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2024.04.02

鬼才が手がけるカルトワイン「コングスガード」が、カリフォルニアにもたらした革命とは

ナパ・ヴァレーにおけるシャルドネ造りの鬼才、ジョン・コングガード。時にはモンラッシェをも凌駕する彼の白ワインに、世界中のワインフリークが狂喜乱舞。そのカリスマ醸造家がつい先日、初来日を果たした。ナパ随一のシャルドネはどのように生まれ、人々の心を鷲掴みにしていったのか。その軌跡を追う。

ジョン・コングスガード

ナパにおけるシャルドネのカリスマ

カリフォルニア5大シャルドネのひとつに数えられるコングスガード。数々のワイナリーで辣腕をふるい、ナパ・ヴァレーにおけるシャルドネ造りのカリスマ的存在とみなされる醸造家、ジョン・コングスガードが1996年に設立したワイナリーだ。

彼が頭角を表したのは1990年。ナパ・ヴァレーのとあるワイナリーで無ろ過のシャルドネ、すなわちアンフィルタード・シャルドネを造り、これが大きな注目を集めてからである。

「当時、カリフォルニアの白ワインは外観が透き通ってなければ不良品とみなされたんです。しかし、ろ過するとワインの美味しさまで削ぎ落としかねない」

ジョン・コングスガード
ジョン・コングスガード/John Kongsgaard
ナパ・ヴァレー生まれ。醸造学の名門、カリフォルニア州立大学デイヴィス校(UCデイヴィス)を卒業後、数々のワイナリーでワインメーカーとして活躍。とくにシャルドネの醸造において銘醸家としての地位を確立した。1996年に独立し、コングスガード・ワインを設立。現在は40歳になった息子のアレックスとともにワイン造りにあたる。

当時働いていたワイナリーのオーナーは寛大な人物で、彼を2週間、ヨーロッパの銘醸地を巡る旅に送り出した。すると、シャルドネの聖地であるブルゴーニュ地方の著名な蔵元では、白ワインをろ過せずに瓶詰めしていることをジョンは知る。

「帰国後、まずは1樽だけ無ろ過のシャルドネを造り、主要な顧客を集めて、いつものろ過したシャルドネと比較する、ブラインドテイスティングを行いました。すると、全員が無ろ過のほうを高く評価したのです」

現在、コングスガードでジョンが造るワインももちろん無ろ過。さらに自生酵母による自然発酵やバトナージュ(樽熟成中の澱の攪拌)など、ブルゴーニュで学んだ醸造技術を応用している。

ブドウの重さではなく面積単位で取引きする

コングスガードにおけるシャルドネのワインは2種類ある。「シャルドネ・ナパ・ヴァレー」はカーネロス最高のブドウ園として名高い、ハドソン・ヴィンヤーズとハイド・ヴィンヤーズのブドウをブレンドしたもの。買いブドウから造られるワインだが、そのブドウの買い取り方についても、ジョンは独創的な手法をとっている。通常、ブドウの売買契約はブドウの重さで値段が決まるが、彼はブドウ畑の面積単位で値段を決める。

「重さで契約すると、栽培農家はたくさんブドウを実らせようとするので、どうしてもワインは凝縮感に欠けます。広さで契約すれば、こちらの求める収量に抑えてもらえるので、凝縮したブドウが手に入るのです」

まだ彼が別のワイナリーで働いている頃、大変豊作の年があった。このままでは十分な品質のブドウが得られないと考えたジョンは、ハドソン・ヴィンヤーズのオーナーであるラリー・ハドソンに、グリーンハーベスト(ブドウ房の間引き)をして欲しいと頼んだ。しかし旧知の間柄であるラリーをしても、「そんなの100ドル札を投げ捨てるようなもの」といってとりあわなかったという。

「それならば、この広さのブドウを全部買い取るから、収量はこちらで決めさせてほしい」と翌年に提案。不作の年でも決めた金額を払わなくてはならないのでワイナリーにとってはリスクが大きいものの、品質に妥協なしという意識の表れである。

