お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営し、新刊『未来のお金の稼ぎ方』を出版した起業家、児玉隆洋氏が「未来のお金」についてさまざまな分野の賢人たちに問う対談シリーズ。対話から見える、お金、経営、事業で成長するために持つべき視点とは──。起業家仲間の3人が語り合う。前編。後編はこちら。
プログリット岡田祥吾×ポジウィル金井芽衣×ABCash児玉隆洋「起業家は超ポジティブ」
今年9月に東証グロースへの上場を果たした英語教育ベンチャー、プログリットの岡田祥吾氏。キャリアコンサルティングベンチャーとして急成長を遂げているポジウィルの金井芽衣氏。そして金融教育ベンチャー、ABCashの児玉隆洋氏は、ビジネス形態や創業年も近しいことから仲が良く、普段からよく集まるという。次の時代を担う若手経営者たちは今、何を見つめ、どう考えているのか。編集部が投げかけるテーマについて、ざっくばらんに語ってもらった。
──飲み会では、何を話す?
児玉 僕らはジャンルこそ違うけれど、同じ教育系ビジネス。マンツーマンでコーチングする点でも似ているから、飲んでいてもずっと仕事の話をしてるよね。
岡田 ほんまにそう。マネジメントとか集客とか、実際のやり方までめちゃめちゃ具体的に話してる(笑)。
金井 プライベートの話もするけど、圧倒的に仕事の話が多いよね。うまくいったこととか、今こんな課題を抱えてるんだけど、2人はどうしてる? とか。
岡田 課題の解決策はほんとに参考にさせてもらってる。聞けたらめっちゃテンションあがりますもん。きたーーー! みたいな。
児玉 だから飲んでいても、みんなめちゃくちゃメモを取る。お互い経営者だから、しんどいこともあるけど、そういう話よりは課題の解決やアイデアを語り合うことに終始してることが多い気がする。
金井 基本、性格がみんなポジティブだし、暗い話はしないよね。飲んで愚痴っても、なんの意味もないし、なんの解決にもならないもの。
岡田 しないねぇ。

SHOGO OKADA
2014年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製造業、ヘルスケア業界、金融業界など幅広い業界の企業に向けてコンサルティングサービスを提供。2016年、現取締役副社長の山碕峻太郎と共に英語学習事業サービスを運営するプログリットを創業する。2021年「Forbes 30 Under 30 Asia 2021に選出。
金井 というか、社長なんて、おかしいぐらい前向きじゃないと無理だと思う(笑)。会社で起こりうるすべての事象は社長の責任だし、へこむことも日常茶飯事だから、いちいち傷ついていられない。
岡田 たしかに自分も前向きだと思う。たまにハードシングスを聞かれるけど、あまり思いつかない。たしかにいろいろあったけど、そこまで落ち込むことはなかったし、すぐ忘れる。
金井 たぶん、私たち起業してからいろんなことが起きすぎて痛点がおかしくなってるんだと思う(笑)。
児玉 たしかに(笑)。起業なんて最初からうまくいくことなんてほぼないし、修羅場ばっかりで苦しむのが普通だからね。でも、辛いから酒を浴びるように飲んで忘れよう、とは思わない。どう解決すればいいかを淡々と考えたいから、飲みながら2人の知見を聞いて、参考にさせてもらえるのはすごくありがたいし、助かってる。
岡田・金井 それはお互いさま!
──実際に参考にしたお互いのアイデアは?
岡田 うちはこの前、ABCashさんの全社集会をマネさせてもらいました。自分たちもやってはいたけれど、音楽を使うという発想はなくて。児玉さんに音楽の使い方を教えてもらって、入場のときの流し方や、自分が話をするときの音楽を工夫した。前半は緩やか、後半で「やるぞ!」というメッセージを出す時は曲調も盛り上げるようにして。めちゃくちゃ効果抜群で、会場の一体感がすごく上がって大成功。ホンマありがとう!
児玉 お役に立ててなによりです。音楽、めっちゃこだわってるんで(笑)。
金井 私も児玉くんに教えてもらって、オフィスはボサノバをかけてる。
児玉 シーンとしてると、周りに聞かれているんじゃないかって気になるけど、音楽がかかっているとそれが緩和できるんだよね。

