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2022.04.30

【DJ KOO・前編】子育ては“参加すべきもの”ではなく、“やりたくてするもの”──連載「イノベーターの子育て論」Vol.11

日本のビジネス界やエンタメ界を牽引するイノベータ―たちの“子育て論”に迫る本連載。第11回目は、日本のダンス音楽界を30年に渡って牽引、最近はバラエティなどでも活躍するDJ KOO氏の子育て論・前編。今年大学院に進学したひとり娘は、父親に対する“イヤイヤ期”もなく、ふたりでショッピングに出かけるほど仲が良い。良好な父娘関係を築く秘訣を伝授してもらおう。【後編はこちら】

家族のイベントを大切にすることが、円満の秘訣

SNSに、ひとり娘との仲睦まじい様子を、たびたびアップしているDJ KOO氏。コロナ禍で参列は叶わなかったものの、大学院入学式終了後に娘と待ち合わせ、校内でツーショットを撮影。娘も、仕事で大学の卒業式に参列できなかったDJ KOO氏に見せるため、羽織袴姿のまま帰宅を待つなど、父の大きな愛に応えている。

「娘とはすごく仲がいいですね。娘が好きなモーニング娘。さんのライブにいっしょに行ったり、ディズニーランドに出かけたり。我が家のリビングはあまり広くないのでソファもそれなりのサイズなんですが、おかげで娘と、お互いもたれかかって座ることができます。妻もすぐ横に座っているんですが、家族のこの距離感が、すごく心地がいいんですよ」

娘ともたれかかって座るとは! 思春期以降、娘との距離が離れる一方……と嘆く、世のお父さんたちにとっては、うらやましい限りだ。
娘と良好な関係を築き、家族円満でいる秘訣をたずねると、「家族の行事を大切にしていることかな」と、DJ KOO氏。

「誕生日やクリスマス、バレンタインデーにホワイトデー。そうした記念日だけでなく、『学期末試験が終わってお疲れ様!』とか、『大阪芸術大学客員教授就任おめでとう』と、何かにつけてお祝いし、プレゼントも贈り合っています。バッグにお財布など、僕の持ち物はほとんど娘から贈られたものなんですよ。妻へのプレゼントは、娘といっしょに買いに行くことが多いですね」

そう言った後、「でも、娘がパパをここまで慕ってくれるのは、妻の力が大きいかもしれません」と。

「妻は、娘が間違ったことをした時に叱る役を、全面的に引き受けてくれています。だから僕は、“怒らない父親”として、娘をひたすらかわいがることができる。何かというと、『パパのおかげだからね』と、僕を立ててくれますしね。妻には、心から感謝しています」

スタジオにずらりと並ぶ私服の数々。その半分は、娘からのプレゼントだとか。「娘は、ふだん出かけた時に、『あそこに、パパ好みの派手な服を売っているお店がある』と、チェックしているみたいです」

世界で一番かわいいのは我が子。親バカでいい

大学在学中は公開授業も参観し、「小、中、高、大学4年まで授業参観皆勤しました」と告白するなど、子育てに積極的に参加。幼稚園のイベントでは、BGMをオリジナルで作曲し、小学校時代は、「KOOさんのための交通整理が必要になるから」と断られてしまったものの、通学時の交通安全係に立候補したこともあるという。それは、「父親も積極的に子育てに参加すべき」という考えからかと思いきや、「“参加”という考えは、まるでなかったですね」と、笑う。

「僕にとって娘は世界一かわいくて、大切な存在。彼女の成長を一番近くで見たいと思って、やってきただけで、正直、子育てしているという感覚すらありません。ごく当たり前のことというか……。TRFのライブなど、僕の仕事場にも、赤ちゃんの頃から連れて行っていますしね。『a-nation』(2002年から始まったエイベックスグループ主催の野外ライブ)は、僕と同じく第一回目から皆勤賞で、あゆ(浜崎あゆみ)が娘を抱っこしてくれたこともあるんですよ(笑)」

