スポーツ選手はそれぞれの競技で戦い、ビジネスパーソンは仕事で勝負する。そんなビジネスアスリートとしての勝てる体は、単に筋トレやランニングのルーティンだけでは決して得られない。超時間のハードワークにタフなプレゼンや交渉ごと、緊急の問題解決に速さが問われる行動力など、求められるのは「ビジネス」スキルではありながら、瞬発力、持久力、スピードに反射神経といった肉体の持つ機能、それも多岐にわたる能力にほかならないからだ。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート12】
多角的な力を高めるために、必要なのは「6つの歯車」
① コレクティブエクササイズ/体のクセや機能不全を改善して正しい使い方に導く
② レジスタンストレーニング/筋肉増加&筋力アップのための筋トレ
③ プライオメトリクス&ムーブメント/瞬発力を高めて瞬時にパワーを出せる体に
④ ESD/心肺機能を高め、少ない労力でラクに動ける効率性向上
⑤ リ・ジェネレーション/疲労回復のためのストレッチや筋膜リリース
⑥ ニュートリション/体づくりのための良質な食事
このうち、③「プライオメトリクス&ムーブメント」のメニューを重点的に紹介する。ジャンプなどの瞬間的なパワーを発揮させる動きによって、筋肉の瞬発力や弾性を高めるのが、プライオメトリクストレーニング。自分の筋肉の力だけでなく、地面からの反発(床反力)を使って動けるようにするものだ。
この床反力を使うと「力を使わずに力を生み出せる」のだと、吉田さん。どういうことかといえば、
「デコピンと同じです。パチンとはじく中指には力を入れなくても、中指を支える親指に力を入れておけば、勢いよく強いデコピンになる。逆に中指に目いっぱい力を入れても、親指が脱力していると弱いデコピンになってしまいます。ゴルフのスイングでも、右手首にテンションをかけてシャフトに負荷を与えてしならせると、反動でより速く振り下ろせます。このように、自分では余計な力を使わずに、反発力を使って大きな力を出せるのがデコピン理論。ここでは床からの反発力をパワーに変えるメニューを紹介しています」
今回行うのは「スクワットジャンプ(ローディング)」。通常のスクワットはゆっくりした動作で太ももや体幹の筋肉に負荷をかけるが、プライオの場合は素早くジャンプしながら。立った状態からスクワットの姿勢に勢いよく着地、床反力を使ってジャンプしながら数回繰り返す。上に高く跳ぶのではなく、両足を浮かせて瞬時にしゃがんだ態勢に着地するのがポイント。両腕も一緒に振り下ろすようにするとやりやすい。
▼スクワットジャンプ(ローディング)※全速力で5回程度
Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。