MEI KANAI
1990年生まれ。短大で保育士・幼稚園教諭の免許を取得した後、法政大学キャリアデザイン学部に編入学。2013年に卒業後、リクルートキャリアに入社。2017年、国家資格キャリアコンサルタントに登録、ポジウィルを設立し、代表取締役に就任。キャリアに特化したパーソナル・トレーニング「POSIWILL CAREER」を運営する。
金井 そうそう。ちょっとカフェっぽい感じがいいみたい。
児玉 自分も2人のマーケティングはすごく参考にさせてもらってて。どういう媒体からの流入効率がいいのかとか、新規ユーザーへの伝え方とか、言葉やUI(ユーザーインターフェース)はけっこう使わせてもらってます。
ベンチャーは会社好きが多い
岡田 UIといえば、金井さんの「ぼっちん」だよね。ポジウィルのサービスサイトの申し込みボタンがふるふると震えているのが面白いと飲み会で話題になって。
金井 たまにネットでみかけていたから、なんだろうと思ってマーケターに聞いたら、動くとコンバージョンが上がると聞いて。取り入れてみたの。
児玉 うちも今、「ぼっちん」検証中です。震えるのと震えないので。
岡田 ぜひ結果を聞かせてください。
──メンバーの「当事者意識」をあげるために何をする?
児玉 ABCashは半年に一度行う表彰式にかなりこだわりがあって、徹底的にオフィシャルなものにしている。フォーマルな場所を借りて、服装も男性はスーツ、女性はドレス。レッドカーペットを敷いて、ステージも作って、照明も落として音楽も厳かな感じにして演出します。表彰される人は、そこを歩いてステージ上でコメントしてもらうんですけど、けっこうマイクを持つ手が震えてますね。
岡田 すごい。めちゃくちゃ盛り上がりそう。

TAKAHIRO KODAMA
ABCash Technologies代表取締役社長。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。累計受講者数2万人を超える、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する。趣味はサーフィン。
岡田 それは間違いない。そもそもベンチャーって、自分達の力で何かを成し遂げようとしている人の集まりで、会社が好きな人が多い。うちもまだコロナで実現できていないけれど、年間のトップ5を僕と副社長でハワイに連れていく約束をしたら喜ばれ、それがモチベーションになったというのはありました。
金井 私は常に、「私の会社じゃない。みんなの会社だよ」って伝えてる。だから、経営の状況も包み隠さずにいうの。この間、メンバーに頑張れる理由を聞いてみたら、自分たちの会社をどうしていけるかは自分たち次第だからと言っていて。もう、メンバーは私より起業家だと思った。
岡田 その当事者意識はすごい。社長目線の仕事ができればすごく強い。
児玉 自分ごとにできているかどうかは、自分の会社のことを「うちの会社」と言うか、「この会社」と言うかでけっこうわかる。抜擢するなら「うちの会社」というメンバーのほうが、最後の踏ん張りは期待できると思う。
──成果が出ないメンバーへの接し方は?
児玉 頑張っていても成果を出せていないなら、それはやっぱり評価はできない。仕事は生活の糧。もし原始時代なら、頑張っても魚が取れなかったら死んじゃうわけで。今は魚が取れなくても給料が振り込まれるから忘れているけど、やっぱり自分たちで稼がなきゃ食っていけない。だから、うちはけっこう成果にはシビアですね。
岡田 うちも基本的には結果主義。ただ、僕は優しく諭すのが苦手で、ストレートにそのまま言っちゃうんで、それが悩みです。
金井 私も、「芽衣さんに言われると重すぎる」って言われてから、すごく気をつけるようにしてる。ただ、社長が厳しく言うのは、その人のことを期待しているから。もっといいポジションに引き上げたいから言っているのであって、もしどっちでもいいなら何も言わない。
岡田 そう。期待してるし、信頼しているからこそ率直に言ってしまう。
児玉 最近怒られた人は、この記事を読んでホッとしてほしいね(笑)。
■後編はこちら

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