日頃お世話になっているあの方には、王道のボルドーを。ビジネスの大勝負の場では、プレミアムな希少ワイン。ワイン通のあの方をお招きするなら、新世界のワインでサプライズ! など、ワイン賢者・井黒 卓氏が5つのシチュエーションに合わせてワインをセレクト。コロナ禍とはいえ、年末は何かと贈り物や集まりが多いシーズン。考え抜いた渾身の1本を送れば、大切な方々への感謝の気持ちも伝わるはず。
ワインを贈る行為とは互いの人柄の探り合いです
全日本最優秀ソムリエに決まって、お祝いにとワインをいただく機会が増え、改めてワインを贈ることの大切さを知りました。何より贈る相手への気遣いが大切。ひとりひとりのパーソナリティを考慮して、贈るワインを吟味する必要があります。だから当然、同じワインをふたりに贈ることはありません。また逆をいうと、贈る銘柄でこちらの人柄が見えてしまうことも。ワインを贈る行為は、お互いの人柄の探り合いでもあるんですよね。
手土産に選ぶ1本
ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレー サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン 2015
¥7,000
ゲストはホストを立て、一歩引いたワインを選ぶべきでしょう。ただし、中身は本物。集まった皆が喜ぶものでなくてはなりません。このワインはサヴィニー・レ・ボーヌという、ブルゴーニュでも比較的マイナーな産地の白ですが、ピュリニー・モンラッシェやムルソーにも引けを取らず、ロオジエでもお出ししている1本です。
ゲストのおもてなしに
ローラン・ペリエ グラン シエクル No.24
¥25,520
まずは無難なところでシャンパーニュ。多くの方が知る銘柄ながら、ひとつ上のクラスでおもてなししたいです。こちらはローラン・ペリエのフラッグシップシャンパーニュ。突出した特長を持つ3つのグレートヴィンテージをブレンドし、ハーモニーを生みだしています。これを飲めば、知らないもの同志でも打ち解けられるはず。
プチギフトとして
ディアバーグ ヴィンヤード シャルドネ サンタ・マリア・ヴァレー 2015
¥4,300
贈った相手から「美味しかったよ」と言われるのは、一番の光栄。しかもリーズナブルな価格なら、ご自身でも2本、3本と買ってくださるでしょう。そうしたら、こちらも嬉しいですよね。ディアバーグはブドウ畑をサンタ・バーバラ各地に保有。そのブドウを買っている某有名ワイナリーでは、価格がディアバーグの3倍だそうです。
自分へのご褒美に
ベルヒル ピノ・ノワール 2013
¥19,000(2016年の価格)
いっさい他者のことは考えず、単純に自分が飲んで美味しいと思ったワインを選びました。スクリューキャップのワインは還元臭の強いことがしばしばありますが、ベルヒルにはそれがありません。このピノ・ノワールの生産量は年にたったの4樽。日本への割り当ても限られているので、見つけたら即買いしておきたいワインです。
本気の勝負ワイン
E.ギガルコート・ロティ ラ・ランドンヌ 2016
¥60,000
これはコート・ロティの盟主に君臨するギガル社の最高峰。他にラ・ムーリンヌ、ラ・テュルクの姉妹ワインがあり、このラ・ランドンヌが最も長命です。2005年は今が飲み頃。でも真に偉大なワインは若いうちからでも美味しい。なので最新の2016年であっても、恐るるに足らずです。好きな時に開けていただいて構いません。
※写真は2005年
「ロオジエ」とは?
1973年に創業した、資生堂が経営するミシュランの三つ星レストラン。井黒さんがここで紹介してくれたワインがオンリストされている。
住所:東京都中央区銀座7-5-5
TEL:03-3571-6050
Taku Iguro
ロオジエ ソムリエ。1987年米国生まれ。沖縄育ち。2016年から銀座「ロオジエ」のソムリエに。今年開催の第9回全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝。将来を嘱望される若手ソムリエの筆頭。
※上記5本は参考小売価格。