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2018.07.12

プロ野球コーチ・光山英和の「美食と野球」第1回 東京『盡』

横浜DeNAベイスターズのバッテリーコーチ、光山英和は、現役時代は野茂英雄の相棒として知られ、近鉄バファローズのキャッチャーとして活躍。現在は、ラミレス監督の右腕としてバッテリー強化に取り組む日々を送る。その一方、常日頃から全国の旨い店を巡る美食家。野球関係者の誰もが口を揃えて言う「球界一のグルメ」だ。そんな光山コーチが、横浜はもちろん、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡など全国の隠れ名店をガイドする「美食」コラムをスタート。必見、必食です!

美食と野獣

全国のめっちゃ旨い店を紹介します!

はじめまして! 横浜DeNAベイスターズの光山です。

バッテリーコーチをやってます。

選手を引退する以前から私の目標は「指導者になること」でした。

現役時代から将来のコーチ像についてよく話していました。

特に親しかった石井浩郎さん(現参議院議員)とは、「ミツ、生活の基盤を築いてからコーチになろうな」「サラリーマンコーチにはならんとこな」等々、

酒を交わしながら、よく話し合ってました。

当時全盛だった清原君と競い、打点王を獲得。ジャイアンツの4番にもなった石井さんから「生活の基盤を築いてからコーチに」という言葉が出た事に感銘を受けたのを思い出します。

あれは15年くらい前だったかな~。

ユニフォームを着続けたい気持ちはありましたが(実際は誘いがありませんでした)、私は引退後、大阪の友人の酒屋に勤め、酒の営業・配達、そしてGAORAというCS放送の解説者として、かすかに野球界にとどまり、いつかユニフォームを! と夢見る中年のオッサンでした。

その間、私はとにかく「生活の基盤を築く」ために働きました。すべては野球のために……。

なかでも基盤を築くためにやったことは飲食店経営。現役時代から、とにかく食べることが大好きで、しかもシーズン中はほぼ外食なわけですから、旨い店がある、と聞けばよく行ってました。もちろん全国をです。

そんな好きなことが高じて飲食店を計11店舗やりまして、それなりにメシも食えました。兄弟も飲食関連(※編集部注 兄・英俊氏は大阪で予約の取れない超人気店『和洋酒菜 ひで』を、弟・英明氏は肉好きの聖地として知られる『肉山』を経営)でしたから、こっちの道で「生活の基盤を築く」は自然のことだったんです。

けど、ここへ来て、やっぱり野球に専念したいの気持ちが強くなり(コーチの誘いもあり)、2017年末に数店を売却し、現在は2店舗のみ。

今はそれもほぼ人に任せています。そんなタイミングでのこのコラムがスタート。ユニフォームを脱いでビジネスマン(?)になってからは、いつか雑誌のGOETHEで取材されたい! と思ってましたから、「グルメ企画をやりませんか?」という依頼を断ることはできませんでした(笑)。

これから全国の旨い店、バンバン紹介していきまっせ!

で、早くから決めていました。第一回はこの店だと!

銀座「盡」

オーナーシェフである佐藤慶さんとは、兵庫県・芦屋にあった知る人ぞ知る伝説の店『DOHVA(ドーヴァ)』の頃からのお付き合い。彼は当時から「将来は銀座に店を出す」と言い切っていました。

盡

店主の佐藤慶さんと。天才的なセンスと、素晴らしい技の持ち主です。

DOHVAは看板もなければ、道端にも何の案内もないレストランなんですが、店に入ると空気が一変。

「ここは間違いなく旨い料理を出す」という空気に満ちていました。

佐藤さんの料理は、まさに唯一無二というのにふさわしいもの。最初から最後まで、とにかく旨かった。

で、現在の「盡(ジン)」も基本は同じスタイル。

料理のジャンルはなく、佐藤さん曰く「イノベーティブ・フュージョン」。日本料理のようでそうではなく、例えば出汁は出汁でも、昆布と鰹節からとったものは一切使わない。醤油も使わない。なのに深い味わい。どの料理をいただいても、思わず唸ってしまいます。

店内は6席で、毎日夜の1回転のみ。その1回転のために朝6時に仕入れ(そのために便がいい築地に居を構えたそう)、そのあとはずっと仕込み。食事の途中に出てくるパンとバター(これがメチャ旨い!)も手づくりで、そのこだわりと手間のかけようが半端ない。

そのストイックさから、従業員からは「変態」と言われるほど。

きっと野球をしていても超一流になってただろうな……。

食事は体を温めるために一杯の出汁をいただくところからはじまる。

食事は体を温めるために一杯の出汁をいただくところからはじまる。この日は純国産のあさりとその日に使われる食材のアラからとったもの。

米粉と米油で揚げた淡路の黄アジ。

白ウニをのせた小丼。

トウモロコシを真っ黒に焼き、それをコラーゲンで固めたものに青森の白ウニをのせた小丼。

五島列島のカツオの炭火焼き。

五島列島のカツオの炭火焼き。皮下脂肪をおとした絶妙な焼き方が光る。タイラ貝のエキスでいただく。

乳清を使った自家製パン。

北海道から届く生クリームで毎日お店で作っているバターと、その乳清を使った自家製パン。バターの口解け具合に驚かされる。

和歌山のキジハタとホタテ。

和歌山のキジハタとホタテをシャンパンで3時間蒸した品。海苔に巻き、手渡しで供される。

自家製パンと自家製バター、稚鮎のディップ。

自家製パンと自家製バター、稚鮎のディップ。

火を通した淡路のアワビとキスをアワビの肝で和えたもの。

火を通した淡路のアワビとキスをアワビの肝で和えたものの上に、揚げた富山の白エビをのせて。

愛媛の雌のノドグロの炭火焼き。

愛媛の雌のノドグロの炭火焼き。ブルゴーニュワインの酸味でいただく。

毛ガニの身とミソで炊いたご飯。

毛ガニの身とミソで炊いたご飯。お米は出す時間に合わせて精米し、氷水で研ぎ、特製の南部鉄器の鍋で炊く。アサリの出汁をかけてリゾットにしていただく。

寒天と水ようかん。

和菓子職人の白石学氏による寒天と水ようかん。絶妙の舌触り。

新茶の水出し。

新茶の水出し。冷水から8時間かけてうまみを抽出したもの。

2017年のオープンで、すでに現在でも日本有数のレストランと評価されていますが(来年いっぱい予約がうまっているそう!)、2020年東京オリンピックの頃には世界有数のレストランになってると断言します!

佐藤さんが体を壊さなければですが……。

野球も料理も人やねんなぁ~。

 


住所:東京都中央区銀座5‐4‐15西五ビル6F
TEL:03-3269-5050
営業時間:最初の予約を入れた方に合わせて一斉スタート
休み:不定休
席数:カウンター6席
http://ginza-jin.jp/

TEXT=光山英和

PHOTOGRAPH=鈴木拓也

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