“百獣の王”を名乗る武井壮。日本一のアスリートから転身した彼が、あっという間に芸能界の頂きへと上り、“勝つ人”になった理由。それは真の意味でタフな男だったからだ。そんな武井壮が「スポーツカーに乗る理由」と「タフな男のファッション」について、さらに世界へと飛びだそうとしている戦略を、切れ味の鋭い言葉で語った。最新号のご購入はこちら。
「強さをどう使うか、そこにタフな男の真価がある」
百獣の王、武井壮さんの愛車遍歴は、さながら“スーパーカー十種競技”だ。ポルシェ ボクスター、メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン、ランボルギーニ ウラカン、フェラーリ488GTB、そしてマクラーレン720S……。
「スポーツカーが好きなのは、自分の身体を操作する感覚と似ているから。コーナーで理想のラインを描くためにアクセルとブレーキとステアリングを操作して、それが決まると街中でも楽しいし、走り高跳びでパーンって成功して白旗が上がった瞬間と同じ興奮や感動を味わうことができます」
そして、スポーツカーで移動する歓びは、仕事はもちろん生活全般のクオリティを上げることにつながると続けた。
「現場まで好きなクルマを運転して行けばテンションが上がるし、移動そのものがエンタテインメントになる。送迎車に座るだけだと、充実した時間を失っているという感覚なんです」
これまで、敢えて自分が背伸びをするようなクルマ選びをしてきたという武井さんであるけれど、単にいいクルマを買うだけでは、タフな男のクルマ選びとしては物足りないと語る。
「そのクルマを熟知して、路面とかシチュエーションに合わせた操作ができる技術が伴った時に、初めてタフな男にふさわしい愛車になる。屈強なSUVを買っても、どの傾斜なら走破できるのかという知識と、それを使いこなす技術がないと、いきなりオフロードを攻めてゴロン、なんてことになりかねない」
知識と技術とメンタルが揃わないとタフな男になれないということを、武井さんは十種競技で日本一になった頃に学んだ。
「高い能力を持ち、練習では最強なのに試合で記録が出ない選手っているんですよ。肉体の強さがあって、それをどう使いこなすかという知識と技術が伴っている人は、本番でメンタルがブレない。自分よりキャリアがある強い選手に勝てたのは、自分を操作する方法を熟知して、毎試合のように自己ベストを出してきたからだと思います」
ただ身体だけが強くても駄目、知識と技術、ブレないメンタルがないとタフな男にはなれない、という考えは、実体験から導かれたものだけに実感がこもっている。武井さんは、ファッションも同じだという。
「ブランドの高い服を買うだけじゃ意味がないですよね。自分をどんな人間に見せたいのか、周りの人は武井壮に何を期待しているのか、どこへ行きどう振る舞うのかを考えぬいた時に、タフな男にふさわしい服の選び方になる。僕は現場で衣装に着替えることが多いのでカジュアルな服装になりがち。だからお会いする相手に失礼にならないよう、時計や靴はいいものを選ぶようにしています。昔は、太陽の位置で時間がわかるから百獣の王に時計は要らない、って言ってたんですけど(笑)」
ではこの先、武井壮はどんなタフな男を目指すのだろう。
「子供たちだけではなく大人たちにも夢を与える存在になりたいですね。たとえば世界で誰でもいいから三人のチームを組めって言われた時に、“武井さんがいたら絶対にいいよね”って言われるような、人類の頂点を目指したい」
そして武井さんは、世界進出を視野に入れたプロジェクトを進めていることを明かした。
「スパイダーマンとかバットマンみたいなヒーローがいるじゃないですか。でも日本にはいないな、と気づいて。本気でヒーローを始めようと思ってハリウッドで衣装を作っています。身体能力的に一番近いのが僕だから、忍者のヒーロー。例えば能力を測れるスカウターみたいなハイテクを取り入れたり、手裏剣が飛びだすブラスターを搭載したり。YouTubeでシリーズ化して、アメリカの街に行くと子供たちがワーって言うくらいバズらせたい。みんな、夢物語だって笑うんだけど9年前に僕が芸能界に行くと言った時も同じような反応でしたから。無理だと思ってみんなやらないけど、実際にやると競合がいないから勝てる。人生、遊んだもん勝ちですから」
これは楽しみだ。同時に武井壮はやはり百獣の王、最強のタフガイだと思い知らされた。