師匠か、恩師か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。連載「相師相愛」第61回は、サッカーがつないだ縁。
アンファー代表取締役社長 叶屋宏一が語る、播戸竜二
2004年から13年間、ヴィッセル神戸で仕事をしていました。クラブハウスで挨拶したその日に、人なつっこく声をかけてきてくれたんです。サッカーにまったく詳しくなかったんですが、おかげで彼を入口にして選手たちに溶けこんでいくことができました。
興味の幅が広くて、いろんなことを吸収しようとする。メリルリンチって何ですか、どうしてここに来たんですか、と私も質問攻めにされましたが、三木谷浩史オーナーにも日経新聞を読んでます、ビジネスを勉強してます、なんて言ってたみたいで(笑)。ただ、当時からストイックで一緒に食事をしてもお酒を飲まない。長く現役を続けられた理由のひとつでしょう。
クラブ経営やリーグ運営への興味は、チェアマンになりたい、サッカー協会の会長になりたい、という今の目標にもつながっています。でっかい夢は、彼らしくてとてもいい。みんながウィンになって、サッカー界も盛り上げられるような取り組みを、一緒にやりたいですね。
天真爛漫で真っ直ぐなんですよ。妙な気を使うこともない。古巣のガンバ大阪が引退セレモニーをしてくれたのも、彼の人柄ゆえ、でしょうね。サッカー選手はスキルも大事ですが、年齢を経て力が落ちてきた時、ムードメーカー役を務められるかどうかも大事。これは、会社員も同じですよね。
実はサッカーを一度しか観たことがなかったんですが、クラブ経営に携わって、すっかり大好きになりました。今も毎週のようにJリーグの試合を観に行っています。妻も大好きになって、夫婦で共通の趣味ができました。
元プロサッカー選手 播戸竜二が語る、叶屋宏一
サッカーの人じゃないな、どんな人なんだろう、と話しかけてみたら、すんなり受け入れてもらえて。その懐の大きさから、一気に好きになりました。ちょくちょく食事に連れていってもらったりもしたんですが、行くのは叶屋さんの行きたい店(笑)。こういう感覚がすごくありがたくて。だから何でも言えたし、何でも聞いてもらえる関係になれたんだと思います。
しかも、サッカーの話だけじゃなくて、ファッションや食への関心も同じだった。僕自身は、クラブ経営にも興味がありました。実際、叶屋さんたちが来てから、間違いなくクラブは発展したんです。ビジネスの世界の人の力は重要だな、と思いました。しかも、叶屋さんはヴィッセルでも専務から社長になり、今のアンファーでも専務から社長になった。いろいろ学ばせてほしいと思いましたよね。引退後、実は真っ先に会社を訪問させてもらっているんです。
もっと自分に力をつけて、叶屋さんにもサッカー界にも貢献できるよう頑張りたいです。
ヴィッセル神戸で一緒だったのは2年間だったんですが、その後も食事をよくさせてもらってきました。奥さまもご紹介いただいて、ご一緒することも少なくありませんでした。僕にとっては、何でも言えて、相談できる人。昔の僕もわかってもらっていて、成長も見てくれていますから、何でも受け止めてもらえる。本当にありがたい存在です。
そして、まったくサッカーを知らなかった人が、こんなにもサッカーを好きになってくれたんですよね。叶屋さんのような人をもっともっと増やしたいんです。
Koichi Kanaya(右)
1966年生まれ。三和銀行(現三菱UFJ銀行)、メリルリンチ証券などを経て、2004年ヴィッセル神戸へ。’07年より社長。’17年にアンファー入社。’20年より現職。
Kanaya's Q&A
趣味: テニス、ゴルフ、麻雀、サッカー観戦(JFL、Jリーグ、ヨーロッパ)
行きつけのレストランを教えてください:『リストランテ・ヒロ』、『Kuma3』
洋服や鞄などでお気に入りのブランド:今はソリード、プレミアータ(ラフなビジネススタイルにスニーカーが主だから)
Ryuji Bando(左)
1979年生まれ。ガンバ大阪、ヴィッセル神戸などで活躍。日本代表も経験。2019年に引退。Jリーグ特任理事、WEリーグ理事なども務める。
Bando's Q&A
趣味:ゴルフ
行きつけのレストランを教えてください:『の里 竜土町』
洋服や鞄などでお気に入りのブランド:スーツはダンヒル。洋服はジョンスメドレー、靴はエドワードグリーン、鞄はロエベです。