日頃お世話になっているあの方には、王道のボルドーを。ビジネスの大勝負の場では、プレミアムな希少ワイン。ワイン通のあの方をお招きするなら、新世界のワインでサプライズ! など、ワイン賢者・大越基裕氏が5つのシチュエーションに合わせてワインをセレクト。コロナ禍とはいえ、年末は何かと贈り物や集まりが多いシーズン。考え抜いた渾身の1本を送れば、大切な方々への感謝の気持ちも伝わるはず。
ワイン選びは捻りを加えて話題の産地や造り手のものを
人にワインを贈る時には、その方がどのようなシチュエーションで飲むのかをまず考えます。どのタイミングで飲まれるかも、チョイスするうえでは大事ですね。贈るワインはできるだけよい環境で飲んでいただきたいので、さまざまなパラメーターをもとに、赤がいいのか白がいいのか、どのようなタイプが好ましいのかを考えます。それにちょっとした捻りを加えて。今話題の産地や造り手で、相手の方にも新たな発見をしていただきたいですね。
手土産に選ぶ1本
農楽蔵 Nora Rouge 2018
¥3,500
どの程度のワインを持っていくかがいつも悩みの種ですが、あまり高いものだと相手を気遣わせてしまうので、ここは金額ではなく希少性で勝負しましょう。これは北海道・函館の佐々木夫妻がピノ・ノワールとメルローを混醸して造る、軽やかな赤ワイン。温度にあまり気を使わず開けられるので、手土産のワインには最適です。
ゲストのおもてなしに
ベルヒル シャルドネ 2016
¥18,000
新しい産地でトップの生産者のワインを選び、ゲストを驚かせたいですね。そこでニュージーランドのノース・カンタベリーで造られるシャルドネ。ワイナリーはカルト的人気のベルヒルです。ブルゴーニュ以外にも素晴らしいシャルドネがあることを、フランスワイン派の人に教えたい。重みがないので、食事の口開けにもいけます。
プチギフトとして
ウルトラマリン ブラン・ド・ブラン ハインツ・ヴィンヤード ソノマ・コースト 2011
¥16,000(2015年の価格)
ギフトに向いているのは、泡ものと呼ばれるスパークリングワイン。とはいえ、1万円台で探すとなると、シャンパーニュで面白い銘柄は難しく、他の地域や国から見つけることになります。なかなか手に入れられない希少な1本といったら、カリフォルニアのこれ。シャンパーニュに負けない深みとエレガンスが味わえますよ。
自分へのご褒美に
ザ・サディ・ファミリー・ワインズ パラディウス 2016
¥13,000
死ぬ前に飲みたいワインはラヴノーのシャブリか、この南アフリカのパラディウス。今、新世界で最も注目を集めている造り手、イーベン・サディ氏の最高峰の白です。さまざまなブドウ品種が混醸された、造りのうえではナチュラルワインですが、いっさいの欠陥がなく、輪郭がくっきりしていて、歪みや緩さがありません。絶品です。
本気の勝負ワイン
ソルデーラ カーゼ・バッセ 2008
¥65,000
トスカーナ最高のワインで勝負です。ソルデーラは2012年に元従業員の手によって熟成中のワインを流されたうえ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会の考えに失望し、’13年に同協会から脱退。そんな反骨精神がワインの風味にも現れています。’08年は1年前に試しましたが、すでに美味しい。もちろん、まだ寝かせられますよ。
「アンコム」とは?
「アンディー」に続き、大越さんが広尾にオープンしたモダンベトナム料理店。こちらは日本酒を主体に、ワインともペアリング。
住所:東京都渋谷区広尾5-4-16 EAT PLAY WORKS 2F
TEL:03-6409-6386
Motohiro Okoshi
ワインテイスター、ソムリエ。1976年北海道生まれ。渡仏を経て「銀座レカン」のシェフソムリエを務め、2013年にワインテイスターとして独立。’17年に外苑前「アンディー」、’19年に広尾「アンコム」をオープン。
※上記5本は参考小売価格。