2009年から’15年の6年半、のべ500日以上をかけて、47都道府県を旅した中田英寿さん。そこで出会った数々の酒蔵には、ある共通点があった。それは、「良質な蔵元であればあるほど、良質な食を知り尽くしている」ということ。中田さんが出会った全国津々浦々の特別なる蔵人にしか知りえない、最高に旨い"地元の名店"を「ゲーテイスト2019特別版」として紹介する。
『リストランテ ジェエーメ』 大仙市/イタリアン
推薦人
「春霞」/栗林酒造店 栗林直章さん(製造責任者)
のどかな田園風景が広がる中、突如現れる一軒家イタリアン。「レストランは塀に囲まれていて、外から見ると邸宅のよう。中に入ると洗練の空間が広がり、別世界へと誘われます。提供するのは、美しいプレゼンテーションのモダンイタリアン。地元の野菜がふんだんに使われていて、ワインはもちろんのこと、『春霞』と合わせるとこれが絶品なんです。オリーブオイルやチーズなどのイタリア食材と、日本酒の相性は本当に抜群。そのマッチングと、日本酒がもつポテンシャルを学べたのは、このレストランのおかげ。エレガントな気分に浸りたいときに足を延ばす、私にとってのスペシャルアドレスです」
住所:秋田県大仙市戸蒔字谷地添100-1
TEL:0187-73-5053
https://www.giueme.com/
栗林酒造店
環境庁の「名水百選」にも選定される清水の郷・美郷町。町内に126ヵ所もの湧水が確認される水脈豊かな街に蔵を構える。米は秋田県独自の美郷錦を、仕込み水は地下25メートルから汲み上げた地下水を使い、それらが柔らかな味わいとなって現れる。「『春霞』の酒造りでいちばん心がけているのは、ごはんのおかずと相性のよい食中酒であるということ。ハレの日もケの日も食卓に上る、そんな日本酒づくりを心がけています」
銘柄:栗林、春霞
創業・明治7年
住所:秋田県仙北郡美郷町六郷字米町56
︎TEL:0187-84-2108
https://harukasumi.com/
『酒どこ べらぼう』 能代市/居酒屋
推薦蔵人
「山本」/山本 吉川 翔也さん(製造スタッフ)
秋田の地酒や県外のお酒を秋田料理とともに楽しめる。「季節の旬のものをベースにしたおつまみがおすすめです。酒蔵の社員が集まってお座敷で宴会するのはもちろん、県外の食好き、酒好きの人が集まる“原住民型”居酒屋。冬の名物、しょっつる料理やきりたんぽ鍋はもちろん、夏はじゅんさい鍋をぜひ。鶏出汁をベースに醤油で味付けしたシンプルなスープで、あっさりと食べられる。春は秋田ならではの姫筍の姿焼き、秋は香り豊かなきのこ類など、四季折々の食材を『山本』や『白瀑』とともに、心ゆくまで味わえる人気店です」
住所:秋田県能代市柳町2-39
TEL:0185-54-4066
http://www.shirakami.or.jp/~asano/berabou/berabou_hp.html
山本
平成17年に杜氏制を廃止し、蔵元の山本氏が自ら酒造りを始めて立ち上げたのが「山本」。季節商品には「ツーアウトフルベース」「逆転サヨナラ満塁ホームラン」などユニークなネーミングの商品もそろう。「社長が大切にしているのがユーモアとチャレンジ。品質を徹底的に追求するのはもちろん、そこに遊び心を加えて人々の心を掴んでいきたい。日本酒づくりにワイン酵母を用いるなど、これからもチャレンジを続けていきます」
銘柄:山本、白瀑
創業:明治34年
住所:秋田県山本郡八峰町八森字八森269
TEL:0185-77-2311
https://www.yamamoto-brewery.com/
『日本料理たかむら』 秋田市/江戸料理
推薦人
「一白水成」/福禄寿酒造 渡邉康衛さん(代表取締役社長)
全国から美食家が訪れる、紹介制の日本料理店。店主の高村宏樹さんは東京・目白の江戸料理の老舗『太古八』(現在閉店)で修業した料理人で、故郷・秋田に戻って開業したのは1999年。会席仕立てのコースは8000円から13,000円まで3種類あり、地元の旬の食材を生かしたお酒に合う料理を楽しめる。「『たかむら』専用に特別に醸造した『一白水成』の袋吊り純米大吟醸は、比内地鶏の皮の脂にも負けないようなキレのいい酸味を持つお酒です」
推薦人
「新政」/新政酒造 佐藤 祐輔さん(代表取締役)
「江戸料理の調理法を踏襲しながら、地元の食材を巧みに使い、秋田発の江戸料理を提案しています。山菜やジビエなど、四季折々の秋田の旬を存分に味わえるので、季節ごとに足を運ぶ最愛の店。地酒のそろえも素晴らしく『新政』の特注品も並びます。伝統的な日本料理のスタイルを取りながらも、アイディアにあふれているのが素晴らしい。行くたびに刺激を受け、心意気に感動し、"粋"とは何かを教えてくれる日本屈指の名店です」
