嘘から始まったふたりの愛の結末は?『ロマンスドール』~滝藤賢一の映画独り語り座63

役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!


蒼井優に心を奪われる

「映画とは出会いの瞬間を描く媒体であり、よき俳優とは出会いのときめきを表現できるものである」By 滝藤賢一。

さて、私は『はなちゃんのみそ汁』で女子大生役の広末涼子さんに瞬時に心を奪われる記者を演じた経験がありますが、あの衝撃に匹敵するひと目惚れの瞬間に再び出会ってしまいました。

この幸せを読者の皆様にお裾分けしたい。私からのお年玉、ぜひ受け取ってください。

その映画のタイトルは『ロマンスドール』。ドラマ『東京独身男子』のタナダユキ監督と高橋一生さんがタッグを組んだ作品です。

主人公・哲雄がふとしたきっかけでラブドールの造形士に弟子入り。きたろうさん演じる師匠とともに究極のドール作りに没頭します。情熱を燃やす姿は美しいと感じながらも真剣にやればやるほど、何かおかしくクスクス笑える。

行き詰まったふたりはよりリアリティを追求するため、本物の女性の胸の感触を摑もうと医療用の人工乳房のモデルと称して募集を行います。そこに応募してきたのがヌードモデルの園子。

この園子を演じるのが蒼井優さんです。恥じらう姿は、まるで新人の女優さんのような透明感。一挙手一投足があまりに可憐で私、一瞬で恋に落ちました。滝藤、恥ずかしながら蒼井さんには何度も恋に落ちております。『花とアリス』『フラガール』。共演したことはありませんが、もしそんな時が来たら、私は冷静に彼女と向き合って芝居ができるのか……。不安だ……。

そして、原作・脚本も担当したタナダさん。えぐりますねぇ(笑)。高橋さんと蒼井さんが演じる夫婦のシーンはいちいちリアル。耳を塞ぎたくなるような会話に何度も肝が冷えました。

一度ついた嘘は、意地でも墓場まで持っていったほうがよいのか……。それとも、正直に話したほうがよいのか……。

いろんな嘘があるからなぁ。う〜ん。2020年早々、とてつもない課題を与えられた作品でございました。ちなみに私は、何でも奥様に話す派です。


©2019「ロマンスドール」製作委員会

『ロマンスドール』
監督が過去に発表した同名小説を自ら映画化。美大で彫刻を学んだ哲雄は、ひょんなことからラブドールの造形士の職につき、型破りの社長と先輩の金次、管理業務のまりあなどの理解を得て成長していく。だが哲雄は自分の真の職業を言えないまま結婚。妻の園子に罪悪感を募らせて幾年月、彼女から唐突に離婚を懇願され、パニックに陥るが……。ラブドールの老舗オリエント工業の協力も話題に。
2019/日本
監督:タナダユキ
出演:高橋一生、蒼井優ほか
配給:KADOKAWA
全国公開中


Composition=金原由佳