2009年から’15年の約6年半、のべ500日以上をかけて、47都道府県、2000近くの場所を訪れた中田英寿。世界に誇る日本の伝統・文化・農業・ものづくりに触れ、さまざまなものを学んだ中田が、再び旅に出た。
中田英寿絶賛! カイロ堂の「佐賀牛 極上カルビ焼肉弁当」
旅の楽しみは、"食"だ。中田英寿の旅では、食べることもひとつの体験。ミシュランの三ツ星レストランから、街で愛され続けるB級グルメまで旅の間にさまざまなものを食べることになる。
当然、グルメで知られる土地ならスタッフのテンションも上がる。北海道! 博多! 大阪! 金沢! でも今回は、佐賀。佐賀の名物がすぐに思い浮かぶ人は多くないだろう。地元の方に尋ねても、佐賀牛や呼子のイカが挙がる程度で、「佐賀にはそんなにおいしいものはないよ」と自信なさげだ。
しかし実際に訪ねてみると、佐賀にはおいしいものがたくさんある。考えてみれば当たり前だ。海があり、すぐそばに山があり、農業も漁業も盛んだ。訪問先でいただいたおにぎりや旅館の食事など、なにげないものが思いがけないほどおいしい。これで日本酒や茶がおいしいのだ。あえて名付けるなら、「名物なきグルメシティ」。今回は佐賀で出あったおいしいものをいくつか紹介しよう。
まずは旅の合間に立ち寄って買ったのが武雄駅の名物駅弁、カイロ堂の「佐賀牛 極上カルビ焼肉弁当」。青空の下、近所の公園のベンチで食べた中田も思わず「たまには外で食べるのもおいしいよね」と笑顔になった。税込み1944円と駅弁としてはかなり高価だが、A5等級の佐賀牛をつかっていると聞けば納得。佐賀牛らしい甘みのある脂と甘じょっぱい味付けが絶妙にマッチ。満腹になっても思わずおかわりしたくなるほどだ。
続いて紹介したいのは、取り寄せもできる絶品コチュジャン。肥前旨辛本舗コガヤの「太閤旨辛醤」シリーズは、ほどよい辛さに濃厚な旨みが特長。そのままでもご飯に乗せても「やめられない、とまらない」。佐賀牛や有明海苔、ゆずなどさまざまな味付けがあり、いずれ劣らぬおいしさだ。佐賀土産としてぜひオススメしたい。
最後に紹介したいのは、夕食を食べそこねたスタッフが夜遅くに駆け込んだ嬉野温泉の食事処「志津」。ここはスタッフだけで行ったので、中田は足を運んでいないが、旅の期間中にリピートしたほどの名店だ。地元で40年以上愛され続けたこの店は、魚料理、肉料理、ちゃんぽんなど、どんなものでもやさしくおいしい。あえて一品上げるなら、地元名物の温泉湯豆腐。温泉成分でトロトロに溶けた豆腐を豚肉なども入れた出汁とともにいただく。濃厚な味わいは、湯豆腐の印象をガラリと変えてくれるだろう。広いカウンター席に座り、美人の女将さんと笑顔なキュートなお嫁さんと話すのも楽しい。温泉のように旅の疲れを癒やしてくれる、まさに隠れた名店だ。
「に・ほ・ん・も・の」とは
2009年に沖縄をスタートし、2016年に北海道でゴールするまで6年半、延べ500日以上、走行距離は20万km近くに及んだ日本文化再発見プロジェクト。"にほん"の"ほんもの"を多くの人に知ってもらうきっかけをつくり、新たな価値を見出すことにより、文化の継承・発展を促すことを目的とする。中田英寿が出会った日本の文化・伝統・農業・ものづくりはウェブサイトに記録。現在は英語化され、世界にも発信されている。2018年には書籍化。この本も英語、中国語、タイ語などに翻訳される予定だ。
https://nihonmono.jp/