日本料理たかむら
住所:秋田県秋田市大町1-7-31
TEL:018ー866ー8288
https://www.akita-takamura.jp
福禄寿酒造
秋田市北部の五城目町に1688年(元禄元年)に創業。地元産の酒米と敷地内に湧き出る清冽な地下水を使用し、五城目の風土を映した日本酒を醸している。「白い米と水から成る一番旨い酒」を意味する「一白水成」は、2006年に誕生した県外向けブランド。華やかな香りと、酸、キレのバランスがとれた酒が6種揃う。蔵の一部は全国登録有形文化財に指定されており、見学可能(予約制)。2018年に隣接地にオープンした「下夕町醸し室HIKOBE」はカフェスペースと日本酒等の販売コーナーがあり、利き酒もできる。
銘柄:福禄寿、一白水成
創業:元禄元年
住所:秋田県南秋田郡五城目町字下タ町48番地
TEL:018-852-4130
https://www.fukurokuju.jp/
新政酒造
地域性を尊ぶため、秋田県で栽培された米のみで醸造。酒母には天然の乳酸菌を活用する伝統製法「生酛」のみを採用する。また、培養された酵母を使用する場合は、この蔵で昭和5年に採取された「きょうかい6号(六号酵母)」のみを用いるのも特徴だ。「『伝統的な手法で、新しいものをつくる』。これが私たちの信条。添加物は一切使用せず、秋田の素材のみで醸した、日本酒本来の味を追求しています」
銘柄:新政
創業:寛永5年
住所:秋田県秋田市大町6-2-35
TEL:018-823-6407
http://www.aramasa.jp/
『心粋厨房 獬』 秋田市 / 和食
推薦人
「ゆきの美人」/秋田醸造株式会社 小林忠彦さん(代表取締役)
「ご夫婦で営んでいる、こぢんまりとしたお店です。旬のものを使ったコース料理がメインなので、行く時々によって食べられるものが違うんですよ。地元の山菜やお刺身、本当になんでも美味しいんですけれど、私がとくに好きなのは“〆のパスタ”。和食がメインの料理屋さんですから、最後はお蕎麦かと思いきや、ウニやからすみを使った和風パスタなんです。これがとびきり美味しい。何度でも通いたくなる味わいです」
心粋厨房 獬
住所:秋田県秋田市南通亀の町11-6
TEL:018-853-4126
秋田醸造
6度以下の低温で仕込み、もろみの最高温度も12度以下と抑え、25日以上かけてゆっくり発酵させてしぼる。それが、大正時代からつづく秋田醸造の日本酒の作り方なのだそう。「ゆっくり発酵させることで、飲んだ時にはふくらみとコクが広がり、飲んだ後はすっきりキレ良く締まる味わいになります」
銘柄:ゆきの美人
創業:大正8年
住所:秋田県秋田市楢山登町5-2
TEL:018-832-2818
https://www.nipponnosake.com/kura/yukinobijin/
『鮨駒』 由利本荘市/鮨
推薦人
「雪の茅舎」/齋彌酒造店 白土玄さん(営業部)
「地元の方以外にも人気のお店で、いつも予約でいっぱいのお鮨屋さんです。握り鮨はもちろんですが、地元の新鮮な魚を使ったお造りや山菜もぜひ一度味わっていただきたいですね。自家製豆腐がすごくクリーミーで濃厚なんですよ。主にコースで、その日の大将のおすすめをいただきます」
鮨駒
住所:秋田県由利本荘市桶屋町120
TEL:0184-23-5511
齋彌酒造店
地元の農家さんと契約をして、酒造好適米である「秋田酒こまち」を栽培している齋彌酒造店。酒米の品質は酒造りに大きな影響を与えるため、蔵人自ら栽培に携わり続けているのだそう。酵母についても、30年以上前から酵母の自家培養に取り組み、長年にわたり選抜した自家培養酵母が「雪の茅舎」オリジナルの香味を生み出し、安定した酒質を保っているという。「雪の茅舎」は、自社培養酵母で醸す技術を使っているため、豊かな風味を存分に堪能できる銘品となっている。
銘柄:雪の茅舎、聴雪
創業:明治35年
住所:秋田県由利本荘市石脇字石脇53
TEL:0184-22-0536
http://www.yukinobousha.jp/index.html
中田さんが開発している日本酒アプリ「Sakenomy」では、さらなる情報を公開! さらなるレストランに加え、宿やお取り寄せ情報も掲載しているので、秋田を旅するときのお供に!!