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2022.07.05

マーベル・コミックス編集長 C.B.セブルスキーが語った、マーベルが世界中で愛される本当の魅力とは

1939年にコミックスが誕生して以来、それぞれの"正義"のために戦う個性豊かなキャラクターを描いてきたマーベル・シリーズ。そんなマーベル・コミックスの編集長であるC.B.セブルスキー氏に、世界中に熱狂的なファンを持つマーベルの真の魅力をインタビュー!「なぜ時代は女性ヒーローを求めているのか?」や「マーベルで最も好きなヒーローは誰か?」など、マーベル・コミックス編集長ならではの貴重な話を聞いてみた。※2019年5月掲載記事を再編

マーベル・コミックスの編集者は、いまでは3分の1以上が女性です。

'80年代、マーベルの歴史が動いた

1939年のマーベル・コミックス創刊当初から、多くの女性キャラクターが物語に登場しています。ただし、それは優れた能力を持ったヒーローとしてではなく、窮地に陥り、男性ヒーローに助けてもらう弱者としての描写が多かったですね。たとえヒーローであっても、あくまで紅一点的な脇役としての扱い。そうした"男性社会"といえる状況が長く続きましたが、時代とともに力強い女性ヒーローが姿を見せ始めます。

マーベル・コミックス編集長、C.B.セブルスキー氏

ターニングポイントは大きく2つありました。1つめは1980年代。女性の編集者や作家たちが、「コミックのストーリーの中に自分たちの思いを反映させたい」「女性は男性と同じくらい強い存在であるということを示したい」といった意見を出すようになりました。これは社内的な変化といえます。

2つめのターニングポイントは、いまから約15年前の2000年代初め。もともと男性ファンが中心だったマーベル・コミックスに女性ファンが増え始めます。以前の女性読者は、兄弟が持っていたコミックを見せてもらうという流れでマーベルに興味を持ちましたが、2000年代の女性たちは自分のほうから能動的にお気に入りのキャラクターを探しました。これは社外的な変化です。80年代の社内的な変化と2000年代初めの社外的な変化が結びつき、現在の女性ヒーローが活躍する時代に至ったのだと思います。

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多彩で個性的なヒーローが誕生

「マーベルで最も好きなヒーローは誰か?」と聞かれることがあります。編集長という立場上、「すべてのヒーローを平等に愛しています」と答えるべきなのかもしれませんが、私にも好きなキャラクターがいます。読者と同じ、人間ですから。

最も好きなキャラクターは、X-MENのダニエル(ダニ)・ムーンスターです。彼女は動物とテレパシーでコミュニケーションをとる能力を持っています。私は猫を飼っていますが、何を考えているのかわかりません(笑)。ダニは優れたリーダーシップも備えており、ミュータントを保護し、彼らに能力の正しい使い方を教えます。そうした指導力に共感するとともに、憧れを抱きます。

C.B.セブルスキー氏

誇りに感じているという点では、ジェーン・フォスター(女性のマイティ・ソー)ですね。彼女は雷の女神として戦うヒーローであると同時に、自身の病気である癌にも立ち向かいます。私の家族にも癌と直面し、闘った人がいます。ジェーンの勇敢で、肯定的に癌を克服していく姿に、共感を覚えました。

ほかにも注目している女性ヒーローは、たくさんいます。新しいキャラクターでは、スパイダー・グウェン。アメリカでは彼女のコスプレがブームになっています。弁護士として活躍するシーハルクも人気が高まっていますね。映画『ローガン』で人気に火が付いたX-23も、応援しているキャラクターの一人。編集者時代に彼女の開発に携わったので、強い思い入れがあります。

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C.B.Cebulski
アメリカ、ヨーロッパ、日本などで編集の仕事に携わった後、2002年にマーベル・コミックスに入社。編集者兼タレント・コーディネーターとして、世界中から才能ある人材を発掘。アベンジャーズ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、スパイダーマン、アイアンマンなど、マーベルのキャラクターをベースにしたオリジナル・コミックスの制作にあたる。2011年には、国際開発とブランド管理担当バイスプレジデントに昇進。毎月のように世界各国を訪ね、新興市場と既存市場の両方でマーベルのクリエイティブ事業を拡大した。2017年にはマーベル・コミックス編集長に就任し、マーベル出版部門における編集およびクリエイティブを統括している。「食」への関心も強く、世界各国で堪能した食の体験を自身のウェブサイトEatakuで公開。

TEXT=川岸 徹

PHOTOGRAPH=太田隆生

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