祝い事などハレの日に頂く料理の定番、すき焼き。すき焼き割烹として銀座で愛され続けてきた「銀座 すきやき・しゃぶしゃぶ・割烹 吉澤」が、通信販売大手のライトアップショッピングクラブとタッグを組んで、自宅で楽しめる”特製すき焼き小鍋”を開発した。「せっかくのいい肉でも、火入れに失敗しないかとか調理に気を使う」というお客さんの声をヒントに、電子レンジで温めるだけというシンプルな調理法にこだわった。手間いらずなのに、超逸品! 開発の裏には「ステイホーム期にも銀座を忘れないでほしい」という3代目の想いが込められていた。
「銀座 吉澤の味を自宅に届けたい」3代目の新たな試み
大正13年に銀座で精肉店として創業した「銀座 吉澤」。1階は精肉店で、2階では、すき焼きやしゃぶしゃぶが堪能できる割烹料理店を営み、仕入れから加工、販売まで一貫して行っている。そんな老舗割烹が総力を結集して開発した”特製すき焼き小鍋”は、電子レンジで温めるだけというシンプルな調理法ながら、味は逸品。最高峰の5等級松坂牛をふんだんに使っているが、気軽に楽しんでもらいたいと、4食セットで¥15,768の価格設定に抑え込んだ。
「銀座 吉澤は、歴史的にも松阪牛と縁が深く、現在も東京食肉市場に出荷される5等級松阪牛の購入頭数が1位なんです。その経験によって培われた目利きによって厳選した松阪牛を、自宅で楽しんでもらいたいと思い、素材・調理法全てにこだわって開発しました」
そう話すのは、先代から兄とともに店を引き継いだ、専務取締役の吉澤裕介氏。
「コロナ禍で客足の心配はあるものの、銀座に遊びに来てほしいとも言えない……」
そんな悩みを経営者仲間に相談したところ、通信販売大手のライトアップショッピングクラブの担当者を紹介されたという。ライトアップショッピングクラブは、開発の分野にも力を入れ、全国各地を飛び回ったバイヤーたちが無数のヒット商品を生み出してきた。松阪牛のプロと商品開発のプロがタッグを組んで、”銀座 吉澤の味を全国に届けるプロジェクト”が始動した。
電子レンジでもお店の味が再現できたワケ
開発は苦労の連続だった。「松阪牛のプロとして最高級のものを届けたい」と、採算度外視で、5等級松阪牛を使い試作品を何度も作ったが、なかなか納得のいく味には仕上がらなかったと吉澤氏。
「肉と割下、そして他の具、全部がバラバラで、思い通りの味になりませんでした。そこで量や割合などを調整して、何度も試したんです。それでもダメで……しかし割合ではなく、作り方を工夫した方が良いのでは? と試作を繰り返すなかで思いついたんです。作業工程でお肉を下茹でするのですが、その茹で汁を使って割下を割り、その割下で、他の具材などの下味をつける。すると、味に一体感がでて納得の仕上がりになりました」
予感は的中。店で提供する際の調理法に変えたことで、割下や他の具材にも肉の旨味を行き渡らせることに成功した。そして一番の難題は、白滝だったという。
「当初、具材の一つとして、お店でも使っている白滝も入れて試作しましたが、冷凍できる白滝は食感が特殊で、”特製すき焼き小鍋”に全くマッチしませんでした。その時、ライトアップショッピングクラブの担当者さんから、冷凍用のくずきりなら合うのでは? と、アドバイスをもらったんです。試作した所、割下の味も染みとてもいい具合に…新たな発見でした」
こうして出来た”特製すき焼き小鍋”には、明治6年創業の老舗「正田醤油」とともに作った特製のタレも加えられた。
”特製すき焼き小鍋”はライトアップショッピングクラブのHPから6月30日まで販売。今後も、お客さんのニーズを聞いて、新しい商品開発にも取り組んでいきたいと吉澤氏は意気込む。
「銀座へ出掛けて美味しいものを食べるといった事が難しい状況ですが、自宅で手軽に、ちょっとした贅沢として”特製すき焼き小鍋”を楽しんでもらえたら嬉しいです。コロナ禍が落ち着きましたら、ぜひ銀座のお店にもお立ち寄り頂きたいですし、銀座 吉澤の味を届けるために商品開発にも力を入れて行きたいです」