断言しよう。今、自分のレストランリストに入れておくべきはカウンターの店だ。なかでもクリエイティヴなカクテルを提供するバーは絶対に行きつけにしておきたい。通えば通うほどパワーチャージできる、唯一無二のカクテルバーから、今回は恵比寿の「BAR TRENCH(バー トレンチ)」を紹介する。
各国のバーホッパーが惚れた、海外基準のクラシックカクテルを
恵比寿の裏路地に佇む、隠れ家のような一角。レンガの壁に天井まで届く棚は、ブルックリンのようでもあり、クラシックヨーロッパのような趣きもある。流れる音楽もジャズからエレクトロニック、インディーズまで。敢えて時代や空間を特定させないスタイルが、他のどこでもない『トレンチ』らしさとなっている。
異国感あるこのバーの魅力は、アブサンや薬草酒など日本であまり見かけないお酒、そしてユニークでストーリー性のあるカクテルだ。
ドリンクを監修するのは、チーフバーテンダーを務めるロジェリオ・五十嵐・ヴァズ氏。ブラジルと日本にルーツを持つ日系3世であり、海外の文化をよく知るロジェリオ氏は、クリエイティヴで遊び心ある西洋のバーテンディングと繊細で正確な日本のバーテンディング技術を融合させて、日本におけるインターナショナルバーのひとつの理想形を打ちだした。
この独自のスタイルを味わうべく、海外から多くのバーホッパーが訪れる。バー業界の重鎮バーテンダー、チャールズ・シューマン氏も魅了されたひとりだ。英語とポルトガル語と日本語を操るロジェリオ氏は、日本と海外のバー文化をつなぐ役割を担っている。
「バーが生活の一部にある人生はとても豊かなものになる」。そうした考えから『トレンチ』が意識的に行っているのが、グローバルで飲まれているクラシックを日本に紹介するということ。「マティーニ」ではなく、アブサンを使った「タキシード」を、ウイスキーカクテルでは「マンハッタン」と同じくらい海外では飲まれる「ブルックリン」を。メニューを見ていると、多くのまだ知られざるクラシックカクテルとの出合いがある。ロジェリオ氏の手によりモダンにアレンジされたそれらのカクテルは、お酒の魅力を再発見させてくれる。
「カクテルをきっかけに新しいお酒を知ってもらえたらと思っています。アブサンや薬草酒をはじめ、珍しいスピリッツを置くようにしているので、いろいろなお酒との出合いがあると思いますよ」
ちなみに“TRENCH”とは戦場にある“塹壕(ざんごう)”の意味。そこには少しの間、身を潜め、仲間と作戦を立て、再び前進するための英気を養ってほしいというお店の想いが込められている。都会の塹壕で明日への活力を高める一杯を。
バー トレンチ/BAR TRENCH
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-5-8 DISビル102
TEL:03-3780-5291
営業時間:18:00〜2:00
定休日:無休
座席数:13席
料金:カクテル ¥1,540〜、チャージ ¥500