2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 連載第106回は、パテック フィリップの「カラトラバ 5226」と「年次カレンダー・トラベルタイム 5326」を取り上げる。連載「意欲的新作ウォッチ」はこちら
進化し続けるパテック フィリップ「カラトラバ」の現在地
1932年に発表されたパテック フィリップ「カラトラバ」の始祖的な存在であるドレスウォッチRef.96は、あらゆるラウンドウォッチの模範と評される不滅の金字塔である。Ref.96誕生から80年以上の間、カラトラバ・スタイルは変化を恐れずに時代とともに進化し続けている。
待望の新作として登場した40mm径の18Kホワイトゴールド製ケースを採用した「カラトラバ 5226」は、いい意味で予想を裏切るテイストを打ち出した。
まず目に止まるのは、Ref.96の系譜に連なるデザインコードとは一線を隠す、ヴィンテージのエッセンスを現代的に解釈した文字盤だ。独特の質感と外周に向かって濃さが増すブラック・グラデーション、ベージュ色の夜光塗料が塗布されたゴールドの夜光付植字数字などがそれに該当する。
このモデルの個性である創意工夫に溢れたケースデザインも注目に値するだろう。ケース側面にクルー・ド・パリ(ボブネイルパターン)のギョシェ装飾を施すために、ラグとケースバッグを一体化させた特別なケース構造を新たに手掛けている。
センターセコンド仕様の自動巻きムーブメントCal.26-330 S Cは、厚さ8.53mmの薄型ケースを設計する上でも欠かせない。装着されたヌバック仕上げのベージュのカーフスキンストラップ以外に付属品としてエンボス加工でファブリック柄を施したブラックのカーフスキンの用意がある。
2つの複雑機構を搭載したヴィンテージスタイル
同じシリーズから登場した「年次カレンダー・トラベルタイム 5326」も注目度が高い。このモデルはパテック フィリップ初となる年次カレンダーとトラベルタイムの2つの実用的な機能を併せ持つ。
年次カレンダーとは、パテック フィリップが特許を取得した1年に1回だけ日付調整をする実用性に優れた複雑機構であり、一方のトラベルタイムは独立して動く第2の時針と4時位置のホームボタンと8時位置のローカルボタンで表示される。
このモデルのために、パテック フィリップはマイクロローター式の自動巻きムーブメントCal.31-260 PS QA LU FUS 24Hを新たに開発。この機構によって、曜日・日付・月の窓表示、現地と出発地の時刻表示と昼夜の窓表示、ムーンフェイズ、スモールセコンドを備えた文字盤のレイアウトが完成する。
このようにパテック フィリップは、1839年創業というマニュファクチュールとしての歴史を守りつつも、常に未来を見据えてながら新しい時代にふさわしいタイムピースの製作に取り組んでいる。この2つモデルで披露した現代的なヴィンテージスタイルはその好例だと言えるだろう。
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