35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる!下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第123回!
Petと呼ばれたら、親愛の証!?
以前、イギリスのカフェでイケメン店員がコーヒーを差し出しながら“Here you are love”(どうぞ。ラブ)と言われて、愛の告白かと勘違いしてしまったお話をしたかと思います。
知らない人だろうと、親愛を表す時に、イギリス在住の方は相手のことを“love”と呼ぶのです。
おばあさんにバスで席を譲った時も、デパートの扉を後ろの人のために押さえておいた時も、みんな「そこのあなた、どうも」という意味で“Thank you love”と言うのです。
「“love”と知らない人のことを呼ぶ習慣を知らなくて、勘違いしたんだ」
そうイギリス在住のオンライン英語教師に話したところ、彼女は笑ってこう言いました。
Don’t worry pet.
「ドントウォーリー」はわかりますが、なぜ私のことを彼女は「ペット」と呼んだのでしょう。英語が下手すぎる私を犬か猫だとでも思っているのでしょうか。
実はこれも、“love”と同じように、相手に親愛を示す時に使う呼び名だそうで、主にイギリス北東部で使われているようです。このように、相手の呼び方はいろいろあるそうで、教師はからかって使ってきたのでした。
他にはこんな呼び方があるそうです。
flower /petal
“petal”は「花びら」という意味です。このふたつは主に女性や子供に使うそうです。
女性のことを「花」に例えて呼ぶなんてちょっとロマンチックです。
Duck
アヒルのダッグです。ケンブリッジの英英辞典にはこういう例文もありました。
Come and sit beside me, duck.
(ねぇ、こっちにきて隣にすわりなよ)
ここから派生して“ducky”と言う人もいるようです。
Chick /hen
“chick”は「ひよこ」、“hen”は「にわとり」です。“hen”はスコットランド地方で女性を呼ぶ時に使うようです。しかしこれらはどちらも場合によっては女性を侮辱する意味にもなるそう。使われた方によっては真意を確かめる必要があるかもしれません。
Sweetie
「私のかわいこちゃん」という感じで「スウィーティー」と呼びます。友達や恋人、家族といった親しい間柄で使われる印象です。
ほかにも、おばあちゃんが子供たちのことを「私のかわいこちゃん」とう意味で“my little sausage(マイ・リトル・ソーセージ)”と呼んだりするそうです。そういえば、オンラインでオーストラリアの語学学校に行っていた時も、おばあちゃん先生が毎朝“good morning my little vegemite(マイ・リトル・ベジマイト)”と私たち生徒のことを呼んでいました。「ベジマイト」とは野菜などを醗酵させたジャムのようなもので、オーストラリアの朝食によく食べられているものです。
イギリスでも朝食にはソーセージが欠かせませんので、国民的朝食を「かわいこちゃん」という呼び名に使うのが、イギリスとオーストラリアでは一般的なのでしょうか。
(日本でいうなら、「私のかわいい納豆ちゃん」になってしまうのでしょうか……?)
バーで知らない人と意気投合すればお互い名前も知らなくても“mate! ”つまり「友よ!」と呼ばれたりすることもありますし、ホテルやレストランでは “sir” とか “madam” とホテルマンが呼んでくれると思います。これがどんどん拡大して、イギリスには親愛をこめた人の呼び方がたくさんあるのではないかなと思いました。
Illustration=Norio