コングスガードのワイン
写真左中央の「シャルドネ・ナパ・ヴァレー」は、ハドソン・ヴィンヤーズとハイド・ヴィンヤーズのブレンド。前者のオーナー、リー・ハドソンはUCデイヴィスの学友で、ブドウを売り始めた時の最初の顧客がジョンだったそう。力強さと気品のバランスが見事。右はクームスヴィルにある3haの自社畑から最大300ケースのみ造られる「ザ・ジャッジ」のマグナム。余韻の伸びが素晴らしい。左は赤ワインの「シラー・ナパ・ヴァレー」。ハドソン・ヴィンヤーズの1haの畑から造られるレアもの。スミレやプラムに、黒コショウを思わせるスパイシーな余韻。

もうひとつが「シャルドネ・ザ・ジャッジ」。クームスヴィルにある自社畑から、多くても年に300ケース(3600本)しか造られない、マニア垂涎の白ワインだ。

祖父の代から所有するクームスヴィルの土地にシャルドネの苗を植えつけたのは、彼がまだカリフォルニア州立大学デイヴィス校の学生だった1975年のこと。ナパの冷涼産地として今でこそ熱い視線を集めるクームスヴィルだが、当時は牧草地で馬と羊しかいなかったという。

「その頃、ナパにシャルドネの畑はほとんどなかった」と、述懐するジョン。そして、シャルドネの栽培を勧めたのはなんと、隣家に住むカリフォルニアワイン界のレジェンド、アンドレ・チェリチェフだったそうだ。

コングスガードのシャルドネはどちらも、モンラッシェ並みの凝縮感を有しながら、コルトン・シャルルマーニュを彷彿させるエレガンスも兼ね備えている。熟成のポテンシャルもすこぶる高く、10年の熟成を経た「シャルドネ・ザ・ジャッジ2013」のマグナムボトルをテイスティングしたところ、複雑味のレイヤーを重ねつつも、そのフレッシュさには舌を巻いた。

ジョン・コングスガード
今年72歳になるジョン・コングスガード。息子のアレックスについて尋ねると、「コングスガード・ワインとともに生まれ育っている彼は、ワイン造りに敬意をもっています。なにごともふたりで取り決めしていますが、新樽の使用を控え、アルコールは0.25~0.5%低下、環境に対しても十分な配慮をするなど、我々も少しずつ変化しています」と語った。

鬼才がつくる赤ワインも、また秀逸

また、シャルドネばかりが注目されるコングスガードだが、赤ワインの出来もじつに秀逸。中でも注目すべきはハドソン・ヴィンヤーズのわずか1haのブドウ畑から生み出されるシラーだ。

「長らく、シラーという品種に興味がなかったのですが、40代の頃、働いていたワイナリーでヴィオニエの白ワインを造るプロジェクトが立ち上がり、フランスのローヌ地方に向かいました。ある晩、『ボー・リヴァージュ』というレストランでコート・ロティやエルミタージュを飲み、そこでシラーに恋をしたんです」

コングスガードの「シラー・ナパ・ヴァレー」は、スミレの花やプラムのようなアロマとともに、冷涼な気候のもとで育てられたシラー特有の黒コショウを思わせるスパイシーさが特徴的。ジャムっぽさは微塵も感じられず、テクスチャーはシルキーで、柔らかく包み込むような味わいに仕上がっている。

コングスガードでは珍しいシラー
シャルドネの評価が高いため、ついつい忘れがちだがじつはジョンの造り上げる赤ワインも賞賛に値する。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、それにボルドーブレンドの赤もあるけれど、とりわけ素晴らしいのがシラー。ハドソン・ヴィンヤーズのわずか1haの畑のブドウを用いて醸造。シルキーなタンニンとスパイシーな余韻に心を打たれる。

若い頃からクラシック音楽に親しみ、高校卒業後の進路も音楽関係に進むべきか迷っていたというジョン。現在はワイン造りの傍ら、著名音楽家や交響楽団をナパ・ヴァレーに招いてコンサートを開催するなど、コーディネーター的な活動も行っている。そんな彼に、コングスガードのワインを味わうにふさわしいクラシック音楽を尋ねると……。

「モーツァルト! なんといっても、“マスター・オブ・バランス”ですからね」

問い合わせ
中川ワイン  TEL:03-5829-8161

TEXT=柳忠之

PHOTOGRAPH=鮫島亜希子

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