともあれこだわったのは開時も閉時も美しいということだ。デザインは入念に検討され、ベースモデルのクーペに対して単に屋根を切っただけではこうはいかないという佇まいを実現。特にボディ後半の格納カバーの割線やリアフェンダーの形状処理などはいろいろと工夫を重ねた跡が見てとれる。
そして一見ペラッと被さったような幌屋根も造りは入念で、クーペとほぼ遜色のない快適性を保ってくれるし、キャンバス地の風合いも上質でクローズ状態は想像以上にシックな印象を見せる。遮音性を高めたという幌は、キャビンの静粛性も高い。
そしてLCコンバーチブルの最大の武器は、もはやフェラーリやマセラティも持ち得ない大排気量&自然吸気のV8エンジンが奏でる爽快なサウンドや伸びやかな回転フィールをクーペよりいっそう近い距離感で味わえるということ。環境性能的にはなかなか存続が難しい、こういった趣向のエンジンを心置きなく堪能できるというのは、傍らで世界に先駆けてハイブリッド戦略を展開したトヨタのレクサスだからこそ許される、絶滅危惧的贅沢ともいえるわけだ。
そう、LCコンバーチブルは単に速いだけ、カッコいいだけのクルマではない。クルマが与えてくれる気持ちよさを極限まで引き上げた、愛でずにはいられない1台なのである。
エンジンだけでも買う価値がある!
心臓部には今や希少な存在となる、最高出力477psの5ℓV型8気筒(2UR-GSE型)。レッドゾーンは7100rpm以上からと大排気量にしては高回転型に躾けられている。ドライバーが官能的なV8フィールと高揚感あるエンジンサウンドをオープンドライブでも楽しめるように、レクサスのスーパーカー「LFA」の技術を導入。気持ちのよいサウンドが届くようチューンされている。
開閉の所作にこだわった“奥ゆかしさ”
ソフトトップの電動開閉はスイッチひとつで、稼動時間が約15秒。時速50km/h以下であれば走行中でも幌の開閉が可能。開閉動作の折々にわざと“タメ”をつくる、おしとやかな所作が特徴。コンバーチブルの雰囲気を崩さない、奥ゆかしい演出のひとつだ。
レクサス LC500 コンバーチブル
ボディサイズ:全長4770×全幅1920×全高1350mm
ホイールベース:2870mm
エンジン:V型8気筒DOHC
排気量:4968cc
最高出力:477ps/7100rpm
最大トルク:540Nm/4800rpm
駆動方式:FR
変速機:10速 AT
乗車定員:4名
価格:¥15,000,000~[税込]
問い合わせ
LEXUSインフォメーションデスク TEL:0800-500-5577