PERSON

2026.10.08

連続起業家・福田淳流、人生の時間を先取りして、時代を先取るセンスを磨く方法

まだまだ謎に包まれた男、福田淳(あつし)。なぜだかいつも周りの人間から頼られ、案件を持ち込まれ、奔走する。そして常に国内外を飛び回り、一日一日を本気で楽しむ。多岐にわたる企業の経営を担い、タブーをタブー視せず、変化を模索する男の人生哲学とは? 第21回目は流行先取りの観点から人生の時間の使い方について。

福田淳氏
福田淳/Atsushi Fukuda
1965年大阪府生まれ。連続起業家。スピーディグループCEO(現任)、STARTO ENTERTAINMENT創業CEO、ソニー・デジタル・エンタテインメント創業CEO。世界19ヵ国での出版事業、日本でタレントエージェント、LAでアートギャラリー運営、リゾート施設展開・無農薬農場開発、スタートアップ投資など世界中でビジネスを展開する。著書多数、近著に『結局、熱狂できる人がうまくいく。』がある。

AI人間になってない!? 野生の勘を研ぎ澄ませ

夏生まれだからでしょうか、僕は寒さが大の苦手です。毎年冬になれば暖かい地域に逃げるほど、今からこの冬の滞在先を探しています。

まだ暑さも残る時期に、もう冬の話なんて気が早いと思われそうなものですが、「ゲーテ」だって9月にコートの特集を組んでいます。でも、僕はこういう「先取り」って結構大事だなって思うんです。

だって「時間を先取りする」って自分の人生の時間を確保することだから。仕事の予定なんか数ヵ月先までどんどん埋まります。誰かとの約束で人生の時間を完全に埋め尽くされる前に、自分のやりたいこと、その予定を先んじてバンバン入れておく、それが「時間の先取り」です(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(PART3)でドクが「未来はまだ書かれていない。望むとおりに変えられる」ってセリフ、好き)。

僕の場合、その予定はもっぱら旅です。ベトナム(ニャチャンの泥風呂)、プーケット(ハーバルサウナ)などなど、すでに旅の予定は先々までぎっしり入れています。先日プラントハンターの西畠清順から「4月しか見られない景色がブータンにあるから行かない?」と言われて「じゃ行こっ」と即決、さっそく来春の予定が入りました。

誰かが行きたいところに行くと人生の風景も変わります。行きたい場所があるなら、「いつか行こう」ではなくて、「すぐ行く」(人生で大事なのは自分が生きてる時間だけ!)。「あなたは自由だから、そういうことができていいよね」と言われることもあります。でも、自分の都合はすべて自分で決められるんです。そうしたいから先に時間を押さえるだけ(だから皆んなも出来るってばさあ〜)。

知識を深め、徳を積んでやっと磨かれる

流行を先取りするって、すごく難しいですよね。早すぎてもダメなわけですから。商売でもエンタメでも、流行り始めるかどうかの、絶妙なところで手を挙げた人が勝ちます。

そのタイミングを摑むにはセンスが必要。ではそのセンスはどう磨けばいいのか。やっぱり僕は、知識を深め、徳を積むことだと思うのです。良書を読み、言葉を磨く。旅をしてさまざまなものを見る。そして誰かのために動いてみる(旅行、読書、積徳)。

僕が「この人はセンスがいいな」と憧れるひとりが、広告界の大先輩、杉山恒太郎さんです。たくさんの本を読んでいらっしゃるので、お話ししていると、偉人の話がぽんぽんと出てきます。また世界中を旅していらっしゃるから、「ロサンゼルスならここが面白い」「カンヌならこういう過ごし方がある」という話も自然にするする出てくる。

それは単に情報をたくさん知っているというより、知識と言葉が、ご自身の経験と結びついているからだと思うんです。そういう人はどうしたってセンスが磨かれてます(世界のトップエグゼクティブと話す時は、最近の世界のどこが美味しいレストランかや、世界のどこの休暇地がベストかの話になるから旅は必須)。

そもそもセンスというものは、ひと晩で身につくものではありません。時間がかかる。そして人生で一番大事なのは時間で、つまり時間は命です。だったらセンスとは、その人がそれまでどう生きてきたか、その人の命そのものを表す指標なのかも(まずは新潮文庫の100冊から読も!)。

野生の勘を研ぎ澄ましセンスを鍛えろ

最近、スマホを持たずに旅に出るのもいいかもしれないって思うんです。紙の地図を見ながら、道行く人にたずね、時には自分の勘を頼りに突き進む。ただでさえ旅はセンスを磨いてくれますが、スマホがないとなおさらなのかもしれません。

ちょっと前まではスマホなんかなくても僕らは旅をしていました。そういえば、海外でも昔は公衆電話からタクシーを呼んでいましたしね。行き先の住所を伝えても運転手が場所を知らないなんてことはザラ。紙の地図と記憶を頼りに英語で説明して、なんとか目的地へと進んでいく……。そういうことって当たり前でしたよね。

そういえば、昔は駅の伝言板というものもありましたね。待ち合わせのために「〇〇にいる」と書かれているけど、肝心の〇〇の部分が消えちゃって読めない。だから「このあたりだと、たぶんこの居酒屋だろう」と勘で友達を探したりなんかして。今思えばスマホがない生活って、毎日が勘頼りのサバイバルだったんです(野生の勘を磨き放題!)。

僕は普段秘書をつけず、人に会う際もたいていひとりで行きます。これも考えてみれば野生の勘を失わないために必要なことなのかもしれません。だってひとりだとすべてのことは自分判断。「おや、これはおかしいぞ」、そう自分で気がつかなければ大変なことになる。誰かに頼らず、常にサバイバルの気持ちで動いていれば、生きるための勘も鈍らない……かもしれません。

そして今のAI時代、この「自分の勘」を持っていることがますます大事だと思うんです。AIがつくった創作物って見抜けますよね。最近はメールの文章を全部AIに書かせている人もいますが、普段の人格とかけ離れた文体になっているし、文章に人間的な揺らぎがない。「あ、AIだ」ってすぐわかりますよね。

さらにAIが提示したであろう間違った情報を鵜呑みにして語っていたりする人も。親しい人の場合は「あなた、人間じゃなくて、AI人間になっていますよ」なんてたまにご本人に伝えることもありますが(笑)。AIを使うのはいいのですが、自分が使いきれているのかどうか。自分は歩きたいだけなのに、AIに無理やり走らされていないか。自分に合った使い方を見つけ出すセンスも必要です。

今回は「先取り」をテーマにいろんなところに話が飛びましたね。自分の時間を先取って旅に出て、そこで時代を先取るためのセンスを磨けたら。そんなことを考えながら、次の冬はどこの南国に逃げようか考え中。……ええそうです、僕は冬も暖かい所にいるため、コートを着たことがほとんどありません。コート特集なのに、最後にコートを持ってすらいないことを白状させていただき、今月は終えたいと思います。

Editor’s Note|無人島購入への旅。福田島計画始まる!?

この夏、福田さんは長年の夢であった無人島購入のために動き始めたんだとか。

「人間、一度は誰でも無人島を欲しいって思いませんか? 先日、久米島にくっついている『一着島』という島を見に行きました。1万6000坪、1億2000万円! 大昔に建てられた家が1軒打ち捨てられたままの島です。海は美しく島は広いので開拓しがいがありそうですが、怪奇現象があるなんて話も。島の人に愛されている場所がいいなと思い断念。まだまだ無人島内見の旅は続きます」

福田淳氏

TEXT=安井桃子

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