ステージでスポットライトを浴びる演者と、それを支える大勢のスタッフ、パフォーマンスを楽しむ観客の姿。それを見せることは、アーティストを生業とするDJ KOO氏ならではの教育でもある。

「娘には、僕の仕事というか、生き方を見せたかったんですよね。音楽は、こんなにも多くの人を楽しませる素晴らしいものだと感じてほしかったし、舞台裏では、こんなにも多くの人が頑張ってくれていて、その支えがあってステージが成り立つのだということも知ってほしかった。

そんな風に小さい頃から、いろんな人たちに囲まれてきたせいか、娘は、その場の空気を読み、周りにすごく気を遣う子なんですよ。やさしくて、素直で、よくできた子だなぁと思います。むしろ、親に気を遣って、自分のやりたいことや言いたいことをガマンしていないか、心配するくらいです。親バカでしょ(笑)。でも、それでいいと思っています」

「子育てはなんともドラマチック!」と、楽しそうに、娘とのエピソードを語ってくれるDJ KOO氏。娘が小学生の時のピアノコンクールでは、客席で、娘の演奏を「ノリノリで」聴いていたそうだ。「『DJ KOOが、こんなに乗っているんだから、いい点数つけてくれよ~、イェーイ』って感じです。娘が弾いていたのは、ショパンのノクターンだったんですけどね(笑)」

子どもに常識を身に着けさせるには、まず親がルールを守ることから

「娘が生まれて、僕はガラリと変わりました。それまでは、『オレはDJだゼ~、イェーイ』という感じで、勢い任せで生きてきたところがありましたが、父親になった瞬間から、常識をものすごく意識するようになったんですよ。夜中誰も見ていなくても赤信号は渡らないし、ゴミは捨てない。些細なことも含め、いけないとされていることは絶対にやらないし、他人の目があってもなくても、ルールは守るようになりましたね。人と関りながら社会生活を送るには、常識が大切。子どもに常識を身に着けさせるには、まず、親ができていないといけませんから。

もうひとつ意識したのは、学力をつけさせること。学歴という意味ではなく、考える力です。それが備わっていれば、自分の芯みたいなものができ、しっかり生きていけると思ったので」

考える力を育むには、学ぶ環境も重要だ。そんな想いもあって、小学校受験にも挑戦した。

「子育てで一番大変だったのが、“お受験”でしたね。僕も妻も初めての体験で、何が正解かわからない。『(受験)教室の先生がこう言った』『ママ友からこんな話を聞いた』など、いろんな情報に振り回され、妻ともしょっちゅうぶつかって……。あれは、僕たち夫婦にとっての最大の山場だったかもしれません」

お受験という、子育てにおける“夫婦最大の山場”。それをどう乗り越え、妻とふたり、どんな子育てを実践してきたのか。後編では、DJ KOO流子育ての真髄に迫る。

【後編はこちら】

DJ KOO(ディージェイ・コー)
1961年東京都生まれ。'86年、ユニット・THE JGsを結成。'93年、ダンス音楽ユニットTRFのメンバーとして、「GOING 2 DANCE/OPEN YOUR MIND」でデビュー。初代エイベックスアーティストとして、今なお音楽シーンの第一線で活躍するほか、タレントとして多数のバラエティー番組で活躍。'99年に娘が誕生。「健KOO腸活青汁」をプロデュース。

【連載 イノベーターの子育て論はこちら】

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連載
イノベーターの子育て論

ニューノーマル時代をむかえ、価値観の大転換が起きている今。時代の流れをよみ、革新的なビジネスを生み出してきたイノベーターたちは、次世代の才能を育てることについてどう考えているのか!? 日本のビジネス界やエンタメ界を牽引する者たちの"子育て論"に迫る。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=田中駿伍(MAETTICO)

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