スポーツ選手がそれぞれの競技で勝負するように、ビジネスパーソンは仕事で勝ちに行く。あらゆるシーンでスピードやタフネスが求められる現代のビジネスシーンでは、機敏に動ける俊敏性や瞬発力、ハードワークに負けないスタミナ、咄嗟の判断を下す反射神経、さらにはストレスに打ち勝つ持久力やメンタリティまで、求められる能力は、スポーツに向かうそれと何ら変わらない。実際、吉田輝幸トレーナーのもとには、メジャーリーガーをはじめとする世界レベルのアスリートのみならず、メディアで著名な経営者やビジネスパーソンがこぞって通う。「違い」がわかっているからだ。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート⑧】
反発力を利用するボーゴジャンプ
ビジネスアスリートとしての勝てる体は、単に筋トレやランニングのルーティンだけでは決して得られない。超時間のハードワークにタフなプレゼンや交渉ごと、緊急の問題解決に速さが問われる行動力など、求められるのは「ビジネス」スキルではありながら、瞬発力、持久力、スピードに反射神経といった肉体の持つ機能、それも多岐にわたる能力にほかならないからだ。
こうした多角的な力を高めるために、必要なのは「6つの歯車」。
1. コレクティブエクササイズ/体のクセや機能不全を改善して正しい使い方に導く
2.レジスタンストレーニング/筋肉増加&筋力アップのための筋トレ
3. プライオメトリクス&ムーブメント/瞬発力を高めて瞬時にパワーを出せる体に
4.ESD/心肺機能を高め、少ない労力でラクに動ける効率性向上
5.リ・ジェネレーション/疲労回復のためのストレッチや筋膜リリース
6.ニュートリション/体づくりのための良質な食事
このうち、瞬発力と弾性を高める③「プライオメトリクス&ムーブメント」のメニューを今回から紹介する。おもにジャンプの動作が中心だが、それでなぜ瞬発力や弾性が鍛えられるかというと、吉田さんいわく「デコピン理論」。
「デコピンは、はじく中指に対して親指で強い力を与えれば与えるほど、その反動で強くて痛いデコピンになりますね。それと一緒で、ジャンプで着地したときの床からの反発力を利用するエクササイズです。着地で床に吸収される力から発揮されるバネ、その使い方のコツをつかんでください」(吉田さん)
ゴルフのスイングで右手首にテンションをかけてシャフトをしならせ、その反発力を利用すると力任せでなくても飛距離が延びる、これもデコピン理論によるものだが、「歩く、走るといった人間の基本的な動作も、床からの反発力によるものです」と、吉田さん。うまく生かすことで、少ない力でも瞬発的にパワーを生みだし、効率よく動けるようになる。
このトレーニングでは、ジャンプは「自力で上に跳ぼう」とするのではなく、床に体重を落として伝えるような感覚で、下に着地するほうを意識する。上に軽々と跳ぼうとすると、重心が前に寄って足のつま先だけで跳んでしまいがちだが、一瞬で大きなパワーを得るために足の裏全体で着地し、接地時間は極力短く。跳ね返る力をうまく使おう。
▼ボーゴジャンプ(5~10回が目安)
Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。
Illustration=NORIO